29.【† 残 † 最終武器は私の血。多分死ぬけど飲んでみる?】 黒月一条さん

https://kakuyomu.jp/works/16817330657069142841


あらすじ(作品ページより引用)

吸血鬼に魅せられ消えた姉を捜し、彼らの城に乗り込んだエルフェリス。


敵ばかりかと思いきや、なぜだか吸血鬼たちに気に入られてしまい共に暮らすことに。


だが城内に渦巻く様々な思惑は、エルフェリスを闇の中へと引きずり込んでいく。


好きになってはいけない。

想い出してはいけない記憶とともに……。



恋愛ダークファンタジー。

基本シリアス。でも愛され主人公。


ハッピーエンド目指してがんばる聖女とヴァンパイアたちの物語。


第二夜まで序盤導入部です。



☆☆☆



第29弾です。

黒月一条さん、ご参加ありがとうございます。

お待たせしまして申し訳ありませんでした。

長編が終わった余韻に浸ってたり、カクヨムコンの狂乱に巻き込まれてたりしてたらなかなかか書けませんでした。

がっつりネタバレ含みますのでご注意ください。





さて、今回は10話目、【麗しの案内人②】まで読みました。

序章も序章ですね。

『内容が女性向けのダークファンタジー』ということです。


さて、今回思ったのはダークファンタジーってなんだ?ということです。

何となく『ダークファンタジー』って使ってるんですが、説明してくださいと言われると困るなという所です。


なので困ったときのウィキペディアしてきました。

平たく言うと、グロ注意、胸糞注意な世界観のファンタジーというのが概要のようです。

但し、やはりラベリングは不十分なようで、色々と見解はありそうです。



その上で本作です。

あらすじの再引用になるんですが、

“恋愛ダークファンタジー。

基本シリアス。でも愛され主人公。

ハッピーエンド目指してがんばる聖女とヴァンパイアたちの物語。”

ということです。


実際、ヴァンパイアと人が争っている世界で、ヴァンパイアに人が殺され、恨みが恨みを呼んで、ヴァンパイアハンターも組織されていてというような世界観で、ダークファンタジーです。


なんですが、思ったのが(序盤の序盤だけしか読んでないのですが)、「ダークファンタジーが書きたい作品ではないだろう」という感想です。


あらすじの表現で言うならば、本作の主題は、「愛され主人公」であり、「がんばる」姿であろうことです。


私は頭の中にコメディバイアスが働く人間なんですが、コメディの基本は「緊張と緩和」です。

例えば関西住まいの人なら分かるであろう、吉本新喜劇。

役者が出て来ます。

この瞬間に「あのギャグ言うぞ!!」っていう期待感が高まります。ここが緊張です。で、本当に言います。その瞬間に「やっぱり言った!!」って笑います。これが緩和です。


なので、吉本新喜劇を知らない人や普段見ない地域の人、つまり、役者とギャグのパターンが結びついてない人、要するにその役者の登場で緊張感が高まらない人は、「これの何が面白いんだろう?」となって、けらけら笑ってる我々はなんか白い目で見られたりするわけです。

関西圏の方は一度は経験したことがあるもどかしさではないでしょうか?


話が逸れました。

何の話かというと、1話、2話と読みまして、3話目を読んだ時、「あれこれラブコメかな?」と思ったんですね。

緊張と緩和。そういう流れになってます。


基本的に緊張と緩和がある場合、緩和ってオチです。

オチってつまり主張です。

「何が言いたいんだろう?」=緊張。

「それが言いたかったのか!」=緩和。


例えば上司に呼び出されて、

「何言われるんだろう?」=緊張

「忘年会の幹事の打診かい!ビビッて損した!」=緩和。


なので、「愛され主人公」、タグで言うなら「溺愛」の部分が主目的だろうなと思いました。

だからコントラストをはっきりさせるために、敢えて、ダークファンタジーという世知辛いと言うと所帯じみてますね、殺伐とした世界を書いておられるんだろうなという印象です。


と、ここまでの予想を元に話を続けます。

一つは、ならばダークファンタジーとこんなに前面に押し出さなくてもいいのではないか?というのが一点です。


まだまだ序盤も序盤しか読んでないので、その先のことは分かってないです。

もしかして、主人公のすごく大切な人が、極めて理不尽に、かつ唐突に惨殺されまくる鬱展開とかあるのかもしれません。


しかし、いわゆる装置としてのダークファンタジーの世界観であるならば、ここまで押し出さなくてもいいのではないかと思います。


もう一つというか、上の補足みたいになるんですが、作者の人柄か、好みの問題か、殺伐とさせているようで、どことなくほのぼのとした空気が感じられるんですよね。


気分を害されるかもしれませんが、そういう意図ではないです。

子どもが怖がらせようとお化け役を必死にやっているような雰囲気というんでしょうか。頑張って殺伐感作ってます!!みたいな気配を感じました。


なので、なおさら、ダークファンタジーで押さなくてもいいんじゃないのかな?と思った次第です。


ダークファンタジーが書きたくて、ダークファンタジーとして読んで欲しくてという思いであるならば、ダークファンタジーを前面に出すのが正解だと思うんです。

でも、この殺伐とした世界で、身分違いとか、因縁とか色々あるんだけど、どうしても惹かれ合ってしまうヒロインとヒーローが幸せになるために頑張る話が書きたいんだ!であれば、ダークファンタジーという括りにしなくてもいいんじゃないかな?と。


上の主張の作品であれば、異類婚姻譚です。

恋愛ファンタジーです。


ダークファンタジーっていうとやはり重いイメージがあって、一見さんお断り!みたいなイメージが付きます。

勿体ないなと思います。


重くて粘り気のある筆致ではないんですよね。

重そうなんだけど、軽い。

女性向けの作品を読み慣れてないだけかもしれませんが、こういう文体は余り見たことないです。


重くしようと思って、どこまでも重くなっているのはよく見かけます。

なので、この重くなり過ぎないという表現力は本作の魅力だろうなと思います。

ぜひ一度、ご一読を。


https://kakuyomu.jp/works/16817330657069142841


改めまして、黒月一条さん、ありがとうございます。


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