第4話 これからの展望
「意識が戻ったと聞いたぞ。大事はないか?」
渋い顔と声のおじさんブレンダン・フォン・プレイステッドこと今世の我が父が部屋を訪ねてきた。
「ふむ、メイドから起き抜けに叫んだと聞き何事かと思ったが何もなさそうではないか」
そんな父上はこちらの姿を確認し告げる。
「申し訳ございません父上。寝込んでいたためか久々に体を動かしたら体のあちらこちらを痛めていたみたいでして」
当たり障りのないように言ったつもりだったが、父上をみているとぎょっとしていた。
「レオ……。お前少し印象が変わったか……?」
そういえば記憶と未来で見たレオ君はもっと俗物的なというかこうねちっこいというか変態チックな話し方をしていた気がする。
あれだ、なんか笑いかたとかももっと特徴的だったはずだ。
「ぶひゅぅ。父上そんなことはございませんぶひひ」
ねちょっとした笑顔を添える。
「そうか、気のせいだったかもしれんな」
これまさかこのまま気色の悪い態度をずっと続けないといけないのだろうか……。
そんな事より折角だ、この機にレオ君の成長の方針を家長である父上と話あっておくとしよう。
「ところで父上。今回倒れたさなか自分を見つめなおした結果、今一度自分を鍛えなおしたいと思ったのです。サボった僕が悪いのですが今一度学びの機会をいただけないでしょうかぶひゅひゅ」
取って付けた豚要素でなんとかカバーしたが流石に露骨すぎたかもしれない。
父上の眉が顰められている。
なんたって文章の内容と語尾ではIQと体脂肪率が違いすぎているもの。
しくじったかもしれないと考えていた私に父は口を開いた。
「なんと……。遂にお前も貴族としての本懐を知ったのだな。最近はすこしばかりやんちゃだと聞いていたが流石は私の子だ。お前の希望を叶えてやろう」
なんと御父上糞バカである。
まあでも使えるものは使うに越したことはないだろう。
貴族やらこの世界の世情やらに興味は毛ほどもないが、暴力で身を立てていくならこの世界の魔術と武術を覚え備えないと話にならない。
そして、この超わがままボディも並行して鍛えなければならないのだ。
結局技術などつまるとこどう体を動かすかでしかないので、そのもととなるものが貧弱ではどれだけ素晴らしい技を使えたところでたかが知れてる。
その点で言えば、レオ君はガリではなくデブ。
栄養吸収の才能に関してはあるはず。
先の事も決めたし今日の分のトレーニングも早く終わらせたいので、上機嫌の父上に早速明日から指導を受ける事を伝えて追い返す。
筋肉とローマは一日して成らない。
そんな事を考えながら暗くまぶしい未来に思いをはせつつ私はスクワットにいそしんだ。
悪役貴族の殺人のススメ @yama44kas
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