設定など(※ネタバレの塊注意※)
おまけとして久し振りに設定などを公開したいと思います。
本作のストーリープロットについて、ここに記載したあらすじよりから、二段階で細かくしていく工程を取ってみました。第一段階と第二段階を両方とも載せるのも冗長なので大地段階目だけ次話に掲載します。
なお、公開に際してほんの少しだけ加工していることと、作中で使っていない設定、変更になった設定、ボツにした設定も当然あることを申し添えます。
【英語タイトル】:Discarded memories of the future
【コンセプト】
ペイル・コクーン ややオマージュ。
文明が荒廃した氷期の地球で懸命に生きる人々を描いたSF短編連作長編
「僕」が大きな影の主人公。
記録(記憶)をサルベージして保管・廃棄する役人。
短編に世界の秘密を散りばめて大きな話を構成する。
各短編の主人公はばらばら。
各エピソードの最後は、次で締める。
――発掘サレタ丙類KTJ-16817330648553932413号文書ノ修復ハ、一部ノ復元不能ナ箇所ヲ除イテ完了シマシタ。
――コノ記憶ヲ廃棄シマスカ? マスター。
[ ハイ ]
イイエ
甲類 大統領などの権力者
乙類 役人、軍人
丙類 一般人
KTJはKカクヨムT津多J時ロウ
番号はカクヨム上のURL
文中の数字は固有名詞以外は基本的に漢数字にする。
氷期の参考ページ
https://nazology.net/archives/67678
【閃いたアイディア】
ボツ ★冒頭の書き出し。 春が、終わる。
★コード:サクラが各地の気温を奪い、寒冷化を促進・定着させた。北極・難局・小笠原諸島西之島を中心に特に気温が低くなっている。
★2401年。マケドニア連合共和国(United Republic of Macedonia)成立。旧ユーゴスラビア+αの他民族連合国家。大統領+国民会議で国家を運営するが、高性能AI『チトー』の案を追認するのが主。ただし、チトーは難しい質問には「分からない」と答える。口癖は『お前がやれよ』。
★2200年頃、日本、トルコ、ポーランドの3か国が中心となって第4次世界大戦が勃発。日本はアメリカに、トルコはNATOとポーランドとイランに敗北し領土割譲。ポーランドは大戦途中からNATO側に寝返った。
★ミハルが水陸両用のホバー乗用車でニライカナイを目指す道中、RRFの武装した信者がPwFの軍用ホバーバイクで襲撃してくる。
★1エピソード中の場面転換の記号は―― ❄ ――― ✿ ――。行頭の頭出しは、全角の空白3つ。
★記憶再生終了は+-+-+ records over +-+-+で表示する。頭出しに全角空白2つ。文字と記号の間は半角空白1つ。recordsとendの間は半角空白。
★”記憶”を単体で使う場合はレコードとルビを振る。
★各話か各章の最後に用語解説を載せたらどうか。
用語解説の仕切り線。
❄――✿ 用語 ❄――✿
字下げ全角一文字
★文字囲みルール。
セリフ「 」
思い出のセリフ『 』
テキストメッセージや手紙など〈 〉
商品名・機械名など[ ]
組織名・国名・用語説明中の人名など【 】
★〇〇か月、〇〇か所の表示。
一か月。数か月。
一か所。数か所。
【大まかな歴史年表】
西暦
2200年頃 第4次世界大戦勃発
2202年 第4次世界大戦終結
2205年 汎アラブ連合 設立
2401年 マケドニア連合共和国 設立
2490年頃 ニライカナイの開発・建造開始
2495年頃 ニライカナイの試験運用開始
2496年 モモヨ・プラトー誕生
2498年 リッカ・アイコウ(後のアトランティエ・ラヴクラフト)誕生
2502年 モモヨ・プラトー死去。アンドロイドのモモヨ、稼働開始。
2500年頃 氷期?突入 第1章。
2510年頃 資源と食糧生産の為の土地争いおよびアメリカと中国の衝突により第5次世界大戦勃発、第5章。ニライカナイの試験運用停止。停止プログラムが不具合により起動できなかったため、実質放置。
2520年頃 核兵器により大国が軒並み壊滅、第2章。
2525年頃 アフリカ協力会議発足。
2550年頃 揺籃(ゆりかご、クレイドル)の発表・植樹開始 第3章
3000年頃 第4章
3200年頃 序章
3215年 人類協力会議発足
