第6話処罰

 姫乃の機嫌が直り朱雀は王妃とともに、奈々のところに向かっていた。

 姫乃は機嫌が直ると自分の行動は、あるまじき行為だとアワアワしだしてしまい、朱雀は気にしないでと説得したのだった。


「母上どこに行くのですか?」

 朱雀は王妃が地下に向かって歩いていることに気づき聞く。


「行けばわかるわ!」

 王妃は一言言い歩き続けた。


「す朱雀様!」

 地下に到着し扉を開けると、牢の中に入っている奈々が居て奈々が朱雀に驚く。


「えっ!母上、これはどう言うことですか?!」

 翔は混乱し王妃に詰め寄ってしまう。


「説明するわ」

 王妃は手をスッと上げ、詰め寄る朱雀を止めようとする護衛を停める。


 王妃はなぜ奈々が牢に入れられているかを説明した。

 どうやら奈々は正規な手続きをしずに国王と王妃が居る部屋に強行突破してしまったと王妃から話を聞く。


「どうしてそんな無茶を!」

 朱雀は奈々に近づき膝を降り座り込んだ。


「朱雀様!そのようなことは!」

 王子が膝を降り座り声をかけるなど異例だった。しかも罪人にだ。


「母上。いえ王妃様。どうにかならないでしょうか?」

 朱雀は王妃に懇願する。


「いち専属メイドではどうにもならないわね。奈々は覚悟の上でやったのよ!」「はい。その通りです。お気にならないでください」

 王妃がどうにもならないと首を振り、奈々が朱雀に負い目を感じないでと言う。


「…………」「朱雀様。一つあるではないですか?!」

 朱雀が黙ってしまうと姫乃が朱雀にあると言う。

 朱雀は姫乃の顔をバッと振り向く。


「私と同じですわ」

 姫乃は自分を指を刺した。


「姫乃と?」

 翔は首を傾げる。


「なるほどね!でも良いの姫乃ちゃん?」

 王妃は姫乃が何を言っているのか理解した。

 それは王子の婚約者に許された権限であった。婚約者は正規な手続き無しで国王、王妃に面会でき、緊急性が高い場合は部屋に乗り込めるのだった。

 以前の王子に危機があった為導入された権限だ。


「はい。王妃様。それです朱雀が悲しまないのであれば」

 姫乃はぎこちながらも言い切る。


「朱雀。実はね王子の婚約者にはある権限が与えられているのよ」

 王妃は朱雀に権限を説明した。


「母上それはつまり」

 朱雀は奈々を助ける方法を理解して王妃に確認を取る。


「奈々は伯爵家の次女だから問題は無いわ。第二婚約者になるわね!」

 王妃は政治的にも問題ないと話す。

「ただ将来は第二王妃になるから分かってるわね?」

 王妃は付け足す。


「はい」

 朱雀は第二王妃の子は王位継承権が無いことを思い出す。


「奈々第二婚約者なら私は何も言いません」

 王妃はニコッと笑い、奈々に伝える。


 奈々は驚いた顔をする。

「姫乃」

 朱雀は姫乃の顔を申し訳なさそうに見る。


「初めての婚約者は私ですからね!」

 姫乃は剥れながらもいいと言う。


「奈々。僕の婚約者になってくれないかな?」

 朱雀は奈々にプロポーズする。


「わ、私言われて」

 姫乃は思わず口に出してしまい口を塞ぐ。


「はい。喜んで」

 奈々は涙をポロポロ流しながら受け入れる。


「あの。本当に宜しいのでしょうか?私おばさんですし」

 牢から出され朱雀、姫乃、王妃、奈々が一室に入ると奈々が聞いてくる。


「あら奈々。なら私は婆さんって言いたいのかしら?」

 王妃は額をピリつかせ話す。


「いえ、滅相もありません」

 奈々は慌てて否定に入る。


「なら大丈夫よ。奈々もまだ若いわよ」

 王妃は歳が一回り上でも問題無いと話す。

 奈々は十七になる。その歳で専属メイドは凄いと以前王妃は誉めていた。


「奈々は僕のこと嫌い?」

 朱雀は上目遣いで奈々に聞く。


「奈々様先程のお受けは嘘ですか?」

 姫乃も上目遣いで奈々に聞く。


「違わないですから勘弁してくださーい」

 奈々は二人からの上目遣いに撃退されるのだった。


 その後国王が入室し正式に奈々は婚約者になった。

 国王、王妃は奈々が身を挺して報告したのに、罰を与えなければいけない事を悔やんでいた。

 その忠誠心に国王、王妃は奈々を改めて認め、朱雀の婚約者と認めたのだった。



 後日、第二王子剛は国王から謹慎を言い渡されたのだった。

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