第3話 ドジっ娘、服を買う。そして家に行く

「すいませーん!」

「おう、ロイス君か! ん!? まさかロイス君が女の子を連れてるなんてな....。感動じゃなぁ」

「違いますよ。この人は転生者ですよ」


 俺は誤解を訂正する為にそう言った。


「転生者様がロイス君と一緒に.....。納得....じゃな」

「納得なんですね」


 するとオウカが自己紹介をいきなり始めた。


「転生者でロイスの仲間のオウカです!」

「オウカと言うのか。わしはエリオじゃ。この魔術士の服や武器を売っている店の店主でもあるぞ」

「変なのがいっぱいですね!」


 変なとか言うなよ。確かに転生者からしたら違和感しかないのかもしれないけど。


「それで今日は何をしに来たんじゃ?」

「オウカの服とかを買いに来たんですが....」

「それなら転生者専用のが国王からここに届いてるぞ」

「そうですか!」


 なんであの国王はわざわざここに送ってんだよ。


「今取ってきてやるから待ってろよ」


 エリオさんは転生者専用の服を取りに行ってくれた。


「ロイス! このお店凄いね!」

「ここはギーデイルでも有名な魔術士の装備を売ってるところだからな」

「見てよこれ! この木の枝可愛いよ!」

「それは魔法杖だ」


 そんなことをしているとエリオさんが服を持ってきてオウカに渡した。


「ほれこれじゃ。なかなかいい感じじゃろ?」

「ほえー。可愛い!!」

「気に入ってくれたようでなによりじゃ。それで武器は必要か?」

「そうだな。一応買っとくか」


 武器は....さっきオウカが見ていたやつにするか。


「それじゃあこれで」

「それ買ってくれるの!?」

「まぁな」


 その魔法杖をエリオさんに出した。


「これは金貨1枚じゃがおまけして銀貨7枚に変えといてやるぞ」

「本当ですか?! ありがとうございます!」


 そして俺は支払いを済ませエリオの店をあとにした。


「よし、じゃあ俺の家に一旦行くか」

「レッツゴー!!」


 オウカは異様にハイテンションだった。


「それより気をつけてくれよ」

「何が〜?」

「俺の親は...特に母さんの方は厄介だからな」

「大丈夫だよ! 私そういうの慣れてる!」


 慣れてるならひとまず安心だが.....。


 俺達は少し歩き家の前にたどりつき扉を開けた。


「あらロイスちゃんおかえり〜!! ってその女の子は誰よ!」

「俺が浮気したみたいな言い方をやめろ。この人は転生者だよ」

「ロイスー!! 彼女を作るなんて.....。抜け駆けか! 約束破ったのか?!」

「彼女じゃないし、約束ってなんだよ」


 案の定、家の中はオリオと母さんのせいでうるさかった。


「転生者様だったのね〜! 私はロイスちゃんの母のメリダって言います。よろしくね!」

「あ、はい! 私は転生者のオウカです!」

「あぁ! 名前も美しい! お嬢さん、僕の名前はオリオって言います。ぜひ覚えて帰ってくれよ!」

「何やってんだ、お前は!」


 とりあえずこの状況を打破するためにオリオの頭を叩いた。


「ロイスは相変わらず酷いな。俺が可哀想だよ」

「俺のほうが可哀想だ」


 オウカはこんな状況なのにも関わらずなぜか笑顔だった。


「オウカ、どっかでその服に着替えてきていいぞ」

「わかった!」

「そういや母さん、この弁当の袋に何勝手に書いてんだよ!」

「え〜! いいじゃない〜! その方が可愛いわよ!」

「恥ずかしいからやめてくれ.....」


 ダメだ。この親を止められる者なんて存在しないんだろうな。


「なんだー? ロイス反抗期か?」

「オリオくん、どっちかというと幼児期よ!」

「そうか!」

「幼児期でもねぇし。あと納得するな! もういい俺は自分の部屋に行く」

「あ〜。もう上がっちゃうの?」


 俺は母さんが何かを言っていたがそれを無視して二階の自分の部屋に向かった。


 この家族といいオリオといい変なやつしかいないな。


 そんなことを思いながら俺は部屋の扉を開ける。


「わぁあ!!! びっくりした!」

「!?」


 そこには今から服を脱ごうとしていたオウカがいた。


 ちょっと肌が見えた。


「あれ、もしかして見たかったの?」

「なんでそうなるんだよ! 勝手に開けてすまん!」


 そして俺は勢いよく扉を閉めた。


 なんで俺の部屋で着替えてんだよ.....。


 その後色々考えすぎて部屋の前で俺は固まっていたのであった。


「まだ居たの? 早く下に降りよお〜!」

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無自覚ドジの転生者 〜気づいたら勝手にパーティーを組まされた俺。そのまま魔王討伐へ〜 丸出音狐 @maruimarusann

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