3275年 汎用記録リーダー・パンドラの開発にラヴクラフト財団が成功
3280年 記憶監理委員会発足(人類協力会議の組織)
3296年 記憶監理委員会にFARG96型の配備開始
3318年 ミハル・カザハナ誕生
3339年 ミハルが三級記憶採掘官登用
3341年 プロローグ、救済片
【世界設定・用語など】
〖3341年の世界〗
ほぼ無傷の旧アフリカ大陸諸国が中心となって3215年に結成した人類協力会議(Human Cooperation Council。略称HCC)のもと、クレイドルのお陰もあって安定した統治がされているが、旧ヨーロッパ諸国は食料生産能力が大幅に衰え、かつての権勢を失っている
ミハル・カザハナはHCCの三級記憶採掘官として、カルイザワにあるRSCの施設で業務を行なう日々。
過去の大戦により、人工衛星にアクセスする手段も打ち上げる技術も失われた。
〖マケドニア連合共和国(United Republic of Macedonia)〗
2401年に成立した、旧ユーゴスラビア諸国(スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニア)とアルバニア、ギリシャ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、モルドバ、ジョージア、および旧トルコ地域(物語上のポーランド・イラン分割統治領)の他民族連合国家。
大統領+国民会議で国家を運営するが、高性能AI『チトー』の案を追認するのが主。ただし、チトーは難しい質問には「分からない」と答える。口癖は『お前がやれよ』。
国家成立当初から高性能AIチトーに国家運営の判断を委ねている。
3341年も健在であるが、汎アラブ連合(Pan Arab Coalition)とのいざこざがたまに起きている。
〖汎アラブ連合(Pan Arab Coalition)〗
2205年にイラン、イラク、サウジアラビアが中心になって設立された緩い協力体制。
2520年の核攻撃により、主要都市が軒並み破壊されたが、混乱する各地に自発的に自警団が発足し、連帯することによって存続した。
〖北部アフリカ同盟(North African Economic and Military Alliance)〗
略称NAEMA。
2200年、第4次世界大戦の気配が漂ってきた頃、エジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、スーダン、エチオピア、ソマリア、ジプチ、チャドによって締結された経済・軍事両面の協力同盟。
第4次世界大戦は乗り越えたが、第5次世界大戦では核攻撃により壊滅的な被害を受けて、自然消滅した。
以降、3341年に至るまで、国家らしい国家は存在しない無政府地帯となっている。
〖人類協力会議(Human Cooperation Council。略称HCC)〗
ほぼ無傷の旧アフリカ大陸諸国が中心となって3215年に結成。
前身はアフリカ協力会議(African Cooperation Council。略称ACC)。ACCは核兵器の被害に遭わなかったアフリカ諸国により2525年頃から細々と運営されてきた。
トップは議長で持ち回り。
内部は、HCCの他、平和監視軍(Peace watch Force)、食料会議(Food Conference)、土地開発会議(Land Development Conference)、和平委員会(Peace Commission)、記憶監理委員会(Records Supervision Committee)から成る。
記憶監理官(Record Control Officer)と記憶採掘官(Record Sorter)はRSCの職員。
〖記憶監理委員会(Records Supervision Committee)〗
記憶監理委員会は3280年にできた、HCC内では最も新しい組織。3275年にラブクラフト財団が専用の機器を使わずに、あらゆる媒体からデータを読み取れる汎用記録リーダー・パンドラを発表し、人類文明の復活・維持・発展のためには過去のデータの発掘・整理・管理が重要だとHCCに働きかけて設立された。
