第39話 クリスマスイブ 隼人side
明日はクリスマス、学校ではクリスマス祭をやるのだがクリスマス祭だけは準備を生徒がやる必要はなく、先生がやってくれている。3年生最後のイベントだから、準備なんてさせずに思いっきり楽しんで欲しいからという理由らしい。
︎︎3年生は受験だし、来ない人ももちろんいるのだが大体の人は高校生活最後の締めくくりとして参加するらしい。
それでクリスマス前夜祭もあるらしいが俺は行かないかな、来羽と一緒にお祝いしたいし。まぁ俺以外はほとんど参加するの方に投票しているのだが。
「隼人は行かないのか?」
「まぁ来羽と一緒にお祝いしたいし、2人で過ごしてる分そういうイベントは来羽との時間を大切にしたいんだよ。ただ、その前夜祭に来羽や来羽の友達も連れてきていいのなら話は別だけど」
来羽は友達にパーティーへ誘われていたとしても俺のために断っている可能性がある。それなのに来羽だけ別のパーティーに出ていたら友達からの印象も悪くなるだろう、実際俺はそれを経験してる。
︎︎それだったらその友達も全員連れてこれればそれで解決、無理なら俺は前夜祭に行かない。
「お金を払ってくれるのなら別に連れてきても問題は無いぞ」
「そ、じゃあ俺も行くことにするよ」
とりあえず俺は謎に学校が休みだった来羽に連絡をする。
『来羽、今日のパーティーなんだけどさ、俺たちのクラスがなんか前夜祭やるらしいんだけど来る? もう許可は貰ってるから』
『それって叶多くん達も連れてこれるの? 元々、茅姉と叶多くんを家に呼ぶつもりだったけど、その2人ともを呼べるなら私もそっちに行く』
『了解』
「お前は人のメールを見るな」
隣で俺の画面を見てた奴に手刀を入れる。まぁこれでわざわざ説明する必要はなくなったし、別にいいか。
「じゃあ隼人の妹と、その友達が2人が来るんだよな? それでお金の方はどうするんだ」
「来羽の分は俺が払うしその来羽の友達の分もちゃんと払う人がいるから何も問題は無いよ。その中に大学生がいるんだけど、男子は気軽に詰め寄ったりしない方がいいよ。俺としては普通に話しかけることをおすすめする」
茅森先輩は俺とか来羽、小鳥遊などの知り合いにはからかってきたりなど、普通の大学生だが急に詰め寄ってくる男子は大嫌いなのだ。理由は過去に街中を歩いていたらしつこくナンパされて休日が無くなったかららしい。
︎︎別に普通に話に行く分には何も問題は無いだろうけど、何より茅森先輩は世間的に見てもかなり可愛い部類だ、ほとんどの人は自重するかもしれないが……如月のやつは絶対自重しないな。
「怖い人?」
「別に俺のバイト先の先輩で優しい人だよ? でも、とある事をされるとむっちゃ怒るかな。如月、お前今回は本当に自重した方がいいぞ」
如月のことはクラスに広まっている、だから俺が如月に自重しろと言えばクラスのほとんどの人は何をしてはいけないかを理解したはずだ。
︎︎
恐らく俺たちが何を言っても茅森先輩を見たら如月はナンパをしに行くだろう、今までの女子なら『無理です』とかそういう言葉だけだったけど茅森先輩は容赦なく言葉で刺してくるからなぁ。
「大丈夫だって、今回は慎重に立ち回るからさ」
「いやそういう問題じゃ……。いやもういいや、俺には全くの無関係っていうことで如月、散ってきていいぞ」
如月が散ろうが俺には関係ない。まぁ俺はちゃんと優しく忠告してあげたし、これで俺に縋ってきても俺が如月を慰める必要は無いな。
「如月ってあんだけ女子に拒否られてるのに続けれる精神がすごいよな。俺だったら1回振られた時点で泣いてるね」
「隼人は好きな人いないしそんな状況になることないでしょ? まぁ隼人のことが好きな人がいるかは知らないけどね」
「まぁどっちにしろ断るから居ても居なくても関係ないんだけどね。今は来羽と2人暮らしするので精一杯だ」
彼女なんて作ったらそっちにも時間を作らないといけなくなるし、何よりバイトができない。今のところ親から貰っている生活費と俺のバイト代で2人暮らしをしているし、別に俺が何かを買うわけじゃないけど、来羽に何かを買ってあげる時は大体俺のバイト代から出しているのでバイトを辞める訳にはいかない。
「まぁ、実際告白されたら悩むかもしれないな」
「そうだろうね、隼人の性格的にも告白されてすぐに断るってことはないだろうし。結局は断るんだろうけど」
実際小鳥遊の言う通りすぐに断ることはなくても2人暮らしのことを考えたら後に断るんだと思う。まぁいいや、そんなことは実際のその物事が起きてから考えることにしよう。
前夜祭の話はまた昼休みとかにやるだろうし、詳しいことは後で聞くことにしよう。
それと茅森先輩から連絡がきて、とある準備をするから少し遅れてくるらしい、しかも来羽を借りて。俺は先に行ってて欲しいらしいが来羽に何をするつもりなんだろうな、あの先輩。
やばいことはしないと思うし茅森先輩と一緒に来るのだから何も心配は無いけど、一体来羽に何をさせるかだけが気になる。予想するとしたら何かしらの衣装を着せてくるとか……だろうか。
まぁ来羽が承諾したのなら俺は何も言わないけどね。
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