女子校だった高校に転校したが、ハーレムにはならなかった。

朝輝夜空

02 家

家に帰る途中にスーパーに寄って、夜ご飯の材料を買う。買い出し担当が俺、料理担当が美帆さんといった感じだ。


なにやら、ハンバーグを作ってくれるらしいので、ひき肉を買っていこう。他の材料はあったはずだし、特に何も頼まれてないので、とりあえずひき肉だけ買おう。




引越してから、まだほんの数日しか経ってない家に着いた。買ったひき肉を冷蔵庫に入れ、他の材料が揃っていることを確認する。


とりあえずまだ荷解きが終わってないから取りかかろう。とは言っても、そこまで物が多いほうではないので今日中に終わるだろう。趣味という趣味もなく、強いて言えばたくさん本を持っているくらいだ。


「ただいまー」


美帆さんが帰ってきたようだ。本を棚に入れようとしていたが無意識に読書していた。悪い癖なのかもしれない。


「おかえり」


「あれ、まだ着替えてないの?」


「え、あ、忘れてた」


制服にシワがつかないうちにハンガーにかけよう。


「たっくん、なにしてたの?」


「荷解きかな」


「うわ〜、本読むのが好きなのは知ってたけど、いっぱいあるんだね〜」


「気になったら買っちゃうから、基本的に読了した本は少ないんだけどね」


「どういう本読むの?」


「歴史の本とかが多いかな」


「お!いいね!」


美帆さんは社会科の歴史の担当教師だ。だから俺が歴史の本を読んでいるのを知って嬉しかったんだろう。


「漫画とかラノベみたいなのは読まないの?」


「そういうのはあんまり読まないかな。よく読むのは、ビジネス書とかかな……」


「たっくん本当に高校生……?」


「まあ一応。親父が起業家だからその影響なのかもしれないけど」


「ビジネス書って、面白いの?私は全く読まないんだけど」


「面白いというより参考になるかな。いろんなことが書いてあって。著者の価値観とか人生観とかがわかるから、生きる上で参考になる」


「逆に美帆さんは、どういう本読むの?」


「やっぱ歴史の本かな。あとは伝記とか」


「やっぱ歴史が好きで歴史の先生のなったの?」


「それもあるけど、昔こういうことがあったから、今ここはこういう風になってるってわかると純粋に面白くない?」


「なるほど」


「例えば、関ケ原の戦いで石田三成が勝っていたら、そもそも江戸幕府は誕生していなかったわけでしょ?そういうのを知れると面白いなって思ってね」


「ふーん」


「ところで……」


「なに?」


「年頃の男の子って、エッチな本を読むって聞いたんだけど、そういう本は持ってないの?」


「……親戚のそういうの気になる?」


「うん」


「即答……」


「で、どうなの?」


「ご想像にお任せします……」


持ってると言ったら深掘りされそうだし、持ってないと言っても、疑われて探し出されそうだ。適当な回答だろう。


「じゃあ、持ってるの?」


「なんでそうなるんだ……」


「じゃあ、持ってないの?」


「………」


「まあいいや。学校はどうだった?」


「やっぱ女子が多いから、少し息苦しさはあったかな」


「やっていけそう?」


「まあ、担任が美帆さんだし何かあったら助けてくれるだろうって言う安心感があるから、多分大丈夫」


「隣の席誰だっけ?」


「愛里」


「あいり?あ、桃瀬さんか」


「そう」


「というか、もうそんなに仲良くなったの?」


「いや、別にそんなことないと思うけど」


「でも、名前で呼んでるの?」


「一応隣だから、個人で自己紹介したら、名前で呼び合うことになった」


「仲良くなれそう?」


「多分?」


「たっくんは昔から人見知りだから、心配なんだよね」


「まあ、転校生だし皆のほうから寄ってくるんじゃない?」


「そうかもね。それに、たっくん顔良いしね」


「え、そう?」


「言われない?」


「……そう言えば」


「そう言えば?」


「中二の時だったかな。クラスで顔面総選挙みたいなのがあって、学年一位になったことならあるかも」


「やっぱ、顔良いんだよ」


「そうかな?」


「だって親戚じゃなくて、同じクラスとかにいたら一目惚れしてると思う」


「してると思うってことは、今はしてないの?」


「まあ、親戚っていうフィルターがかかってるからかな」


「なるほど」


なんだか照れ臭かった。それは、親戚というフィルターを介していても、それが効果をなさないくらい、美帆さんが美人だからなのだろう。


「顔赤いけど、どうしたの?」


美帆さんは、少しニヤニヤしながら、俺の顔を見つめていた。

そんなことをされたら、余計赤くなってしまう。


「顔逸らしてどうしたの?」


おそらく美帆さんは、分かっていてこうしているのだろう。厄介な人だ。


「そう言えばさ」


「あ、話そらした。」


「生徒会の会計やることになったんだけど、業務内容とか集まる日とか全然知らされてないんだけど」


「それなら、私が生徒会担当だから、私から伝えるね」


「それは、ありがたい」


「えーとね、最初の集まりが……」


可愛らしい手帳をめくりながら、日程を確認してくれている。


「明日だね」


「明日?」


「うん、明日」


「初耳なんだけど」


「そうだっけ?」


「他のメンバー知らされてないんじゃないの?」


「いや、学校からメール送ってあると思うんだけど」


「メールなんてあるの?」


「あ、そっか、転校してきたから、知らないのか」


「えーと……」


美帆さんは、カバンの中を漁りはじめた。


「職員室にあるかなぁ……」


おそらく、メールか何かの紙を探していたんだろう。


「ごめんなんだけど、明日職員室来てもらってもいい?職員室にメールのアドレスとかパスワードとか書いてある紙置いてきちゃったみたいで」


「分かった。いつ行けばいい?」


「出来るだけ早いほうがいいから、ホームルーム始まる前がいいかな」


「じゃあ、いつもより少し早く起きないとか……」


俺は朝が苦手だ。アラームを5個セットして辛うじて起きれるくらいだ。


「じゃあ、私が起こしてあげるから」


「助かります……」


「それで、ちょっと早いと思うけど、一緒に登校しよっか」


「え?」

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女子校だった高校に転校したが、ハーレムにはならなかった。 朝輝夜空 @Sky_sora_0121

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