設定どこまで説明すればいいのか問題

 前書き


 C-ram様、熱のこもったレビューをありがとうございました。

 WEBというフィールドで戦いながら、作家を目指すというのはとても大変なことだと思います。そんな中、相反する属性をうまく制すことができれば、その時はなろうの顔となった作品たちみたいに大ヒットするのかもしれませんね。

 あるいは、マイペースで我が道をゆくのも一つの選択です。個々人、悔いなき道を選べばよいかと存じます。

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 先に言っておきますね。今まで書いてきた記事は、私が悩んだ末に決めたことなので、なにかしらの結論がありました。ですが、今回の話は現在進行形で直面している問題なので、明確な結論はありません。


 ※また、当エッセイでは主に異世界ファンタジーを想定して語っています。他のジャンルに関しては、該当しない可能性があります。




 前回、モヤモヤする原因として、説明がうまくできていないことをあげました。現在、直面しているモヤモヤ問題もここに起因しています。


 私は以前、説明過多はNGだと書きました。ですがそれは、序盤に限った話です。ストーリーに読者を引き込んだ後は、きちんと設定を深掘りしていかなければなりません。説明を怠れば、読者はふわふわしたまま読み進めることになり、それはそれで離脱の原因となってしまうからです。ですが、だからといって説明ブロックを山脈のように積み上げるのはやはりまずいでしょう。


 この力加減が超ムズかしい!


 ガッツリ説明しすぎて失敗したという反省から、私は説明をかなり省きました。その結果、第二章まで15万文字ある中で、作中での設定説明は最小限に留めています。


 用意した設定を100%とした場合、10%といったところです。


 だったら説明を増やせよ。そう思いますよね。

 ですが、そんなに簡単な話なら私は悩んでいません。


 なぜ、簡単ではないのか?


 それは――


 読者がどこでつまずき、どこを理解できていないのか。また、どこからどこまでを理解できているのか。その範囲を把握できていないから、どの説明をどこにどれだけ追加すれば良いのかがわからない。

(作者の私はすべての設定を完璧に理解しているため、何度読み返しても知識面で読者と感覚を共有させることは不可能です)


 設定説明の難しいところは、読者ごとに読解力や記憶力が異なるので、一度書いたぐらいでは伝わらないところにあります。だから重要な設定は何度もだして読者に理解してもらわないといけない。

 実際、一読者として小説を読んでいる時、説明があったのにすっかり忘れていること、説明を理解できずにモヤっとすること、ありますよね。私はよくあります。


 つまり、仮に説明ブロックをポンと投げつけても、読者はなんとなくしか理解できないんですよ。だから本当に理解してもらいたいのなら、繰り返し書くしかない。

 これは商業用の小説も同じです。お手元のラノベを手に取ってみてください。重要な設定は、章もしくは巻が変わるごとに繰り返し説明されていませんか?


 少女に抱かれて行く異世界の旅についても、同様の反省があります。読んでくださった方、後半に説明ブロックを山盛りで投げつけてしまってごめんなさい。多分、あれを読んでも全部は理解できませんよね。私が言いたいのはそういうことです。


 じゃあ、何度だせば伝わるんだ! って話になるんですけど。

 でも、何度もだしすぎたらそれはそれでくどいでしょう?


 このバランスが極めて難しい。


 しかも。


 現在書いている小説は元々「龍人族の公主様」というタイトルだったことからもわかるとおり、龍人族という種族の治める土地での話になるんですよ。


 で、龍人は人間とは感性が違うって設定なんですけど、この感性のズレを設定説明を交えてうまく伝えないと、感情移入の妨げになると思うんです。モヤモヤしている理由、設定説明の肝はここにあります。(ここをミスると一発退場レベルのアウトを食らうと思います)


 一応、対策として、主人公を半龍人(人間とのハーフ)とすることで、人間寄りの思考をできるようにして、読者と目線を合わせられるようにしてあります。ヒロインが変なことを言ったときに、読者目線のツッコミを入れられるように。


 ですが、この対策もどこまで機能しているのか。すべてを知る創造主たる作者には、想像することさえできません。まるで孤独な神にでもなったかのようです。


 もしかすると、異世界転生者に対してチートを授ける女神様も、このような心境なのかもしれません。自分が出張って魔王を倒せば話は早いが、しかし、世界がどうあれば正しいといえるのか――神としての尺度しか持たない自分には――それがわからないから導くことができない。ゆえに、同じ人間である異世界人に救ってくれと頼むのではないか。魔王を倒した後の世界も含めて。


「誰かー? 異世界(私の小説)救ってくれー!」


 おっと。女神様の声が漏れ出てしまいましたね。

 あ、ちなみにチート特典はないです。残念な異世界転生のパターンです。それでも良ければ是非お願いします。


 と、冗談はさておき。


 解決策を求めて、昔読んでいたラノベを引っ張り出して、読み返してみました。すると、結構序盤からガッツリ説明してあるんですよね。物語を動かしつつ、設定が詰め込まれている感じ。でも、途中でふと気づいてしまったんです。


 それはあくまでラノベであって、WEB小説ではない。


 昔、とある作品をモロパクリしたWEB小説を読んだことがあります。パクったというレベルではなく、盗作といっていいぐらい似ていました。展開はほとんど同じで、トレースしているんじゃないかってぐらい文章も似ている。登場人物の名前や技名が違うぐらいの差しかありませんでした。

 なお、通報が入ったようで数日でアカウントごと削除されていました。この対応の早さからも、どれだけ似ていたのかがわかると思います。


 盗作された作品は、誰もが知る超有名なラノベだったのですが、しかし、盗作作品への評価は極めて低かった。全く相手にされていなかったと言ってもいい。劣化版とはいえ、パクられ元を知る私が読めば一発でわかるぐらい似通っていたにも関わらず、です。


 WEBでは有名作品の劣化版であるテンプレが溢れていますよね。でも、テンプレは人気です。一方、超有名なラノベをそのままパクっても人気は出ません。


 それはやはり、WEBと書籍で求められているものが違うから。


 どうやらラノベを参考にはできないようです。


 とすると、参考にする対象はWEB小説が適切となるでしょう。しかし、テンプレ作品は設定説明をほぼスキップしているので、参考にはなりません。そうすると、非テンプレで人気のある作品を参考にするべきという結論になるのですが……


 でも。


 私の記憶にある一流のWEB小説でいえば、エベレスト並みの説明ブロックがひしめいていた気がするんですよね……あれは真似しちゃ駄目でしょう。なろうの累計ランキングトップ層の平均文字数を真似しちゃいけないのと同じ理屈です。


 そうするとやっぱり自力でどうにかするしかないのかなぁ。


 ……

 …………

 ………………


 2023/11/27現在。明確な答えはまだ出ていませんが、必要だと思われる説明を順次入れていく形で書いています。序盤平坦すぎる問題の時のように、説明専用のシーンも差し込みました。


 ですが、残念ながらモヤモヤは取れていません。

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