第23話僕は、新たな一歩を踏み出す
「だよね。私がいないと、つまらないもんね。」楓がそう返事をした。
「ちょっと、私がいるのに、楓〜それは酷い。」
笑って陽葵が言う。
「まぁ、一ノ瀬君も、私と2人きりじゃ、緊張して、楽しめないって言うのは、わかりみだね。」
陽葵が、腕を組んで言う。
「ええ、そうです。僕緊張すると思います。なので、楓が来てくれると、心強いです。」
既にこのマンションの豪華な部屋に圧倒され、2人の可愛い姉妹にも、緊張している僕は、もう喉がカラカラだ。
はぁ…疲労感が襲って来た。そろそろ家に帰りたくなって来た。
所詮僕は、出不精の人間だなと、実感しつつ、この性格治ればなとも思った。
「そっか、じゃあ楓とスケジュール合わせないとだ。よろしく!」
楓を見て、陽葵が言う。
「オッケー。合わせるよ。それより、一ノ瀬君、疲れた表情してない? 大丈夫?」
さすが楓。僕の事をよく見てるね。これは…僕のことが好きってことかな。
いやまた、自惚れだ。彼女は、助けてもらったって気持ちで、僕に優しくしているだけ…これで告白して失敗したら? この関係が壊れてしまう。
それは嫌だ。僕はその考えに恐怖した。
「うん、大丈夫。」
僕は強がって言う。実際のところ大丈夫ではない。
「お待たせ。一ノ瀬君、料理出来たから食べてね。」
そう言って、お母さんは、煌びやかなテーブルに料理を載せた。
フランス料理? 僕は、見たけど、この料理ほぼ始めて見るから、何かと断定が出来なかった。
「お母さん、頑張りすぎじゃない?」
陽葵が、驚いて言う。
「ふふ、その通り。頑張りすぎちゃった。味は補償するわよ。旦那を落とした味だから。」
楓のお母さんが微笑んで言う。
「お父さん、これにやられたんだ。」
楓がニヤッとして言う。
「そう! 胃袋を掴んだの。だからあなた達も見習って、少しは、料理手伝ったりしなさいよ?」
お母さんが誇らしげに言い、2人に注意するように言う。
「一ノ瀬君の前で、そんなのバラすなし。普段何にもやってみたいじゃん。」
陽葵が言い、楓がそうだよと、同意した。
まぁ…僕も何もしてないから。家でゴロゴロしてるだけ。気にしません。そう心で言った。
「いただきます。」と僕は、料理を口に含んだ。
「このタイミング!?」
楓が笑って言う。
僕はそれに、頷き、料理の美味しさと、料理から匂う、甘い匂いを、楽しんだ。
「お母さんの料理美味しいです。」
僕はそうお礼を言った。
「あら、お母さんですって。一ノ瀬君、私の子供になる?」
お母さんの冗談に僕は、涙を流してしまった。緊張が解けた様に思う。
僕は、歓迎されている。こんなにみんな暖かくて…帰りたいと思った自分を恥じた。
「一ノ瀬君、泣いてるの?」
楓が言う。
「一ノ瀬君、大丈夫だよ。ヨシヨシ。」
陽葵さんが僕に抱きついて、頭を撫でた。
「あら、やだ、この子は。慰めてあげるのは良いけど、そういう行動は、控えなさいよ。」
楓のお母さんが、陽葵に注意した。
「はい。でも今回は、見逃して。」
そう言った後彼女は、僕から離れた。
そして色々と話をして、僕は、帰宅する。
楓が、また学校で。と言い、陽葵が、私も中学に戻ろうかなと、冗談を飛ばした。
僕は笑ってお別れを言った。
そして帰路に着く。
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