雨に打たれる
@white-latte
第1話
その日は1日中、雨が降っていた…
私は悩みという悩みを全て抱えて傘をさして歩いていた。
大学があったのだが休んでまでこんな雨の中、海を見ようと思い歩いて方はいいものの何をしようとして来たのかも決めないで来てしまった。
海は好きだ。
子供の頃から海に行っては泳ぎ、遊び、怖い思いなんてしていなかった。強いていうならば、この海の広さが怖かった。
大人になった今でもそう感じる。成長はして少しは大きくなったつもりでいるがそれでもやはり海は大きい。
そんな事を雨で濡れた手すりを掴みながら海を見て思っていた。
「そうだ」と思い傘を閉じた。
まだ雨は降っている…
さっき降りてきた2,3段しかない階段にもう濡れてしまった服を気にしないで座った。
「1度してみたかったんだよな〜」
小声で呟いてあたかも平然を装ってみた。
ただ、言ってみたはいいもののあまりこの場所は人が来ない様な場所だったから余計に自分が恥ずかしくなってしまった。
「さて」
両膝にそれぞれの肘を置いて手は顎の下で組んで考える姿勢に移った。
何を考えるかというと、決まっている。これからの事だ!
たまに思う事がある。人間は生まれてから何を目指して生きていくのだろうかと。
ゲームや小説なんかの様に始まりがあり、終わりは何処にあるんだといつも思っている。
ただ正直、この謎に答えは無いと私は思っている。むしろ、それを見つけ出していくまでが人生というものなんだろうという結論にいつも終着する。
「まてまて、こんな事をまた考えるためにここまで来たんじゃ無い!」
いつも何か考えようとすると他の事を考えてしまう私の悪い癖が出てしまった。
「傘、忘れたんですか?」
不意に放たれた言葉に驚きながら振り向いた。そこには紫陽花がいた。そう花の。薄い青と紫が良く似合う。雨の雫が小さな花びらから流れ落ちるのが時間が止まっている様に思えた。
それからというものその紫陽花に私が今悩んでいる事を話していた。髪は濡れ、服は水で重くなり、雨は降っていたけれどもその時の私の心は晴れていた。
次第に雨は弱まり、雲の間から日差しが差し込んで来た。
「今日はありがとう!また、いつか、私が悩みを晴らして新しい自分に成れたらまた来るよ!絶対にここに帰ってくるから!」
そう言い残し、ずぶ濡れな格好の服のまま満面の笑みで走り出した。
雨に打たれる @white-latte
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