第24話僕は明るくなったらしい
朝学校が始まり、授業を受けていた。けど、心ここに在らず。僕は、楓と話せる時間を今か今かと待ち焦がれていた。
僕は友達が増えたが、このクラスでは、友達男子は、1人しかいない。つまり、孤独なのは、相変わらずということだ。
進学校なだけあり、皆真面目に授業を受けている。小学校の頃は、絵を描いたり、友達と話したり、寝ていたり。そんな生徒をよく見かけていた。
今は、そう言った生徒は見られない。内申点も気になるところなのだろうと、僕は予想した。
数学の授業中、先生が、「この問題解ける人?」と聞いた。生徒の理解力を測るためだろう。
楓が手を挙げ、黒板に向かって歩く。
僕の顔を少し見て、笑顔を向けた気がした。そして率先として、解いた。
素晴らしいな、楓は。僕は、心の中で拍手した。
僕は、絶対に手を上げない。問題が分かっていてもだ。もし間違えたら、僕は、恥ずかしくて、憂鬱になるからだ。
もちろん意図は分かる。間違えても、恥ずかしくて、その問題を覚えやすくなる。
正解するより、間違えた方が、記憶に残りやすいとかなんとか。
しかし…そんなこと言っても、そんな体験したくないんだ。
先生となるべく、目を合わせない様にしなければ。
僕は、教科書に視線を落とす。いつも僕は授業に集中している。
というより、授業以外で勉強しないからだ。
その分読書に費やしている。
なので数学の文章問題の読解力は、自然に身についてる。
数学の授業が終わった。その瞬間、スマホを手に持つ生徒が複数名見られた。
僕はすぐに楓のところに行こうかと思ったが、早い…なんて早さだ。僕より、先に楓に話しかける女子数名。
あれじゃ話しかけれられないじゃないか。僕は、がっかり肩を落とした。
こんなことなら、自宅にいる時、もっと話しておくべきだった。
背後から欠伸をする生徒がいたので、僕はその生徒を見た。
袋からなにやら、手に出してそれを含んだ。ガムか何か、眠気覚ましだろう。
授業中寝ないだけで、眠いのは、眠いのだろうなと僕は思った。
今まで他人など、まるで興味がなかったが、ここに来て、注意深く人を観察してしまった。
「一ノ瀬君、最近明るくなった?」
僕は隣の席の女の子に話しかけられた様だ。
僕は、びっくりして、彼女を見つめた。
メガネをかけた、髪がロングの子だ。
「ごめん、いきなり話しかけて。」
彼女は、恥ずかしそうに視線を下に落とした。
「いや、別に悪いことしてないから、謝ることないよ。最近明るくなったか。確かに僕もそう思うよ。」
僕は彼女に言った。
すると彼女は、笑顔になった。
「うん。なんか、話しかけるなオーラが出てたから、今まで、話しかけれられなくて。」
彼女がそう説明する。
そうなのか、しかし僕の名前知ってるんだ。僕はこの子の名前知らないが。書くべきか。
「ごめん、君の名前…なんて呼べば良いかな?」
君の名前は何?って聴き方より、なんて呼べばなら、知らないんだと、思われる可能性が減ると思った。
「斎藤小雪だよ。小雪でも良いよ。」
そうか、なら小雪って呼ぶか。でも彼女に用は、特にない。このまま話をするべきだろうか? 女の子と話の練習にはなるか。
と僕は少し、話をしようと思った。
スクールラブレイズ タカユキ @takayuki007
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