第4話 実力テスト

胡桃さんたちと勉強したあと、早速実力テストが行われてその結果が今日帰ってくる。いつもより難しい問題らしいけど今まで以上に勉強もしてきてる、正直今までと変わらなさそうだがとりあえず下がらなければいいんだ。

 ︎︎塾みたいにその点数で判定は分からないが高ければ高いほどいいことは明白だ。


テスト返しの時は毎回なのだがあんまり手応えのなかったやつが朝から目に見てわかるほどテンションが低くなっている。俺は悪いとも思ってないし良いとも思っていないからここまでテンションは低くならない。

 ︎︎まぁ自分が大丈夫だと思っているだけで思ってたより点数が低いってこともあるけど。


「小鳥遊、今回は超えるからな? 毎回毎回多少の差で負けてたし」


「落ち着いてよ、僕と隼人では塾とかの差もあるんだから僕の方が高いのは当たり前でしょ。僕だって塾にも行ってないし勉強量が以上って訳でもない隼人に負けたら僕だって凹むよ?」


「いやぁずっと負けてた俺の方が凹んでるね。全体的に見て小鳥遊の方が頭良いんだからさ」


俺がこれからのテストの全てで小鳥遊を上回ったとしてもこれまでのテストで全て負けているので全体を通してみたら頭がいいのは小鳥遊ということになるだろう。あくまで今までの話は俺が小鳥遊を上回った体で話してるので、普通に今回も勝てない可能性の方が高いけど。


「胡桃さんは……」


「隼人が髪型をセットするようになってから僕たちが入る隙間が無くなったねぇ。まぁ本人も女子と話してて楽しそうだしいいんだけど」


今は目を合わせて話すことに恥ずかしいとか思って無さそうだな。そういえば今は右目しか見せてないけど左目のことは言っているのだろうか? 俺はすんなり受け入れているが人によってはおかしいと思うこともあるだろうし。

 ︎︎それは俺が関わることでは無いか、左目のことをどうするかは胡桃さん次第だ。


「というかこのまま胡桃さんが女子たちの仲良くなっていったら僕たちに勉強を教えるよりその女子たちに教えることにならないかな?」


「別に頼めばいいでしょ。それ以前に俺たちに教えるかあの女子たちに教えるのか決めるのは胡桃さんだし、俺に言われてもな」


そもそも勉強全てが胡桃さん頼りだったらいずれ胡桃さんと離れるってことになった時に俺は駄目人間になってしまうからな。胡桃さんはあくまで先生と同じで補助してくれる存在、頼りっきりならず最終的には自分一人で頑張らないとな。


しばらくして先生が紙の束を持って来てテスト返しが始まる。テスト返しの日はいつも通り午前授業で、返却と解説をしたあとに採点間違いがあれば持っていく、ずっと前からその方式だ。

 ︎︎先に答えの方を渡されるのだが俺はいつも解答も返してもらってから答えを見るようにしている、理由はほとんどない。


(社会と国語は小鳥遊に勝てる、理科は同じぐらいだし数学と英語でどれだけ差をつけられないかだな)


「国語何点? 俺は87」


「79、国語は毎回勝てないなぁ。まぁいつも通り英語と数学で差は埋めるつもりだけど」


「まじで国語で差を作っても数学と英語でもっと大きい差ができるからなぁ。この前だって英語の点数、小鳥遊が94で78だったし」


英語と数学の大差をどうにかしない限りは小鳥遊に点数で一生勝つことは出来ないんだよなぁ……。ほんと、塾で習ってるのと習ってない差を感じる、塾はやっぱり偉大である。

 ︎︎胡桃さんはあれで塾行ってないらしいし、勉強量が俺らとは段違いだな。


そのまま2教科目、いつも大差をつけられている数学だ。


「何点?」


「100」


「は?」


なんでこの数学のテストで100点取れるんだよこいつ。俺なんて79なんだが? いやそれでも平均を考えれば充分高い方なのだが、小鳥遊が異常すぎる。


「きっしょ、なんで解けるんだよ」


「努力と塾の力。まぁまぁ、いつも通りじゃん」


「悔しすぎるなぁ、分かってたことだけどやっぱ塾行ってる奴に塾無しで勉強量が変わらないんだから勝てないか」



§§§



テストの結果で言うとやはり負けた。


俺が


国語87点

数学79点

英語82点

社会98点

理科88点

合計434点


小鳥遊が


国語79点

数学100点

英語92点

社会82点

理科92点

合計445点


「今回も負けたけど、過去一の点数だったし負けたことはどうでもいいや。これもやっぱり胡桃さんに教えてもらったおかげだな」


「力になれたのなら良かったです。また次のテストの時にみんなで集まりましょうね?」


「ほんと助かる。ちなみになんだけど胡桃さんは何点だったの?」


名前が張り出されるのは後日なのでまだ何位かは分からないが高順位は間違いないだろう。


「私は国語が97、数学が100、英語が96、社会が94、理科が98ですね。10位以内に入っていればいいんですけど」


この点数でTOP10に入ってなかったらこの学校のレベル高すぎるだろ。別に胡桃さんは知り合う前からテストの張り出しのTOP10以内で毎回見てたし心配する要素はないと思う。


「お母さんと約束したんですよ、テストで10位以内に入るって。まだ入院中ですが、前から変わらず元気みたいですし問題なく話せます」


「そうなんだ。勉強会の最後に撮った写真、もしかしてお母さんに送ったの?」


「無許可でごめんなさいっ! 駄目でしたよね……」


「別に怒ってないし、問題ないよ。親としても娘の友達がどんな人かは知っておきたいと思うし」


親からしたらずっと1人きりだった娘の友達がどんな人かなんて気になるに決まっているだろう。信用してもらう為なら別に写真くらい送られてもいい、俺としても胡桃さんとの関係が途絶えるのは嫌だしな。


「じゃあ次の実力テストとよろしくね、二学期からは勉強会に参加できないけど一学期は本当にお世話になります」


「僕からもよろしく」


「はい、こちらこそよろしくお願いします。絶対に3人で合格しましょう」



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