プロ作家でも難しいといわれる客観視について

 現在、長編小説を執筆中です。

 書き上がっているのは第二章までの約15万字ほど。


 裏面でコツコツと書き進めている訳ですが、ある日、ふと疑問を感じました。


 このまま書き進めても良いのだろうか?


 そこで長編の序盤部分を加筆して、短編にしたため試しに投稿してみたのです。

 これは8月のことであり、投稿先は小説家になろうでした。


 しかし、結果は悲惨なものでした。短編で試して正解だったという訳です。


 書いてる本人はメチャクチャ面白いと思っているんです。

 けれど、そこには作者と読者の間に身も凍るような温度差があったのでしょう。


 読者視点の客観視をするべきなのでしょうが、作者は設定やキャラクター背景を考える際に思いっきり感情移入してしまっているので、それが大変難しい。

 作者が面白いと思って書いているシーンも、読者からすると退屈なのかもしれません。


 では、どうやったら自分の作品を客観視して読者目線で見ることができるのか?


 恐らく、この問いに対する明確な答えはないと思います。

 プロでも難しいという話を聞きますからね。それでも一つあげるとするなら、時間をあけてから読み直すことでしょうか。小説を書いている時にたぎる熱量が冷めてから、冷静になって読み返すことで客観視ができるようになるというものです。


 さて、話は一旦脇にそれます。


「少女に抱かれて行く異世界の旅」は六年前に小説家になろうで書き始めた作品で、私の書く長編としては二作目となります。作品のコンセプトは可愛らしいモフモフが少女に守られながら旅をするというもの。多くのモフモフ作品との決定的な違いは、モフモフは純然たる魔物なので、知能がそこまで高くないというところでしょうか。


 当時、この作品を書いている時の私は、最高に面白い作品だと信じて疑いませんでした。


 しかし、実際に投稿を始めてみて。

 伸び悩むブックマーク。不動の評価。

 現実を前に、私は打ちひしがれました。


「そうか。これは面白くないのか」


 そう思ったのを今でもよく覚えています。

 事実、ランキングに、かすることさえ無かったのでそれは間違いないのでしょう。


 その時感じたのが、作者と読者の間にある絶望的なまでの溝です。自分の中では面白いはずのに、他の人が見たらつまらないと感じる。感性の違いと言ったらそれまでですが、それだけではないように私は感じました。


 そして悩んだ末にこう思いました。


 自分の伝えたい面白いをうまく伝えられていないのではないか。


 盛り上がるはずのクライマックスで盛り上がっているのは作者だけなんじゃないか。読者は置いてけぼりなんじゃないか。ということです。


 そこで表題にもある通り、読者目線での「客観視」をできるようになりたいと思うようになりました。


 さて、前置きが長くなってしまいました。

 私は先程、客観視するためには「時間をあけてから読み直す」と言いました。


 カクヨムに投稿する関係上、ルビ振りルールの違いから「少女に抱かれて行く異世界の旅」の改稿が必要になりました。そして私は、その作業の合間に「少女に抱かれて行く異世界の旅」をもう一度読んでみたのです。


 初投稿から六年もの年月が経っています。

 時間をあける必要があるとするならもう十分でしょう。


 一度もランキングに載ることのなかった作品です。

 何か致命的な欠点があるのでしょう。


 そう思って、粗探しをするつもりで読んでみたんです。

 でもですね。困ったことに面白いんですね。これが。

 最初の頃はこんな風に書いてたんだな。「今と全然違う書き方なんだな」なんていう再発見はありました。


 が、肝心の問題点が何一つ見つからなかったんです。


 当時の私は最高に面白いと思って書いていました。

 そして今の自分も、読み返してみて面白いと思っているんですね。不思議です。

 自分の中での面白いを詰め込んだ作品は、いくら時間が経過しても自分にとっては面白いままなのかもしれません。


 と、ここまで。これは8月21日に書いた記事です。


 今現在。

 カクヨムを一ヵ月ほど利用した結果、新たに見えてくるものがありました。

 次回は、自作品「少女に抱かれて行く異世界の旅」の問題点、評価されなかった理由について分析したいと思います。


 ではでは。

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