第14話 お茶会してもいいですか?

 お義理母様と一緒に食堂に行けば、もうすでにお義理父様とルヴァン様がそれぞれ席に座っていた。

 ちなみに座席は私とルヴァン様が隣同士に並び、テーブル越しにお義理父様とお義理母様が並ぶ。


 さて、さっそく自分の席に座れば、それを合図のようにメイド達が手際よく料理をテーブルに並べていく。


 目でも楽しめるような料理を見ながら、私は「これ、実家だと晩餐会レベルだなぁ」と思った。

 やっぱり、公爵家と男爵家は違う。

 結婚した当初より衝撃度はないけど、今でもこれ普通の夕食? って思う時がある。


「あっ、そうだ。お義理父様」

 食事をする前にお茶会のこと言っていた方がいい。

 そう思った私はお義理父様に声をかけた。


 お義理母様には許可を得ているけど、お義理父様にはまだ。

 当主であるお義理父様の許可は必要だろう。


「なんだい? ソニアさん」

「公爵家でお茶会を開催しようと思っているんですがよろしいですか? 私、お茶会主催したことがないので、お義理母様にお手伝いして貰いながらですけど……あっ、ちゃんとお義理母様の了承は得ています」

「「「え、お茶会!?」」」

 てっきりお義理父様の返事が聞けると思ったのに、聞こえてきたのは十数人の男女の裏返った声だった。

 それが食堂内に響き渡ったため、私はびっくりして固まってしまう。


 お義理父様だけではなく、ルヴァン様、執事やメイド達……私とお義理母様以外の食堂にいた人達の声だったから、一瞬近所迷惑が心配になった。

 でも、すぐにここが公爵家だったことを思い出す。

 敷地も建物も広いからそんな心配は不要だ。


「お茶会……しかも、アネモネに許可を得たなんて……信じられない。アネモネ、本当かい?」

「えぇ。ソニアさんに頼まれたの」

「まさか、本当だったとは……君が人の頼みをきくなんて……」

 お義理父様が手に持っているワイングラスが震え、白ワインが波打っている。

 待って、お義理父様。

 そんなに驚くことではないと思いますよ?


「ソニア。お茶会は誰を呼ぶんだい?」

「王太子妃殿下と王太子殿下の側妃の方達です。ほら、王太子殿下がお義理母様に王太子妃殿下の話し合い手をお願いしたいって言っていたじゃないですか。ですから、みんなでお茶会なんてどうかなって思ったんです」

「それいいアイデアだね。で、でもまさか母上がソニアの頼みを引き受けてくれるなんて」

 ちらちらとルヴァン様はお義理母様を見ているし、お義理父様やメイド達は嘘だろ……って表情でお義理母様を見た。

 さっきまであんなにみんなびっくりして大声を上げていたんだけど、今は静寂に包まれてしまっている。

 メイドの中には、自分の頬を軽く引っ張っている人までいるし。


 気持ちはわかる。

 だって、あのお義理母様――絶対零度の雪豹が私のお願いを聞いたんだもの。

 しかも、ルヴァン様曰くお茶会なんてここ十年やっていなかったし。


「お義理父様、お茶会しても大丈夫ですか?」

「も、もちろんだよ!!」

 私の問いかけにお義理父様は何度も首を縦に振った。

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