第5話:え?携帯の契約ですか?

携帯電話もといスマホの契約と転生者探しのために携帯ショップに来たわけですが

なんだかとてもクリーンな場所で私の職場もこうであればいいのになと...

なんだか悲しい気持ちになってしまいました


「おーい!!転生者ー!!ケルベロスが来たっすよー!」


「んだー!!いるなら大きく返事してください―!!」


バカ二人がバカなことを

やめてくださいよ!みんな見てるじゃないですか!


「携帯ショップで 大きな声を 出してはいけません ね」


ほら。早速入り口のロボットに注意されてる...

それに奥から店員さんも来てる...

恥ずかしい、一緒に来たと思われたくありません


「お客様?本日は?」


「転生者っすか!?いや、匂いが違うっす」


「でも確かにここから匂いはするっす」


「お客様?その...匂い?とは」


「事情はこうで――」


「あ。大丈夫です古里さん、私達はスマホの契約に来たんです」


「ああ。スマホの契約でございますか」


「でしたらあちらのお席へどうぞ」


「...人が多すぎて匂いの発生源が分からないっす」


怪訝な目で三首さんを見つめているお店の皆さん

そうですよね、不審ですよね。分かります、私もそう思いますから


「ハイテクがいっぱいだべなぁ。いや、いつ来てもここは魔法みたいだぁ」


携帯に囲まれて方言が出てる田舎娘もいますもんね

分かりますよ。ただのとんちき三人組に見えますよね、私は違います。


「ではお席へ、今日のご契約者様は貴方ですか?」


「はい、あと彼女も」


「でしたら二人一度にご契約していただくと少し料金がお安くなります。ご家族様ですか?」


「家族ぅ?違うっす!私達は遠い異世界から転生を共にしている家族よりも濃い―――」


「あ。家族じゃないです友人です」


「あぁ...そうですか、でしたら少しお値段は上がりますがそれでもお安くなりますよ」


今だけサイレンスの魔法を使いたいです

そしてこの二人にかけて黙らせたいです


「お待ちの間に よければ お飲み物を」


席に通された私達に入口のロボットがお茶を持ってきてくれた

黒一色で半人型の、恐らく三首さんより賢そうな。

名前はなんていうんだろう


「ああ。それは当店系列に置かれてるソルト君です」


お茶を持ってきてくれたろぼったを不思議そうに見つめている私に気が付いたのか奥の店員さんが名前を教えてくれた。

ソルト君か…男の子なのかな?いやけどこの世界は女の人にも君付けをする時があるし―――

悩ましいですね


「では契約に移るんですがよろしいですか?」


「ええ、えっと何をすれば?」


「身分の証明できるものと書面の記入を、別料金になりますが携帯の初期設定を済ませるかという選択も」


「あー。あとお乗り換えか新規かを書く欄に記入もお願いします」


店員さんは慣れた様子で書面の記載方法を教えてくれた

仕事でよくこんなことをしているので私も、意外にも三首さんもすらすらと書いて終わった


―――――――――――――――――


無事携帯の契約が終わった私と三首さんは早速初期設定をしてもらった後の携帯でいろいろな機能を試している

私はともかく、三首さんまで夢中になるなんて、当初の目的は忘れてるみたいだ

平和だからそれでいいですけど


「すごいっすねー。もはや魔具っすよこれ」


「そうですね、この世界の人間の科学力は目を見張りますね」


さすがにここは意見が一致しました。

声を録音したり静止画を撮影したり、動画まで撮影出来て遠方の人とテレパスのように電話もできる


「よがったなぁ。これでもうみんな離れてても安心だべな」


相変わらず古里さんは感動と驚きで方言が丸出しになっているけど喜んでくれてるみたいです

これさえあれば生活も便利になるでしょうし、私もうれしいです


「んで、見つかったべ?」


「あ…!!忘れてたっす」


余計なことを言わないでください。本当に。

今の今までこのスマホに気を取られて、さて帰りましょうってときに

そんなことをしたらまた三首さんが―――


「うちらは!!!家に帰るっす!!!転移者は今から住所を言うのでそこに―――」


「お客様!店内で大きな声は!!!」


ほらぁ...また店員さんが飛んできた

しかも今度は何かよくわからない二股に分かれた棒みたいなものも持ってきてますよ

このまんまだとまずくないですか


「あ!何するんすか!やめてくださいっす!セクシャルバイオレンスっすよ!!」


取り押さえられながら三首さんがわめく


「三首さん。セクシャルハラスメントです、あともう用も済んだし帰りますよ!」


「んでも!」


「古里さんも!このままじゃ私達ただの不審者ですから!今日は改めましょう!」


なんとか二人をなだめて、三首さんを解放してもらって引きずるようにして私は家に帰った

三首さんは悔しそうですが、このまま捕まるよりかはましです

というよりあなたバレたらNASAとかFIFAとかに売られてとか言ってませんでしたか???

そんな大声を出して別の存在であることをアピールしても大丈夫なんでしょうか…



―――――――――――――


なんとか家について数時間。

流れで夕飯を一緒に食べることになって、ちょうど食べ終わったころ


「んー。見つかんなかったすねー」


今日の夕飯は三首さんが作ってくれたんですが、想像を裏切らず不味かったです

古里さんよりも下手でした。

コンビニで買ってきたであろう犬用のペテグリージャムとかいう缶詰を出された時はもう驚きをこして怒りを覚えてしまいました

良かったですね。こん棒が無くて


「諦めちゃダメです、きっと今日の夜家に来てくれますよ」


「あ。そうだ、そんなことも言ったっすね」


自分の発言を忘れないでください...もう...


「私はあの女性店員さんがそうだと思います」


「いや、うちらを対応した人からはにおわなかったっすね、あそこまで近い距離に居たらさすがにわかるっすよ」


「それよりも奥の白髪の男の人。あれは見た目もオークにそっくりだったっすし」


「失礼なことを言わないでください、よくいますよああいうおじさん。部長だってあんな顔じゃないですか」


「何気に一番凜ちゃんが失礼だべな...。」


そんなときでした



――――ピンポーン


玄関のチャイムの音が部屋中に響きました

まさか本当にあのバカな誘いに?効果が???


「ほら来たっす!!きっとあのオークっすよ!」


「どうだろうね。ワクワクするね!」


「いやでも。待ってください、住所を言う前に私が止めているのできっと別の何かですよ。変に期待しないでください、見てきますから」


そんなことはないと思いながら玄関に向かいドアを開ける


『ガチャッ』


「――――は?」


ドアを開けるとそこにいたのはたぶん誰もが想像もつかない人物でした


「こんばんは 言われた通り 家に 来ました」


「そ...そ...ソルト君!?!?」


「同じ転生者が 居ると聞いて 元の世界に戻る為 交友を深めるため」


私の大声を聞いておくから二人もあわてて走ってくる

そして案の定二人もあっけにとられて口をぽかんと開けていました


「ゴーレム の ソルト と申します」


まさか過ぎる来訪者、そしてどうして住所がわかったのか

もう色々考えることが多すぎて頭がパンクしそうです...


こうして三人目の転生者を家に迎えてこの夜はまだまだ長くなるのでした―――――

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現代転生~え?元ゴブリンがOLですか?~ 小佐マーヤ @inaina

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