第2話 ドジっ娘、登録する

 俺達は王城を出て家に向い歩き始めた。


「そういえば俺はなんて呼べばいいんだ?」

「オウカベールとでも呼んでくれ〜!」

「俺の名前に似せるなよ」

「仕方ないなぁ。ならオウカでいいよ!」


 帰る道中に気づいたがオウカには冒険者の服がなかった。


 今来てるのは結構ボロボロだし新しいの買ってやるか。


「オウカは冒険者用の服とかいるか?」

「そんなのがあるの!?」

「いるなら買うけど」

「いるよ! いる!!」


 そして冒険者用の服を買いに行こうと思ったがそこであることを思い出した。


「オウカの役職はなんだ?」

「役職ってなに?」


 やはり知らなかったようだ。それもそうだろ。あのてきとうな国王がそこまでちゃんと説明しているわけがないからな。


「役職は剣士・魔術士・治癒士とかのことだよ」

「そうなんだ! ロイスは何の役職なの?」

「俺は剣士でちょっと魔法が使えるくらいだ」

「てことは剣士と魔術士のハーフってこと?」

「....。間違ってはないのかも知れないが多分違うな」

「あれ?」


 まずはオウカの役職諸々調べたりする必要があるからギルドに行くべきか。


「服を買う前にギルドに行くぞ」

「ギルド?」

「ギルドは依頼とか冒険者登録をするところだよ」

「なんか楽しそうだね!」


 そんなに楽しくはないと思うが....。まぁ、転生者からしたら知らないことが多くて楽しいのかもしれない。


 そして俺達はギルドへと向かうことにした。


 しばらく歩き、俺達はギルドに着き、中に入った。


「アリアさん、お願いしたいことがあるんですけど!」

「帰ってきたんですね! それでそちらの女の子は?」

「この子は例の転生者です」

「え?! 今日来た転生者様ですか!」

「はい! オウカって言います!」

「わ、私はここのギルドの受付のアリアと言います! よろしくお願いしますね!」


 アリアさんも少し動揺しているようだった。


「それよりなんでロイスさんが....?」

「実は......」


 俺は事の顛末をアリアさんに説明した。


「それは災難でしたね。あの国王様ですからね....」


 おい、国王! 国民にこんな風に思われてて大丈夫なのか?!


「それでお願いしたいこととは?」

「オウカの役職と属性、冒険者登録をお願いしたくて」

「わかりました! それでは少し待っててくださいね!」


 そう言いアリアは裏の部屋に行った。


「ここ、人が多いね!」

「ここにいるのは全員冒険者だよ」

「なんか凄い....!!」

「前の世界にはこんな感じのところはなかったのか?」

「ないよ! あったらやばいよ!」


 そうなのか。やはり違う世界は冒険者なんてものは存在しないんだな。


 そんな会話をしているうちにアリアが道具を持って戻ってきた。


「まず役職確認ですね! こちらの液体の中に少量の血をこの針で入れてください」

「これをこうですか」


 オウカが今からやろうとしていることに対して心配でしかなかった。転生してきていきなり針を刺して血を出させられるなんて。怖いだろうに。


「これでいいですか?」

「はい。ありがとうございます!」


 全然怖がっていなかった。


「オウカさんは黒なので役職は魔術士ですね! おめでとうございます! 確か転生者は人によりますが一個魔法が出来るようになると勝手に他のも出来るようになるみたいですよ!」


 転生者強すぎ....。俺らが長い時間かけて覚える魔法を一個覚えただけで勝手に覚えられるとか。


「それでは次に属性確認ですね! 先程の液体に手をかざして【アトリビュート】と言ってください」

「わかりました!」


 オウカは先程の液体の入れ物の上に手をかざした。


「【アトリビュート】」


 すると液体は黒色から白色に変わった。


 確か白色は.....。


「す、凄いですね! これは全属性ですよ!!」

「良かったですね!」


 なんで他人事のように言ってるんだ。


「それでは次に魔力量の方を測りますね。この水晶に触れてください」

「わかりました」

「歴代の転生者様はこの水晶が割れていたそうですよ!」


 その時水晶が地面で割れ大きな音が鳴った。


「わ、割れちゃいました!!」


 歴代の転生者史上初の故意に水晶を割る者が今ここに誕生した。


「オウカ、これは持つんじゃなくて触れるだけでいいんだよ」

「そうだったの!? 分からなかった!!」

「アリアさん、すいません」

「いえ、今もうひとつ持ってきますね!」


 そしてアリアさんは再び裏の部屋に水晶を取りに行った。


「次は下に落すなよ」

「頑張る!」


 別に頑張るようなことではないんだが。


「お待たせしました!」


 アリアさんは新しい水晶を持って戻ってきた。


「それではオウカさん、触れてください」

「落すなよ」


 オウカが水晶に触れるとまばゆい光がギルド中に広がった。周りの冒険者も何が起こったかはわからず焦っていた。


 そして光がおさまると.....。


「わ、割れちゃいました!!」


 いや、割れるんかい。


「凄いですよ! オウカさん!!」

「はい!!」

「それでは今冒険者カードを発行してきますね」


 アリアはまた裏の部屋に行った。


「お嬢ちゃん、もしかして転生者様か!?」

「そうだよ! さっき来た!」

「おぉ! やっぱりか。今回の転生者様は君なのか!」


 周りの冒険者は今の光景を見て転生者だと気づいたようで話しかけてきた。


「てかロイスじゃねぇか!!」

「気づいてなかったのかよ」

「なんでお前が転生者様と一緒にいるんだ?」

「勝手に国王にパーティーを組まされた」

「へぇ! さすがだな! 最強と最強の組わせか!」


 どちらかと言うとドジと2位だがな。


「ロイスって強いの?」

「強いもなにもこの国では2位の強さなんだぜ。いや1位もありえたけどな!」

「ロイスやるじゃん!!」

「どの立場から言ってんだ」


 冒険者達と会話しているとアリアが戻ってきた。


「どうぞ。こちらが冒険者カードです!」

「ありがとうございます!」

「それじゃあ魔術士の服を買いに行くか」


 ギルドでオウカの冒険者登録を済ませたあと魔術士の服を買いにお店に向かうのだった。

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