大学ノート

 今は昔、わたしの家の近くには小さな文房具屋さんがあった。おもちゃなどはなかったが、かわいい2Bの鉛筆があったり、マニキュアに似せた容器に入った糊や、かわいいノートもあった。鉛筆は沢山あったし、中には4Bもあった。反面、画材などについては印象が薄い。もしかしたら殆どなかったのかもしれない。覚えている範囲だと、他にノートや墨汁、印鑑を売っていた。




 自転車を走らせた先にある大きな文房具屋さんには、沢山の画材があったし、細かいところではテープや鋏も沢山あった。二階には様々な種類の絵の具や画材、事務用品があった。ショーケースにある万年筆はとても高くて手が出せそうにはない。キラキラ輝いていて、わたしが手に取るのは勿体ないものだからだ。それに、わたし自身、安いが万年筆をいくつか持っている。




 大学ノートが入り用だった時には文房具屋さんに足繁く通ったものだ。スーパーでも買えないことはないが、かわいらしいデザインのノートは文房具屋さんでしか買えない。




 勉強以外にも大学ノートの用途というのはあって、趣味で使うもの程ふざけたデザインがいいという持論をわたしは持っている。例えば、落書き帳や、好きな小説やアニメの考察。もしくはそれに準ずる勉強。今まで見たやつだと、小さくてかわいいだけでなく、本物の書籍と見紛うようなデザインのもの、リングで綴じられたものもあった。ちなみに、実用性特化のノートには『綺麗に書けるノート』もあるのだが、そういうものほど実は無地で面白みのないデザインが多いと記憶している。




 改めて大学ノートの中身を見てみると、理科や社会のノートには、端の方に一本のまっすぐな線が引かれている。これは、板書に書かれず、口頭で説明されたもののメモ書きだ。大体関係ないことばかりだが、面白いと思ったことは必ず書き留めていた。日によっては面白みのないものもあったり、そもそも全くない日もあったが。




 わたしの字は丸っこいとは言われない。が、行に合わせて調整出来こそすれ、大きいので方々から「読みやすい」と言われたことはある。行があるうちはまだしも、自由帳に文字を書き込んだら大変なことになってしまう。文字の大小がほぼ調整出来ないこともあり、そこまで酷くはならないものの、文字の大きさが揃わないからだ。小説の下書きなどを書く時には物凄く不便だが、趣味で数学などを学んでいる人、日曜農業や日曜大工をしている人が設計図や表を描く分には見やすいとすっきりするかもしれない。そこまでする人がいるのかは分からないが。




 

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