発掘され、廃棄されなかった記憶の全てを公開することになっているが、政治関連、軍事技術関係やエログロ関係へのアクセスは、HCCおよびRSCの要職や一部の研究者だけに限られている。情報統制に反対する一部の人間は、全ての情報を公開するように過激な運動を行なうこともある。
〖平和監視軍(Peace watch Force)〗
HCCの組織。
停戦合意の履行などを監視する他、無政府状態となっている地域への治安維持任務などをになっている。
西暦3341年のニホンステイトでも治安維持任務を行なっているが、対象はクレイドルがある大きな都市だけである。関東地方ではヨウガに警察署のような屯所が設置されていた。
〖全ての情報開示を求める団体〗
穏健派の記憶平等協議会(Records Equality Council)
武力闘争も厭わない記憶奪還戦線(Records Recapture Front)
上記二つの規模が大きく有名。
RRFの母体は楽園の存在を信じる宗教団体アヴァロンの末裔(Descendants of Avalon)。アヴァロンの末裔DoAには9人の幹部がいて、その内の7人がRRFの活動に関わっている。
〖アヴァロンの末裔(Descendants of Avalon。DoA)〗
通称「教団」
2510年頃、吹雪に包まれたニライカナイに漂着した旧UKの探検家の男性イアン・ケンドールが、楽園があるという探検記を出版したことから生まれた楽園信奉のカルト宗教。開祖はイアンではない。
幹部は世襲の教祖も含めて9名。信者は全世界に1万人ほどで、すべてクレイドルの住民。
〖イアン・ケンドール〗
旧UKの探検家。
ケンドールはキャンプグッズ、登山グッズを製造する老舗メーカーであり、彼はそこの三男坊だった。
氷期に突入したばかりでまだ海面が下がっていなかった24世紀初頭の世界を好奇心の向くままに、自らの足で探検し、「イアン・ケンドールの探検記」というシンプルな名前の本にして出版した
彼は探検記の中で、楽園に漂着したときに愛用のケンドール社製のナイフを失くしたことに気が付き、とても気落ちしたと語っている。
〖アヴァロンの末裔の幹部の役職名(コードネーム)〗
長女(教祖)モルゲン(Morgen)、次女モロノエ(Moronoe)、三女マゾエ(Mazoe)、四女グリテン(Gliten)、五女グリトネア(Glitonea)、六女グリトン(Gliton)、七女テュロノエ(Tyronoe)、双子の八女と九女ティテン(Thiten)とティトン(Thiton)。
〖記憶監理官(Record Control Officer)と記憶採掘官(Record Sorter)〗
HCCの内部組織である記憶監理委員会(Records Supervision Committee)の職員として、世界中に埋もれた人類の記憶を掘り起こし、人類文明の再起の為の資料として利用することを使命とする。
記憶監理委員会は七人の記憶監理官で構成される。
記憶採掘官はソーター又はRSと呼ばれ、記憶の選別を行なう者が三級、施設長が二級、支部長が一級。
記憶採掘官には1人につき1台、汎用浮遊アシスタントロボット(General-purpose floating assistant robot、FARG96型)、愛称ファルが貸与される。実際の記憶の収集は、ファルが各地へ赴き、データセンターに記憶を持ち帰るか、送信をする。記憶採掘官は、基本、施設内で業務を行なうが、ファルとともに施設外、クレイドル外に採掘と選別に臨むこともある。
〖汎用記録リーダー・パンドラ〗
ラヴクラフト財団が3275年に発表した記録リーダー。放射線や音波等を利用して微細に内部構造を推定して、記録されているものを読み取ることができる。また、土中に埋もれた記録媒体や、微細に残っていれば媒体の痕跡から記録を復元することもできる。
名前の由来はそのままで、人類の記憶を覗き見ることはパンドラの箱を開けるようなものだから。
発表当初は人間の幼児くらいの大きさだったが、20年ほどでFARG96型に搭載できるほどの小型化に成功した。
〖汎用浮遊アシスタントロボット(General-purpose floating assistant robot、FARG96型)、愛称ファル〗
ラヴクラフト財団製。
記憶採掘官に貸与されるアシスタントロボット。
