テンプレ展開を使うべきなのか?
前書き
スティリア様、素敵なレビューありがとうございました。
顔が真っ赤になるほど嬉しかったです。
注意書き
私の知識は小説家になろう時代の知識であり、かつ、古いものが混じっています。カクヨムには当てはまらない可能性があるので、その点はご注意ください。
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王道という言葉があります。
WEB辞典である「weblio辞書」にはこう記述されています。
―― 引用 開始 ――
(2)楽なやり方、最も適したやり方を意味する語。
引用元URL:https://www.weblio.jp/content/%E7%8E%8B%E9%81%93
―― 引用 終了 ――
王道の定義は少し曖昧な部分があり、人によって解釈が異なる場合も多いかと思います。しかし、王道と呼んだ場合は、基本的にはポジティブなイメージを持たれるのではないでしょうか。かくいう私もそうです。
少年漫画などでよく王道ストーリーと呼ばれることがありますよね。あれは、読者が望む展開、多くの人から支持される展開のことを指しています。
そして私の中にある王道のイメージもこれです。
しかし、冒頭でも示したとおり、楽なやり方という意味もありますから、これをテンプレと混同して呼ばれる方もいます。
ですが、WEB小説におけるテンプレ展開と王道展開は完全に別物です。
例えば、もっとも有名な王道ストーリーをあげるとするなら。
「捕まった姫(ヒロイン)を助け出す。そして姫と結ばれる」
これでしょうか。
小説、漫画、ゲーム、映画とありとあらゆるジャンルで使われています。
これをテンプレと呼びますか?
空から女の子が降ってくる名作があったとして、テンプレと呼びますか?
呼びませんよね。
では、どのようなものをWEB小説ではテンプレと呼ぶのでしょうか?
説明は簡単です。読んで字のごとく。用意したひな形を使って、あたかもコピペして作ったかのような展開を指してテンプレと呼びます。
例えば、婚約破棄ものの冒頭で。
「〇〇、おまえとの婚約を破棄する!」
との宣言から始まる一連の流れであったり。
例えば、追放ものの冒頭で。
「無能のおまえは必要ない。パーティから出て行ってもらう」
との絶縁宣言から始まる一連の流れであったり。
例えば、異世界転生もので。
「あなたに一つだけ、チートスキルを授けましょう」
女神様から授かったチートを片手に冒険者ギルドの門を叩く展開であったり。
そして大抵の場合、第一話は丸々同じような展開が続きますし、二~三話まで同じような展開が続く作品も珍しくありません。
これらは作品ごとに多少の違い――亜種はあっても、ほぼ同じものであります。本当に他人の作品をコピペしてから上書きして作ったんじゃないかってぐらい似ています。だからテンプレと呼ばれるのです。
そのため、しばしばテンプレ作品は馬鹿にされます。
オリジナリティのない量産品。こんな風に。
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この先は便宜上、王道とテンプレは分けて考えます。
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では、なぜテンプレ展開が小説家になろうでは人気なのでしょうか。
これは読者側にも作者側にも明確なメリットがあるからです。
読者側のメリット
小説を読むというのは労力のいる作業です。毎回新しい小説を読むたびに、新しい世界設定、登場人物を理解し、覚えていくのは大変です。そこでテンプレ展開の出番となります。冒頭から、お約束のやり取りをすることで、読者は「ああ、このパターンか」と自然な形で話に入っていくことができるのです。
作者側のメリット
何も考えずに労せずして物語の導入を進めることができます。
WEB小説において、もっとも力を入れなければならないのは、物語の冒頭である。とまでいわれる物語の最重要部分を手早く簡単に済ますことができるのだから、これほど楽なことはありません。しかも読者もそれを望んでいますから、winwinといえるでしょう。
このwinwinな関係がテンプレが積極的に使われる理由なのだと思います。
小説家になろうのランキング上位作品は、その多くがテンプレを採用しています。オリジナリティを出すのは、何かしらの一芸特化(独創性のある能力など)で代用し、本当にやりたい展開は序盤のテンプレ展開が終わってから、少しずつシフトしていく形を取っているようです。つまり、作者側も本当は書きたいものがあるんだけど、そこをぐっと抑えているのかもしれませんね。
さて、私は長らくテンプレを忌避してきました。
しかし、長文タイトル同様に、使えるべきものは使うべきなのかもしれません。
私は小説を書き始めた7~8年前に、多くの小説指南書を読み漁りました。中には現役のプロが書いた大変有意義なものまでありました。
その中で、誰もが口をそろえて言っていたのが、物語の冒頭に関してです。
物語を動かせ。
誰が主人公かわからないのはNG。
主人公が登場しないのもNG。
主人公は第一話から出ているべきだ。なぜなら主人公に感情移入させる必要があるからである。
物語が停滞していてはならない。できるだけ動きのあるものにしたほうがよい。
などです。
自分ではこれらのことを守っているつもりでいましたが、しかし実際は守れていなかったのかもしれません。
というのも、満を持して投下した力作(自称)と自負する短編が大ごけしたからです。自分が一番面白いと思うシーンから開始し、きちんと主人公がいる状態で物語が進むように注力したにも関わらずです。
しかし、反省点はあります。箇条書きにすると。
・タイトルが簡素で何の話かわからない。
・説明過多になっていた。
・短編のくせに28000文字もありやがる。
(小説家になろうの短編はだいたい3000~5000文字が相場です)
説明過多。これは絶対NGなやつです。小説指南書にもそう書かれています。しかし、独自の設定を盛り込んでおり、物語の構成上、説明しなければ意味不明になってしまうのです。
ならば、説明しなくても良いように物語構成を変えるしかありません。最終的に、物語のスタート位置を変更するという結論に達しました。(同時に話数を増やし、説明を分散させました)
素人は格好つけずに順番に描写してけってことです。
具体的にいうと、学園ものなので、学園に入学するところからスタートすることにしました。(短編は入学から一年経ったところから始まり、いきなりヒロインと戦うところから始まっていました)
そして最もオーソドックスな導入を考えた場合に出てくるのがテンプレです。
テンプレは優秀です。
みんなが使っている共通部分を骨格として抜き出し、地の文とセリフをオリジナルなものに変えれば出来上がるわけですから。
先程いいましたとおり、自分では最高に面白い冒頭を書いたつもりでいました。しかし、実際はできていなかったのでしょう。ならば、プライドを捨てて、テンプレを採用するのもありなんじゃないかと悩んだ末に思ったのです。
しかし、とある理由からテンプレをそのまま使うことはできませんでした。
長くなりそうなのでここで一旦切ります。
次回は、テンプレをどのように使うべきか。検討したいと思います。
ではでは。
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