第3話 拝啓 レナード国王陛下

 無事即位式を終えられて何よりです。

 おそらくあなたは今、この手紙を読んで、混乱と失意と裏切られたという想いに駆られていることでしょう。

 あなたが国王になった今、俺の存在は城には必要ないと判断しました。

 聡明な貴方は、きっと俺がいなくとも上手く臣下を取りまとめ、国政の差配をできるかと存じます。

 そこで俺は城を出て、自分の足でこの国を見て回ることにしました。

 俺は生まれてこの方ほぼずっと城で過ごしており、自分の生まれ育った国のことをまるで知りません。

 あなたはこれからも城を離れられないでしょうから、身軽な俺は国の方々に顔を出し、民の実情を確かめたいと思います。

 この気持ちを理解するのは難しいでしょうが、どうか俺の身勝手をお許しください。

 陛下の御代が末永く続くよう、影ながら支えたいと思います。

 

 アレクシス

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