第7話暗殺

 剛が謹慎を言い渡され数日。


「コンコン」「失礼致します」

 朱雀の部屋をノックして入ってきたのは奈々だった。

 奈々は翔の婚約者になったものの、専属メイドは辞めておらず今も続けている。


「おはよう。奈々、今日の予定は?」

「はい。今日は午前は魔法のお勉強。午後から姫乃様がお見えになります」

 朱雀は今日の予定を聞き、奈々が答える。


「奈々。本当にいいの?」

 朱雀は専属メイド続けていいのか聞く。


「朱雀様。以前にも申し上げた通り、私の仕事を取らないでください。私の誇りでもあるのですから」

 奈々はズバッと今の仕事を続けると言う。

 婚約者なのだからメイドではなく、令嬢として花嫁修行など世間ではするのが一般ではあるが、奈々は今がいいと言い、王妃は納得している。


「奈々がいいならいいんだけど……」

 朱雀は奈々が周りから悪く思われないかを懸念して聞いだった。


 着替えを終え朱雀は国王、王妃と食事を取り、午前の魔法の勉強をするのだった。

 朱雀は全属性魔法が使え、中級魔法までは無詠唱で扱えるようになった。七草先生いわく、神童の域に達しているらしい。


 昼食を終え朱雀は庭に向かった。

「お待たせ」

 朱雀は席に座って待っていた姫乃に声をかける。


「朱雀、全然まっていませんわ」

 姫乃は席から降り様つけを外し、挨拶しスカートをちょこんと持ち上げた。


 奈々は朱雀の後ろで頭を下げる。

「奈々様もいらして」

 姫乃は奈々も座るようにと手招きする。


「は、はい!」

 奈々は驚くが席に座った。奈々の服装はメイド服で側から見たら異様な光景だった。


「一番目は譲るつもりはありませんが、遠慮はしないでくださいな」

 姫乃は朱雀の前で奈々に宣言する。


 姫乃と奈々はお互いの顔を見て笑い合うのだった。


「ところで姫乃今日はどうしたの?」

 朱雀は姫乃の態度や振る舞いがいつもと違う事を指摘する。


「ムー」

 姫乃は頬を膨らまし朱雀に抗議する。


「朱雀様。それは……いえ朱雀様が悪いです」

 奈々は何か言おうとして言わず、朱雀が悪いとだけ言うのだった。


「えーーそんなー!」

 朱雀はがっくしとなる。


「ふふ」「ふふふ」

 姫乃、奈々は二人して笑い合う。


「まー二人仲良しで良かったよ」

 朱雀はまっいっかと思うのだった。


「ところで朱雀様。姫乃様にはプロポーズしたのですか?」

 奈々は以前奈々にプロポーズしたのを思い出し、姫乃が何か言いたげなのを察して話をする。


「ブーーゴホゴホ」

 朱雀は紅茶を吐き出しむせ込む。


「奈々様!」

 姫乃も驚いていた。


「言われていないのでしょ?私朱雀様の専属メイドですから」

 奈々は何もかもお見通しと胸を張る。


「奈々様、わ私はべ別に」

 姫乃は別に気にしてないとあからさまに否定する。


「姫乃。将来結婚してくれるかな?」

 朱雀は席から立ち上がり、姫乃の隣に膝をつきプロポーズする。


「……はい」

 姫乃は涙を流し喜ぶ。


「朱雀様……」

 奈々はまだその歳で結婚までと思うが喉で押し留めたのだった。

 

 一方である屋敷では。

「剛王子は失敗だったな。やはり我々でなんとか朱雀王子を追い落とさなければ」「頼んだぞ!」

 屋敷に内の何人かが計画していた。


「お任せください。必ずや暗殺してみせます!」

 一人の男が返事をする。


 数日が経ち朱雀は午前の魔法の勉強をしていた。

「今日はここまでにしておきましょう!」

 七草先生が終了の声をかける。


「ありがとうございました」

 朱雀は七草先生にお礼を言う。


「朱雀様タオルになります」

 奈々がスッとタオルを手渡す。


「ありがとう」

 朱雀は奈々からタオルを受け取り汗を拭く。


「七草先生もどうぞお使いください」

 奈々は七草先生にも手渡す。


「ありがとうございます」

 七草はお礼を言い受け取る。


「ムッ朱雀様!」

 七草は異変に気づき戦闘態勢にはいる。


「どうされたのですか?」

 朱雀は七草先生が戦闘態勢に入ったのに驚き尋ねる。奈々も朱雀の近くに行き戦闘態勢に入る。


「気づかれませんか?!」

 七草は朱雀に違和感ないか聞く。


「……静かですね!」

 朱雀はいつもより静かだと話す。


「はい。結界が貼られています。警戒してください」

 七草が小声で言う。


「ウォール」

 七草が土の壁を三人の前に展開した。


「ザク、ザクザク」

 土の壁に何かが刺さる音がするのだった。

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第三王子なのに将来王様なんだが! 翔吉 @SHO86

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