第18話 文化祭提案 隼人side
11月中旬の文化祭に向けての出し物提案が今行われていた。
「今日のうちに案は出し切れよ、今日が終わったらその中からの選考だから無理だと思ってる出し物も言うだけならタダだからな」
まぁ採用されることを考えなかったら色んな案が出てくるだろう。去年だったら……アニマル喫茶とかあったけど、結局それが採用されたんだよなぁ、ケモ耳をつけてる側からしたら視線が痛すぎて重労働だったけど。
俺は正直自分からやりたいと思ってることは無いので小鳥遊と一緒に、このクラスの候補が何になるか眺めているのだが……まじで欲望ダダ漏れだな。
「案を言うだけならタダだけどさぁ……性癖暴露してる奴が多すぎやしないかな?」
「まぁどうせ選ばれない……とも言いきれないな。去年の事例があるし、最後の最後まで案外何になるか分からないかもしれない」
案を出す時に必ずとして現れるのがメイド喫茶なのだが、それは女子次第の出し物なので採用される可能性は低い。だから去年、男女関係なくできるアニマル喫茶(ケモ耳)が採用されたんだけど。
案決めが始まってから10分後ぐらいだが、今黒板に書いてあるのは
「とりあえずメイド喫茶は女子の許可がいるしそもそも衣装の用意ができるか怪しいから却下で。普通の喫茶の方は先生に交渉してみるけど、まぁ1番現実的なのはお化け屋敷かな?」
男子たちが落胆した声を上げるが普通に考えてメイド喫茶が却下されるのは目に見えてたでしょ。あくまで文化祭もクラスとしての出し物をするのでメイド喫茶だと何もしない、またはできない男子が出てきてしまうだろう。
「ここの4大イベントは全部中学生が来るけどさ、中学生でも楽しめるってことを考えたら絶対お化け屋敷じゃないか?」
「いやぁ、確かにそれはそうかもしれないけど他のクラスと被る可能性があるからね。僕もお化け屋敷がいいと思うけど、被ったらくじ引きだからさ、ちょっと捻らないと」
完璧に被るのはアウトらしいが、少し捻ればセーフということで去年、喫茶がアニマル喫茶となった。ケモ耳は適当に買ってきたやつを付けさせられた。
「お化け屋敷も被りそうだから候補に入れておくけど、多分消えるね。それで、ジェットコースターだけど……材料さえあればいけるかもしれない」
「材料って木か? 木なら俺ん家に無限にあるから持って来れるぞ、逆にありすぎて使い道に困ってたまである」
「材料が揃いそうだし、うちのクラスはジェットコースターにしておこう。それじゃあどの教室でやるかと、設計図だな」
俺たちは設計図とか作るのには向いていないので、なるべく広い教室を使わせて貰えるように交渉に行こう。1番いいのが4階の多目的室、あそこならほとんどものは置いてない上にこの学校にある教室の中で1番広い。
とりあえず他のクラスに先を越されないように早く担当の先生に交渉しに行こうと思ったが、良く考えれば担当の先生はクラスの担任だ。
「鉢塚先生、言いたいことはもうわかってますよね?」
「ふふ、多目的室を使わせて欲しいのよね? 担任だし少し贔屓みたいになっちゃうけど、早い者勝ちってことにしておくわね」
多目的室を手に入れたのとりあえず設計図を書くためにクラスの設計図担当の人達が多目的室に向かった。残された俺たちは……宣伝の看板でもデザインしておこう。
§§§
看板のデザインを作ると言っても設計図を作るより早く終わるのは当たり前で、デザインを作り終わった俺たちは多目的室に向かって様子を見ていた。
「うーん、スピードをここでつけるとなると耐久面の方が心配だな。それにどんな人が乗っても耐えられる設計じゃないと……」
「AとZアンクル使えば補強できるんじゃないか? 別に材料に指定は無いし、個人的に持ってこればいいだろ」
今のところは頭を抱えるような大きな問題には直面していないので安心した。Zアンクルとかはよく分からないが、とりあえず色々使って補強するらしい。
床にはどんな感じに作るかを書き記した紙が置いてあるのだが工学部でもなんでもない俺はちょっと理解できなかった。
「あ、というかもう終わりの時間じゃね? あとは家で書いてきて、材料も持ってくるから。作る時は力仕事だから色々手伝ってくれよ、さすがに1人では無理だからさ」
そりゃあもちろん助ける、教えて貰いながらであればやらかすこともないだろうし。俺は組み立てるより木を切るとかの方が得意だが、木は切って持ってくるのかそのまま持ってくるのかどちらなのだろうか?
まぁとりあえずそのことは明日に考えることにして、今日はもう帰ろう。
「小鳥遊、明日は結構重労働になりそうだから頑張る」
「そりゃあもちろん頑張るけどさ、僕は隼人程の力は無いからね?」
小鳥遊は男子にしては力が少し弱いがそれでも居ないよりいた方がいいだろう。ジェットコースターを結構なクオリティで完成させたらいっぱい人が並ぶだろう。
文化祭当日にそうなるようにクラスみんなで作成を頑張るとしよう。
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