天使の羽

まつりごと

天使の羽

ある日、学生の子に羽が生えた。

彼の背中から制服を突き破って出たそれは絵に描いたような天使の羽だった。

授業中だったその時は、全員が動きを止め彼を驚いたように見つめる。

羽を出した彼自身も口を開け驚いていた。

全員が静止している教室で、羽だけがばっさばっさと音を立てる。


彼のことはすぐに全世界へと広まった。

マスコミはこぞって彼にマイクやカメラを向ける。

彼は俯き、羽で自分を覆う。

カメラは彼を写し続け、数名の専門家が口々に分析し始める。


彼はだんだんと人間から離れていった。

髪は白髪になり、腕には白い毛が生え、ある言語を話すようになった。

一部の人は、彼を化け物として嫌い、その他の人は神として彼を崇拝した。


ある人が言うには、彼が人間に戻るためには生えてきた羽を取るか、縛り付け人目の届かないところに閉じ込めるかであるらしい。

彼は前者を選択した。

ノコギリを手に持ち、羽を切っていった。

彼から離れた羽はすぐさま変化し、黄色こんじきの輪へとなった。

彼が羽を2つ切り離した頃には、彼の頭上と首の周りに一つづつ黄色の輪が浮かんでいた。

羽は元通りになっていた。


数日後、黄色の輪を2つもち羽を広げて空を飛ぶ人のようなものが様々な場所で見られた。

メディアはそれを大胆に取り上げ、面白おかしく報じた。

さらに数日後、とある場所で、羽の生えた人のような未確認生物がボロボロの状態で発見された。

人々は彼ではないかと噂をした。

しかしその噂は時間が経つとすぐに消えてなくなった。


僕らのいたずらとしては、面白くないんじゃないか。

そうだろう、天使達みんな

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天使の羽 まつりごと @kaku1019

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