🌅1-4章 平成おはようよろしくね

『さけめ』

 さけめからなにかがおちた。さけめからおちた。なにもないところからおちてくるのはさけめからなにかがおちたから。


 昭和の初期辺りかな、上記の話が巷で流行っていたらしい。さけめというものがまあ裂かれた間という意味なのだけど、俺の先輩がこの裂け目に入ってブラジルとかオーストラリアの広場の近くに落ちて不法入国したことあるらしい。

 怪我はないのかって、いや落ちた距離は大したことはないみたいなんだ。子供が軽くジャンプできるぐらいの高さらしい。で、先輩は外国を楽しんでからさけめから帰っていった。

 そもそもどうやってできたのかって聞くと、先輩曰く何か後ろに現れたららしい。何か不思議体験したいなぁと思ったら現れて、真っ黒なさけめに入ったら京都についたっていう。いや、これSFのようなもんじゃんって最初は思った。

 でも、だんだんさけめから地面の距離が離れていっているらしい。だから、先輩はパラシュートとか用意してさけめになるようになったんだけど……。いや、先輩パラシュートとかできたんだなぁって思ってさ。

 のんきなこと言うけど、先輩が恐れ知らず過ぎてチャレンジャーだからなんとも言えないよ。


 俺はさけめとかに興味ないし、ばあちゃんからさけめの話を振ったら。


【ああ、流行ったねぇ。ありゃ作り話さ。けど、なんかさけめはあった人とかいてね。噂ではさけめをはいりつづけて海に落下っていう人もいるよ】


 って話が来たんだ。まあ噂話かなぁと思っt




 待って。なんか、外から黒い影が勢いよく落ちてきてどんって鈍い音がした。



 ちょっと離れるから、保守よろしく。




 せんぱい、だった。


 せんぱいが、いえのちかくにおちてきた。


 あかいみずをおおくながしてた。



 さけめからなにかがおちた。さけめからおちた。なにもないところからおちてくるのはさけめからなにかがおちたから。


 落ちてきたなにかは、先輩だった。




『さけめ』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る