第12話 王様になる
馬車を売り払った、盗賊の馬車だがそれなりの額が貰えた。
兵士から連絡が入り報奨金と懸賞金でまたお金が増えた。
そろそろ落ち着きたいところだが、なかなかいい街が見つからない。
ここもまたコレジャナイ感がある。
奴隷が多いのだ。
「いっそ奴隷を解放して回ろうかな」
「それはおやめになってください」
「なぜ?」
「あれでも必死に生きてるんです。急に解放されても行く場所がありません」
「流石に全員の面倒はみきれないな」
「だからです。しかも街の奴隷を解放したら罰になります」
「王様を奴隷にするか!」
「それも出来ません」
「本当にめんどくさいなぁ」
王様になってやろうか?
「みてると吐き気がするな」
「私達もあの状態でしたから」
「奴隷制度はこの国だけか?」
「一応他の国では禁止になっています」
「んじゃこの国だけだな!」
「どうするおつもりですか」
「王都に行くぞ」
「は、はい」
この街から王都までは一週間掛かる。
サンとウェンに交代で御者をさせて出てきた盗賊は蹴散らして行く。
また増えたな。
今度は女の子三人二十代の子達だ。
祝詞を唱えて奴隷紋を消すと泣き出した。
そりゃ辛かっただろうさ。
服や下着は他の体型の似た子からのお下がりになるがこれで一時凌ぎにはなるだろう。
「カイトさん町がありますが同時すか」
「寄ろうか」
「はい」
女の子三人の服なんかを街に寄って買って、久しぶりに宿屋で寝る。
次の日も王都に向けて出発だ。
なんとか王都に着いたな。
奴隷が普通にいて虐げられている。
宿屋に泊まると、夜中に出かける。
王城には流石に入れないだろうと思ったが警備が手薄ですんなり入れた。ここの王様はある意味大物なのかもしれないな。
見つかれば斬るが、それ以外は静かに潜んで王様の部屋を探す。
ようやく見つけると朝になっていたが構わないので突撃して王様を斬る。交換を俺が被り俺が王様になったと言って女王も地下の牢屋に入れると、今度は息子が出てきたので斬る。これでこの国は俺の国となったわけだ。
「宰相!」
「は!」
「この国の奴隷を皆解放する」
「は?」
「二度は言わん!さっさと始めろ!」
「そんなことできません」
「何故だ?」
「奴隷紋は結婚でしか」
「祝詞を唱えれば解放出来る。奴隷を連れてこい」
連れてこられた奴隷はひどく痛そうな怪我をしていた。
「何故怪我をしている?」
「私が見せしめのためにやりました」
こいつは確か兵士長だな。
俺は祝詞を唱えると奴隷紋が消え去る。
皆唖然としているが俺は回復魔法もかけた。
「よくもさっきはやってくれたな!」
「さっきまで奴隷だっただろうが!」
「今じゃ奴隷じゃないんだよ!」
奴隷だった男はガタイが良くて強そうだ。
「うらぁ!」
兵士長を投げ飛ばしてぶん殴っている。
「よし、これから君が兵士長だ、で君は解任だ」
「そ、そんな」
「宰相何をしている奴隷をさっさと」
「きえぇぇぇ」
宰相が剣を片手に襲ってきたので首を刎ねる。
「兵士長!」
「はい!」
「奴隷紋は消せるからありったけの奴隷を集めてこい」
「はい!」
兵士長になった元奴隷は元々が兵士長だったらしく機敏な動きで奴隷を集める手筈を整えている。
元兵士長は自分がいつ狙われるか心配で逃げていった。
王城には大勢の奴隷が集められた。
祝詞を唱えて奴隷紋から解放する。
元奴隷だったやつらに奴隷を集めるように指示をし隠した場合は斬首の刑に処すと言い渡した。
元奴隷たちはキビキビと動き出し奴隷を連れてくる。いる程度集まったら祝詞を、唱えて奴隷紋から開放する。
そうした行動に出れば奴隷商人はたまったものじゃないと王城に駆けつけるが全て斬首の刑にした。
この国では奴隷制度を廃止する。
これは俺が言ったわけじゃなく王に相応しいやつを探して王にしてやった。
まぁ。おれは旅したいだけだからな。
それからの旅は快調だった。
奴隷がいなくなればたち行かないから雇うしかないわけだがそれなりに足元を見られ必死に交渉して雇うしかない。別の奴隷は主人を殺して奴隷達と共に仲良く暮らしている奴らもいた。
14
盗賊達に捕まっている奴隷はどうしようもないが、教会に行く。
「制度を変えたぞ」
『そのようですね』
「奴隷紋は消せないのか」
『祝詞を唱えれば消せますが』
「それじゃあ意味がない奴隷紋自体を消すんだ」
『それは』
「奴隷紋をこの世から無くす」
『分かりました』
「よし。ありがとう」
初めて教会から出るときに笑顔だった。
神様は本当にいて、やれないことはないんだ。
おっさん転移者、我が道を行く。 あに @sanzo
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