第25話 妹と姉②

来羽と星野が仲良くやっているかが気になるがまぁ俺じゃないんだし大丈夫でしょ、とりあえず俺はさっさと買うもの買って帰らないとな……と思ったけど小鳥遊が何故か居たので捕まえて話を聞かないとな?


「なんで小鳥遊がここに居るんだ? バイト、俺はそう聞いてるけど」


「僕は隼人みたいに毎日休み無しでバイトしてる訳じゃないから、たまには休んだりもするって」


「でもさ、今日の朝にバイトだから星野の看病に行けないって送ってきたよな、普通に行けそうに見えるけど?」


小鳥遊が行けるのなら来羽を連れてくる必要はなかったし、というか嫌われてない小鳥遊が看病に言った方が良かったでしょうよ。


「まぁまぁ、これも好感度をあげるためだと思って頑張りなよ」


「あのなぁ……」


まぁいいや、とりあえず早く買って戻らないといけないのでここで小鳥遊と雑談してる暇なんてない。というかこのメモのやつをいつも星野ひとりで買ってるとしたらすごいな。


これらを買い終わったらしばらくは暇だな、夕方に奏ちゃんを迎えに行くのだが俺より来羽の方が適任かもしれないな。いや、でもその間星野は俺と二人きりになるわけだし来羽と二人きりの方が星野からしてもいいか。


とりあえずメモに書いてあった物と俺が個人的に後で使うものを買って星野の家に戻った。


「ただいま来羽、とりあえず星野に何か作ってやってくれ。俺も手伝った方がいい?」


「料理のために私が呼ばれんでしょ? それだったらお兄は星野さんの面倒を見ておいてよ」


うーん、星野と2人だと何も話すことないんだよなぁ。来羽がキッチンに移動したのでとりあえず俺は星野の部屋にちゃんとノックしてから入った。


「来羽が料理を作ってる間は俺も暇だから話に来た。それで容態の方はどうなんだ?」


「澄風先輩に心配されるほどのものではありません。先輩達が来なくても1日も経てば治ってます」


「それは親だったり看病してくれてる人がいるから一日で治ってるだけであって、星野は1人で奏ちゃんの世話もしながらだとしたら一日じゃ治らないぞ。自分でもそうわかってるから誰かに頼ってるんだろ? 小鳥遊に頼って来たのは結局俺だったけど」


本当ならあのまま小鳥遊も連れてきたかったが小鳥遊の休みだし、それを潰すようなことはしたくなかった。それに小鳥遊を連れて来たら完全に俺が空気になっちゃうかもしれないからね。


まぁいつも通り俺を罵倒できてるならそこまでやばいって訳では無いだろう。


「澄風先輩が来なくても、私は1人でどうにか出来ましたから。それに……これからそういう生活が続いていくんですから慣れていかないとダメなんです」


「そういう生活をもっと昔からしてる俺から言わせてもらうけどさ、1人で生活するというのは余程の人じゃないと無理だ。特に高校生とかなんて誰かに支えてもらわないと生活なんてできない、1人で暮らしをしてる奴なんてほとんど居ないだろう?」


俺だってずっと親が家にいない生活を続けているか来羽がいなかったら生活できてなかったと思う。来羽が料理をしてくれたり、逆に来羽が風邪をひいた時に俺が看病したり、支え合える人がいた方が生活はしやすい。


俺はできた妹がいる、星野にはまだ幼い妹しかいないんだから友達に頼ればいい。


「先輩の言葉として、一応肝に銘じておきます。それでひとつ聞きますけど、澄風先輩は私が助けて欲しいと言ったら助けてくれるんですか?」


「そりゃあもちろん、俺は星野が困ってるなら助ける、前も言っただろ? だから星野も俺を助けてくれ」


「告白みたいですね? まぁ澄風先輩に告白されてもあんまり嬉しくないんですけど」


いや、そもそも告白じゃないしそこは嘘でも嬉しいっていう場面だったでしょうよ。ま、まぁ? あんまりってことは多少は嬉しいと思ってはいると解釈しておこう。


「できたけど……星野さん、1人でも食べれる?」


「少し体がだるいけどさすがに一人で食べることぐらいはできる。ずっとベットで寝転がってたから少し移動して食べることにする」


星野がそう言うのでリビングに移動して3人で食べることになったのだが……俺が買い物に行ってる間に星野と来羽の仲が深まってない? 別に仲良くなってるから何も文句はないんだけどさ、俺との差が凄すぎて悲しくなるなぁ。


「ご飯食べたら薬飲んでゆっくりするんだよ?」


「わかってる、2人が手伝いに来てくれたんだから無理はしない」


「俺はご飯食べ終わったら奏ちゃんを迎えに行くとしようかなぁ。星野も家の中に俺がいない方がいいでしょ?」


「今は機嫌がいいので澄風先輩がいても許します」


あ、家に居ていいか否かはその時の機嫌で変わるんだ。じゃあ普段は機嫌が悪いってことなのかな?


「まぁ俺か来羽のどちらかは星野の看病をしておかないといけないからさ、俺が迎えに行くからその間はまた頼むよ」


「りょーかいっ」



§§§



「まだ完全には素直じゃないねぇ。まぁお兄からしたら多少変わったとは感じるんだろうけど」


「素直になるのは厳しいよ、今までがあんな感じだったんだしいきなりはさすがに、ね?」


「多少の変化でもいい方向に向かい続ければいずれはちゃんとした友達になれると思うからさ、頑張ってね」


まぁ今日は看病しに来たんだしお兄の話はまた2人きりで元気な日にしよう。星野さんがお兄に対して素直になれる日まで私は見守っておこうかな。


お兄の友達が増えて欲しいからね。

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