3296年からHCCに導入され始めた。3341年に至るまで何度か細かなマイナーチェンジをしているが、型番は更新されていない。
汎用記録リーダー・パンドラを搭載し、クレイドルの膜と同じ材質でできている。
FARG96型の見た目はデフォルメされた6本足のクラゲで、足は太く短い。
なお、アトランティエが軍事利用を望んでいないため、平和監視軍ではオフィス以外に導入されていない。
〖自律型観測機(autonomous observation aircraft、AOA)、愛称アオエ〗
ラヴクラフト財団製。
FARG96型の原型となった試作実験機。
3341年の世界ではアトランティエしか使っていない。
パンドラをFARG96型に搭載する際の動作試験にも利用された。
〖揺籃(クレイドル)〗
2550年頃、或る日突然、正体不明のラヴクラフト財団から発売された、雪を通さないが空気(冷気)は通す透明な保護膜テンイを発生させる技術群。
薄紫色に発行する棒を植えることにより、「アメノミハシラ」と呼ばれる高さ3000mにもなる巨木が生え、それを中心とした半径30㎞以内をドーム状にテンイで覆う。
テンイは、薄布のように軽い力でめくることが出来る。また、雪は通さないが、雹やミサイル、空中カーゴシップなどの硬い物質がエネルギーを伴って当たるとその部分だけが消滅し、数分後に再構築される。テンイがなんらかの原因でたわむと、虹色のオーロラのようなものが見える。
アメノミハシラの根は地下で繋がり、戦争等でズタズタになった通信網の再構築にも貢献している。また、張り巡らされた根からアンテナの役割を持つ子樹(子機)を地上まで生やすことにより、無線通信網も構築できる。
〖コード:サクラ〗
記録復元中に脈絡もなく入り込む言葉。コード:サクラ。
美しい日本の春を寒冷化から守り永遠に閉じ込め、対して世界には意図的に氷期を起こし続ける狂気の技術群の総称。
この技術群により、旧・日本の西之島には猛吹雪に守られた不可侵の常春の楽園ニライカナイが存在している。
〖コード:サクラの開発〗
日本州政府の命令でモグサ・プラトーが中心となって、大気等をコントロールする技術群を開発、設置、運用していた。年を経て携わっていた人々も死に絶え、技術も絶えて、ニライカナイには動物とメンテナンスシステムとモモヨを含めた自律型アンドロイドだけが残った。
〖常春の楽園ニライカナイ〗
コード:サクラの試験運用として小笠原諸島の西之島を丸ごと利用して築かれた施設。
モグサ・プラトーの手によって、2490年頃から開発がスタートし、2495年に試験運用を開始。
2510年にコード:サクラ計画は廃棄されるが、システムの不具合により、ニライカナイを停止することに失敗し、事実上放棄された。周辺は成層圏まで届く巨大な吹雪が渦を巻いている。
自律型アンドロイドのモモヨは、2502年から居住テストのため、ニライカナイに配備された。
3215年発足の人類協力会議HCCが世界地図の更新をする際にも、周辺一帯は未踏領域(unexplorable area)として記録されている。
ラストでは僕と相棒の汎用浮遊アシスタントロボット・ファル助がアルカスプログラムをデコンパイルしてプログラムを書き換えることにより、常春の楽園は消滅。少しずつ氷期は終焉に向かう。
〖ラヴクラフト財団〗
2550年頃に突如として歴史の表舞台に現れた科学技術集団。
死なずの魔女とも呼ばれるアトランティエ・ラヴクラフトを総帥に、寒冷化の影響で人が住むことが難しくなった地域に、クレイドルを提供し、メンテナンスを引き受けている。
アトランティエはコード:サクラ開発者の孫であり、祖母が起こした大災害の贖罪のために動いていた。生身の肉体は消滅しており、アンドロイドとして生きながらえている。
昔の生身の肉体のアトランティエ・ラヴクラフトの容貌は典型的な日本人であり、アンドロイドでは中東系の容貌にしている。
天才科学者モグサ・プラトーの孫でモモヨ・プラトーの実の妹。
本名はリッカ・アイコウ。
〖rooty(root type communication network)〗
クレイドルの文字通りの基幹アメノミハシラの地中の根、及び、根から地上に伸びた子樹を利用した高速通信網。
愛称ルーティrooty。端末の名称はリーフィleafyだが、ルーティと呼ばれることも多い。
〖ソリッドトイ丙型スノウビートルsnow beetle〗
