第8話 エピローグ

 真っ白な壁は赤く染まり


 医療機器は散乱している


 部屋の中は血液の匂いで満たされ


 名も無い患者達は形を変え眠っている


 執刀医の私は取り出した臓器を眺め、愉しませてくれた記憶達に感謝の意味を込め、小さな拍手を贈る


 全ての解剖実験は終わり、取り出した鮮やかな“記憶する臓器”をコレクションに加えた


「素晴らしい景色だった」


 私はそう呟き部屋を出る


 新たな記憶の景色を探す為だ


 私の欲望は満たされる事はない


 どうか次は貴方の“臓器の記憶”を覗かせてくれないか?










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解剖実験 遠藤みりん @endomirin

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