第3話 信念を貫き…?

───リア充撲滅委員会書記


     遠藤 タケル───





「田中先輩~、こんなとこで何してんすかぁ~??」




こっちの気も知らず、ぼさぼさの明るい茶髪(本人曰く地毛)をなびかせながら目の前の男子はこちらに手を振り駆けてくる。





「……お、お前


なんで今頃……」





後ろの少女を自分の陰に隠しつつ、田中は尋ねる。





「いや~、起きたら夕方の4時だったんスよ~。


……もー!先輩、俺が朝弱いの知ってますよねー?


なんで起こしに来てくれないんすかー!!」







「……そもそもお前の家どころか連絡先すら知らん」







「ん~そうだったっけー?



……てか、部活だけはでねぇと!!

今日はモンスターキャッチの新作やるって約束だったっすよね?!」





タケルは田中の手を掴み、校舎の中へ向かって校庭をずんずんと進んでいく。






……こいつ、まさか俺の事しか見えてないのか?





己の貧弱さでは抗うことが出来ず、半ばずるずると引きずられながらぼんやりと校舎を見つめた。





その時。




空いていた左手に別の感触が走る。





ひんやり冷たく、柔らかい肌。




「?!」




ふと後ろを見ると、

未だにおろおろした顔のまま、それでもしっかりと、陽葵が田中の手を握ってついてきていた。





…………なんだこれ。





6限目の終わりまで約7分。死んだ目をしたメガネの少年は、実に奇妙な形で連行されていったのだった。




        ・ ・ ・




「とうちゃ~く」



タケルはそう言うと地理準備室のドアを開ける。


ボロボロの床がキィ……ときしんだ。




「よかった、、、誰にも見られなくて」

「ほんとによかった…………」




田中はそう呟くと、ヘタリと1番近くのパイプ椅子に腰を下ろす。








ふう……一安心……と言わんばかりに


ドアの方を見た時。





少女の可憐な瞳とぶつかる。











……いや。









「よくねぇよ?!?!!!!!!」







ガタッ。


椅子が思いきり音を立てる。


その音になんだかデジャブを感じつつ、

田中はタケルに向かって叫んだ。







「……どーしたんすか?先輩?



それより、早くポケモンキャッチやりましょうよー」








「いや、お前マジで気づかないのか……?」











「そこの新入部員サンもやるっすよね??」






「……は?」






そう言うタケルの目の先には、───陽葵がいた。






「……まさか……」


「新入部員だと……思ってる?」





「へ?違うんすか?」





「い、いや……」





「ほらほら、時はカラブキ?とかって言うじゃないっすか!!早くやりましょ~



      部・長・サン」












「あ、あの……


『 時は金なり』だと思います……」





「それそれー!

頭いいんスねー!!!


そーいえば、名前なんて言うんすかぁ?」





「あ、はい、。……陽葵……です」







2人が和気あいあいと交流を深める中、田中はそれどころでは無かった。






───タケルに「部長」と呼ばれるまで気づかなかった俺はなんて馬鹿なんだ。







そう。俺はリア充撲滅委員会の部長。








リア充に死の救済を。



裏切り者には永遠の苦痛を。



孤独を生きる者に居場所を。







このモットーを忘れたのか?



……告白がなんだ。


ハッキリ断ってやる。







この女は孤独な俺をからかい、堕落させようとしていたのだ。







もう騙されん。







俺は一人の男として堂々と孤独を生き……











「あの……えと……。




田中……くん……?


ゲーム、やろ??」









「はい。喜んで。」







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【悲報】リア充撲滅委員会田中、彼女が出来る。 猫野 おむすび @omusubimgmg

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