ラヴクラフト財団が開発した自動車型4プロペラ式汎用ホバーモービル。
楕円形で丸みのあるデザイン。
プロペラの位置は背後、後輪部分に二つ、前輪部分に一つ。
プロペラの角度は独立して動かすことが可能で、多少の凹凸は問題ない。
財団の雇用する専業サンタクロース専用の甲型とは違い、車輪の収納以外の変形機構は備えていない。また、浮揚の仕組みも甲型は特殊な電磁フィールドを展開するのに対して、乙型と丙型は一般的なホバークラフトのプロペラである。
財団は、HCC向けには一般向けの乙型に加え、防弾・防ビーム兵器・耐衝撃シールドと、ファルと連携出来るオプションを搭載した丙型も販売している。
丙型はプロペラの出力を上げることにより、10分ほどの飛行も可能。
最高時速は60キロほど。
〖ソリッドトイ丁型スノウストライダーsnow strider〗
ラヴクラフト財団製の一般向けホバーバイク。
プロペラは小型のものが五つ。背面一つ、前輪と後輪に二つずつ。
HCCにも販売しているが、特別仕様のものは販売していない。
また、車輪はなく、燃料が切れた場合はただの荷物になる。
〖パンテラ・シニェズナ4(チタリー) Pantera śnieżna cztery〗
HCCの平和監視軍(Peace watch Force)やURMの軍で採用されている、ポーランドのパンテラ社製3プロペラ式ホバーバイク。正式名称で呼ばれず、チタリーと呼ばれることが多い。
行進間射撃時の安定性と推力維持、またプロペラを守るための装甲板のために、プロペラとスカート部が大きい。
丸みはなく角ばっている。
そのおかげで通常装備の兵士が二人搭乗でき、スカート部に一人乗っても安定して走行できる。
こちらもプロペラの角度を調節できるが、スノウビートルほどではないため、悪路に対する走破性能はスノウビートルよりも数段劣る。
〖アンモニア燃料〗
2400年代にアンモニアを燃料とする安定した大出力エンジンの小型化に成功し、以来、燃料の主役はアンモニアとなった。
また、2400年代半ばには空気中の窒素と水素に還元剤を添加することによってアンモニアを内部で作り、電力に変換する小型発電機も開発された。
2500年代初頭には普及・一般化され、以来、車やバイクなどの移動ビークルでは、還元剤が燃料と同義になっている。
〖空中機動艦〗
民間の空中機動船と比較して軍用または特別な目的のために製造されたものをいう。
旧来の戦闘機にレーザー兵器が搭載されたことにより、海をゆく鈍重な艦船は格好の的となり、代わりに戦闘機には及ばないが、機動力と火力を両立させた空中機動艦が急速に、多種多様に進化した。
2500年代初頭には、戦闘機と戦車は第一線から退き、空中機動艦が様々な役割を担っている。
ギリシャステートの国境警備隊にはイカロス級哨戒艦やポセイドン級重巡洋艦などが配備されている。
リビア国軍北部国境警備隊には、イドリース級巡洋艦やセプティミウス級軽起動駆逐艦などが配備されている。
全長は小さい順にイカロス級、セプティミウス級(1.2倍)、イドリース級(1.8倍)、ポセイドン級(2倍)。カッコ内の数字はイカロス級比較。
また、2600年頃のラヴクラフト財団は、秘密裏に超大型空中機動艦を何隻も運用していると、まことしやかに囁かれている。噂は真実で、端島重工(Hashima Industry)製のナイチンゲール級空中機動病院を数隻と、同じくナイチンゲール級空中機動要塞七天(しちてん)を一隻、運用している。
〖自動火器管制システム(A-FCS)〗
臨戦時に砲手等に変わって、最適な攻撃を行なう射撃統制システム。
AIを搭載し、攻撃の全てを半自動化したが、反面、突発的な状況や相手の情報を十分に把握できない状態では柔軟性に欠ける。
〖沈降蛇行機動〗
敵弾の回避等のために、高度を下げながら敵と反対側に向けて蛇行する運動。
〖スチームチャフ〗
レーザー兵器が普及した後、しばらくして出てきたチャフの一種。
高密度の水蒸気と一緒に反射性能が高い金属片を散布することにより、レーザー光の拡散による威力低下などを実現させた。
【登場人物等】
〖モモヨとは〗
女性型自律型アンドロイド。2502年稼働開始。
容姿は黒髪おかっぱ色白、ぽっちゃり体型、頬っぺたもちもち。
