第十五回 イルカーレースのご案内

第十五回 イルカーレース 参加者募集中‼︎



日時:〈予選〉十月二十日(日) 〈本戦〉一月十五日(月・祝)


参加資格:男女問わず健康な十八歳以上の方、運転免許証を取得している方

    


場所:〈予選〉瀬戸内海 〈本戦〉オホーツク海



ルール:水圧でも潰れない次世代型レーシングカー『イルカー』に乗って、障害物を避けながらゴールを目指して頂きます。視界が悪い場所では必ずソナーをお使いください。ソナーは運転席にあるソナーボタンを押すと発せられます。尚、カーナビにはソナーの様子も映し出されます。



注意事項:車体の改造は出来ません。

    相手への妨害は可能ですが、節度を守って行いましょう。

    海の生き物は大事にしましょう。

    飲酒運転は事故の原因となりますので、当日はアルコールを摂取しないようにしてください。



参加費:10000円(消費税込)


































 随分とふざけたスポーツだな、と俺は廊下の掲示板を見ながら思った。他にも通り過ぎる人はいるが、こんなおかしなスポーツに興味を持つのは俺くらいのものだろう。だが、来年からは就活が始まるのでこんな風に楽しい思い出を作るのも悪くないだろう。





 掲示板のペラ紙を見ていた俺に声をかけたのは、同じゼミの圭人だった。

「よう、翔太。こんなとこで何見てんだ?」

「水中カーレースだってさ。イルカみたいなマシンに乗るんだと」

「スワンボートじゃあるまいし、誰が応募するんだろうな」

圭人は腹を抱えて笑う。

「お前も出るか?俺さ、この前運転免許取ったばっかなんだ」

「出ようぜ!俺、翔太と勝負してぇもん」

「ちょ、なんだよそれ」





 ポスターの下にはホームページアドレスと、スマホ用なのかQRコードがあった。ご丁寧に、『気になる方はココをチェック』とポップな字体で書かれている。俺は申し込む為に、スマホをリュックから取り出し、カメラでQRコードを読み取った。





 申し込みが終わった俺は、圭人に、

「お前も出るの?」と尋ねた。

「出るよ。あ、あとマシンは今のうちに決めといた方が良いみたいだぜ。人気のやつは抽選になるみたいだから」

「お、サンキュー。じゃあ、決めとくわ」

そう言って、俺達はそれぞれ違う講義を受ける為、別々の講義室へと向かった。




 先生の講義はビデオのだからか、ノートを取っても取らなくても良かった。それよりも、今は水中カーレースの方に興味がある。ホームページにはヒストリーという項目があり、それによるとかなり過酷な競技でもあるらしかった。

「やべーじゃん……」

この時俺は、エントリーしたことを少し後悔していた。

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