エピローグ

「あれだけ書いてて本人よく気付かないな」

「あぁ、伊坂?縁切ってるし、気付いても何も言わないよ。フィクションだし」

「気付いてるの?」

「んー、どうだろ。でもたぶん読めないから大丈夫」

「読めない?」

「伊坂、活字読めないから」

「なにそれ」

「前にね。ラブカは静かに弓を持つっていう、音楽講師の話の小説あげたの」

「いつのまに」

「で、飲み行った時に読んだか聞いたら、活字が読めなくてって言ってた」

「それは」

「ウケるよね。児童書みたいに簡単な小説なのに」

「読めないっていうか、読む気がないんじゃ」

「どうだろうねー。譜面は読めるけど活字は読めないって感じじゃない?」

「そんなことあるか」

「それにさ」

「うん」

「本当にホストやってるって知られたくないんだったら、そもそも誰にも言わないから」

「そうか」

「たぶんちょっと自信持ってるよ。ホストに」

「なるほど」

「あとね。金の鳳凰だから大丈夫」

「なにそれ」

「金の鳳凰は今年は開運。12年に1度の最高の運気なの」

「へぇ」

「今年起こる、良いことも悪いことも、全部プラスに働くから」

「プラスに」

「小説として書かれても、最終的になんかのきっかけとなって必ずプラスになるから大丈夫」

「すごい自信だな」

「あと、金のインディアンのあたしにとってもプラスなの」

「そうなの?」

「今年の下半期に起こったことの結果が2年後に出る」

「2年後」

「どうなるか分からないけど、面白そうだから賭けてみたかったの。小説はそのうちの一つ」

「なるほど」

「でもさー。伊坂本当は今年結婚するはずだったのになー。したいって言ってたのにー。」

「占い外れたの?」

「占いは外れたって考えないよ」

「どういうこと?」

「結婚したいのに、結婚できる最高の運気の時に結婚できなかったってことは」

「ことは?」

「積み重ねの8年間、女性に優しくしなかったってことだよ」

「キツイなそれ」

「人格入れ替えるくらいここから頑張らないと、この先一生独身だろうね」

「なるほど」

「でも悔しいなぁ。もうちょっと跳ねると思ったのに」

「跳ねる?」

「6年前から追ってきたの。今年の最高の運気で、どれだけギターで成功するのか見たかったの」

「、、、」

「まさかホストやってるとは思わないじゃん?鳳凰は1つのことに絞らないとダメだよ。色々やって成功するタイプじゃないもん」

「、、、」

「ホストってあと10年続けられるのかな?10年続けられるんだったら、この先も続けて良いけど、あと2、3年とか考えてるんだったら辞めるタイミングは今か、来年の上半期までに辞めないと。2、3年後の乱気で辞めたら1番やばい」

「あんたさ」

「うん」

「変態だな」

「知ってるよ」

「ずっと占ってたの?」

「ずっと、、。まぁそうか。出会ってから毎日かな」

「、、、」

「占ってるの伊坂だけじゃないし」

「他には?」

「内緒」

「そうか」

「結果が出る時期に、本当に結果が出た人を見るのが楽しいの」

「、、、」

「伊坂は次は12年後。いや、10年後に一旦結果が出るか」

「そこまで追うの?」

「追えるなら」

「変態だな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【続編】5年習ったギター講師が実は◯◯だった話 堀江圭子 @HorieKeiko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