コード:サクラ開発を主導した天才科学者モグサ・プラトーの孫モモヨ・プラトーの6歳の姿を予想して造られたアンドロイド。
記憶は引き継げておらず、生育環境の学習によって疑似記憶を作り出してインストールした。なお、モモヨ・プラトー本人は2496年に生まれ、2500年に4歳で夭折している。
モモヨを含めたニライカナイのアンドロイドとロボットの全ては、コード:サクラの基幹システムと繋がれており、コード:サクラが停止すると、数時間後に停止してしまう。
〖天才科学者モグサ・プラトー〗
2450年生まれ。女性。
10歳の頃から積極的に有益な論文を発表し、大学に進学することなく、当時最高峰とされていた大学から気象学・物理学の博士号を授与された。
その後も、地球温暖化を緩和するための数々の大気コントロールのための研究を続け、論文を発表し続けた。
また人工脳工学の分野にも非凡な才能を発揮し、自身の記憶等を外部装置にコピーする技術を開発して実際に利用していた。
2490年頃から氷期に対抗するための都市建設を長野に置かれていた日本州政府から依頼され、実証実験として小笠原諸島の西之島にニライカナイが築かれ始めた。完成後は移住希望者と技術スタッフとモモヨを住まわせて、データを取っていたが、周辺への気象の影響が大きいということで、ニライカナイは西之島だけにしか築かれなかった。
2520年頃に人類の未来を心配しつつ、惜しまれながら亡くなった。モグサの外部装置は廃棄するように遺言されていたが、リッカ・アイコウが隠し持っている。
〖アトランティエ・ラヴクラフト(リッカ・アイコウ)〗
女性。2498年生まれ。
2550年頃に突如として歴史の表舞台に表れた科学技術集団ラブクラフト財団の総帥。
死なずの魔女とも呼ばれる。
アトランティエはコード:サクラ開発者の孫であり、祖母が起こした大災害の贖罪のためにクレイドルの開発と導入、メンテナンスに奔走していた。生身の肉体は消滅しており、アンドロイドとして生きながらえている。
モグサ・プラトーの外部拡張記憶から欠落していたコード:サクラの資料を探すために、汎用記録リーダー・パンドラの開発を行ない、HCCに記憶監理委員会の設立を要望した。
昔の生身の肉体の容貌は典型的な日本人であり、アンドロイドでは中東系の容貌にしている。
天才科学者モグサ・プラトーの孫でモモヨ・プラトーの実の妹。モモヨ・プラトーのことは薄っすらと記憶に残っている。
本名はリッカ・アイコウ。アイコウは母方の苗字。
〖モモヨとリッカの両親〗
父はリクギ・プラトー、母はハルカ・アイコウ。
モグサには実子がいなかったため、研究助手で一番優秀だったリクギを養子にし、リクギは同僚のハルカ・アイコウと結婚した。
〖ミハル・カザハナ〗
国籍不明。3318年生まれの23歳。黒髪猫毛短髪。こげ茶の瞳。身長166㎝。痩せ型。一人称・僕。
興味があることにだけ情熱を傾けられる性格で、成人向けの本や動画、薄い本の為に、沢山の言語を学び、記憶採掘官になった。
人類協力会議(Human Cooperation Council。略称HCC)の組織であるミハル・カザハナはRSCの三級記憶採掘官として、クレイドル内にあるRSCのカルイザワブランチで業務を行なう。
発掘された記憶は文書・映像として保管、不要と判断された記憶は廃棄される。廃棄の判断は各記憶採掘官が行なうが、最終的に廃棄の決定を下すのは世界に7名しかいない記憶監理官である。
なお、各記憶採掘官にはファルが貸与されているが、彼はファルを違法に改造し、やや機能を高め、スタンガン機能を内蔵し、指示をすれば人間臭い話し方が出来るようにしている。また、親しみを込めてファル助と呼んでいる。
【あらすじ】
〖章立てのイメージ〗
最初に第1章。
その後は各章の間に僕編を挟む。
最後にミハルが主人公の救済片。
各章の文字数は気にしないでひとまず書いてみる。(前案。各章15000文字前後を想定。)
章の数も気にしない。(前案。6章+救済片)
各章で描くこと
〖プロローグ案〗
ミハルが過去の自分に宛てた手紙。
10年前の僕へ。
君は今どうしているだろうか。
学校でいじめられて、酷く落ち込んでいたりしないだろうか。
でも、自信を持って欲しい。
君が人生に絶望せず、希望を、好奇心を持ち続けてくれたから、今の僕があるんだ。
知ってるかい?
