『となりに立つ少女』で結成された、学習塾仲間四人の探偵団が再び活躍します。
探偵団のブレイン灰野晶くんの元同級生が煙草の不始末(彼はミステリー好きで煙草の研究をしていました)でボヤを起こし、停学処分を受けてしまいます。何かがおかしいと感じた晶くんは探偵団の仲間とともに状況検分をし推理を巡らせ、事件は単なるボヤ事件ではなく、ある、陰湿な事情につながっていることを明らかにしていきます。
今回もさくらちゃんの暴走的活躍がひとつの突破口となるのですが、そのうち本当に痛い目にあいそうなので、そろそろ懲りてほしいものです。晶くんはあいかわらず中学生ばなれした冷静さと論理的思考力でもって、大人をたじたじとさせます。いや、もうそれ、大人のやり口やで、とひやひやするほどのきわどいことも、あっさりやってのけるのですが、そこはそれ、子供ならではの無鉄砲さというところでしょうか。
いくつもの歪みを抱えた大人の世界、それに組み込まれた者が不正に甘んじたときに生じる子供たちの不信感や失望。すべてを一足飛びに正すすべはないけれど、せめて、自分と仲間が不利益を被ると感じたときには毅然と抵抗する、その勇気が必要なのだと伝えられているような気がします。
第三作もありますよね? 榛菜ちゃんのお父さんにご登場いただけるのを期待しています。
主人公の一人、灰野晶は、小学校時代の同級生と偶然再会して彼が停学になったことを知ります。
話を聞くとシャーロキアンの彼は「趣味が高じて、煙草の研究をブログで公開していたことがバレて指導を受けた」と語りました。
しかし、実際に喫煙をしたわけでもないのに少し処分が重すぎるのではないかと感じた晶は友人の黒川凛太郎、同じ塾に通っている白崎榛菜、山岸さくらとともに彼の通う学校へ調査するために向かうのですが……。
同じ作者さんの作品「となりに立つ少女」の続編になります。
前回の事件を通じて仲間になった四人の少年少女たちが、煙草が原因で起こった停学事件の裏側に隠された事情を探るために立ち上がります。
「探偵団」としてそれぞれの個性を発揮して、学校の部活に隠された事情を調べるとともに友人が抱えていた思いをくみ取り、助けようと行動します。
読みやすく、登場人物の心情を繊細に描いた作品です。
学園ミステリーが好きな方は是非ご一読を。