第20話 文化祭①
来羽に4階の多目的室でやっていることを昨日言ったら一番最初に友達と向かうと言っていた。何をやっているかは言っていないのだが、予想では結構人が来そうだし早めに来ておくのが正解だと思う。
提案日の翌日に木を持ってきてもらってそこから放課後はバイトの時間ギリギリまで作業して結構本格的なジェットコースターができた。まぁ設計図が分かりやすかったおかげでもあるけど、我ながら上手くできたと思う。
とりあえず1時間ごとに担当を変えていくことになったので適当に5人の組を作って俺たちは2時間後にここに戻って店番をする。それまでは普通に文化祭を回っておくだけだが、どのクラスが何をしているか知らないのである。
「別にどこに行くかは決めてないし、とりあえず知り合いがいるところにでも行こうか」
「俺の知り合いは小鳥遊の他に星野しかいないんだけど?」
「元から楓のところを行くつもりだからさ。楓のところは確か、コスプレ喫茶だったと思うよ」
なんのコスプレをしているかはさすがに小鳥遊も知らないらしいが、とりあえずここで突っ立っていても時間の無駄なのでとりあえず星野のクラスに向かった。
というか俺が行った瞬間に星野になんか言われそうな気がする……。
「来るとは思ってましたけど、始まってすぐにくるとは思ってませんでした」
「まぁまぁ、友達の出し物に最初行きたくなるのは普通でしょ。というか星野ってそんな着るんだな、勝手なイメージだけど友達に押し切られてきてそう」
星野はこんな短いスカートのサンタコスチュームなんて自分から着るはずないという俺の勝手なイメージだがどうだろうか。というかここにいる人たちはハロウィン祭とクリスマス祭の時の衣装を着てるな。
「服のことはいいですから、早く注文を決めてください。あと、絶対に見ないでくださいね」
「誰も見ないでしょ、ここそういうのに厳しい学校だぞ? そもそも普通に動いていたら見えないようには設計されてるはずだ。まぁしゃがんだり、階段の下からとかなら話は別かもしれないけど」
まぁ星野に限ってこの衣装のまま移動することなんてしないと思うので誰かが意図的にしゃがんだり、カメラを下から向けたりしない限り大丈夫だと思う。
とりあえずメロンクリームソーダとパンケーキを2人分注文して、来るまでの間は雑談をしておく。ちなみにメニュー は去年のアニマル喫茶の時より豊富だった。
「なんか来た瞬間言われるかと思ったけどさすがに他の人がいる前では言わないか、まぁ言わないでくれるのならありがたいけど」
「さっきの事とか今の事とかを考えて、楓は隼人のことを本当に嫌ってないと僕は思うけど? 本当に嫌ってるなら連絡先を交換しないし、雑談することもない」
俺もそう考えた時はあるけど、星野の口から嫌いと出る以上は俺のことが嫌いということだ。連絡先をくれた、話してくれるというだけで嫌いじゃないと決めつける前に本人の口から嫌いと言ってるんだからそっちを信じる。
「まぁ楓が俺のことが嫌いなら嫌いでいいんだよ、別に俺が楓のことが好きというわけじゃないんだからさ」
「隼人とっては僕に嫌わなけれければそれでいいもんね。でもさ、なんで嫌われているかっていう謎が残ってるでしょ?」
確かに理由は知らないけどさ、大体嫌われてる時点で悪いのは俺の方じゃん? でも俺自身も何をやったか分からないから謝ろうにも謝れないんだよなぁ……。
とりあえず注文した品も届いたし、このことを考えることを辞めよう。小鳥遊の言う通り、俺にとって星野に嫌われてることはそこまで大きな問題じゃない、放置していても生活に支障はない。
メロンクリームソーダは市販のメロンソーダにアイスクリームを乗せたもので、パンケーキはふわふわでとても美味しかった。
§§§
2時間文化祭を満喫した俺は1度小鳥遊と別れ、多目的室に戻って店番を交代した。5人組のはずだったが3人の男子が帰ってこなかった。
時間を忘れているのか知らないけど、1人くらい戻らないやつがいると思ってたけど3人戻ってこないは聞いてない。
「2人だけど頑張ろうね、えっと……胡んだっけ?」
「ひゃい! が、頑張りましゅ。……うぅ」
「大丈夫? クラスが同じなんだし、緊張しなくていいからさ」
胡桃さんはあんまりクラスで楽しそうに話してるところを見かけたことがないし、今の感じからしても緊張してるのだろう。
「よ、よろしくお願いします……澄風さん」
「ん、よろしく胡桃さん」
「っ!?」
あ、つい妹の時と同じように撫でてしまってしまった……。
「ごめん胡桃さん、妹と同じ感じに撫でちゃった。嫌だったよね」
「い、嫌では無いですけど……恥ずかしいです」
少し顔を赤らめてる胡桃さんを見て、可愛いなと思ってしまったのは口に出さないでおこう。とりあえず今は二人しかいないんだからちゃんと店番をしないと。
「こ、これから仲良くしましょう、ね?」
「そりゃあもちろん、良ければ連絡先を追加しておこうか」
「はい……!」
そして俺のスマホに3人目の友達である
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