未来の君は一生のうちに味わえるかどうかの凄い体験をいくつもしたんだ。
一つじゃない。いくつもだ。
胸を張っていじめっ子たちに自慢してやりなよ。
未来の僕は大冒険家になっているんだぞってね。
けれど、僕のせいで君はもういなくなってしまうんだ。
とても寂しいよ。
だからさ、10年前の僕。
僕のままでいてくれてありがとう。
そして、さようなら。
〖第一章 3200年頃〗
年代は出さない。西暦xxxx年。家族愛をテーマに常春の楽園ニライカナイのモモヨの生活を描く。ニライカナイの名前は出さない。主人公は元気で健気な女の子モモヨ。何があっても前向きに。家族とご近所さんと家畜とともに、長閑に生活する。
開示事項:動植物以外は生身の生物はいない。人間に見えるものはすべて人型アンドロイド。暗に示唆する。
〖閑話1 3341年 僕ミハル・カザハナの仕事の説明。〗
記憶採掘官の仕事、記憶監理官、記憶監理委員会、人類協力会議のことなどを描く。
〖第二章 2500年頃 氷期突入直後〗
世界的な飢饉の中で、戦争の気配が漂う。そんな世界で、妹とともに必死に日々を生きる姉(移民)の姿を描く。
飢饉により食料が配給制になるが、主人公の少女は飢饉が起こった他の国から避難してきた移民で、マケドニア連合国政府の政策により、配給量が少なかった。
開示事項:姉が人間と見分けが付かないアンドロイド
〖第三章 2520年頃 核兵器で大国が壊滅する〗
長年戦争をしつつも、停戦に向けて努力する若手外交官の男性と敵国のベテラン外務官僚の男性の話。しかし、世論や首相、大統領、軍務大臣などの強硬姿勢に翻弄される。最後は大使館の核シェルターに避難して生き残るが、高濃度放射線が残留している影響により、外に出ることが叶わず、シェルター内で国を非難しながら一生を終える。
開示事項:イアン・ケンドールが幻の楽園を見つけたという噂。
〖第四章 2548年 クレイドルの試験導入と発表〗
ヨーロッパの農村牧畜集落に試験的にクレイドルが導入される話を、数名の村人の視点で描く。
導入前に村を二分して揉め、ラヴクラフト財団の職員(職員に成りすましたアトランティエ本人)が訪れた際も反対派の妨害にあう。しかし、渋々納得させて、アメノミハシラを立て、傘が周辺を覆うと、反対派はいなくなった。
開示事項:アトランティエ・ラヴクラフトの容姿。性格。
〖第五章 3000年頃〗
間氷期が終わり氷期が続く世界。文明は後退し、小さな共同体が乱立する。そんな状況の旧・静岡県の沿岸部で、原始的な狩猟採集生活を営む家族を描く。
それと対比して、クレイドルがいくつか見えることと、HCCの施設周辺のごく限られた地域では、近現代的な建物や未来的な機械があることも書く。
開示事項:遠くに巨大な吹雪が、雷を伴い渦巻いている様子が見える。
〖第六章 2510年より少し前。大戦勃発前夜。〗
大戦勃発へと向かう時代の緊張感を、小競り合いをする国境警備隊の隊長の日常生活とともに描く。
開示事項:ニライカナイに触れた男イアン・ケンドールの記憶。ニライカナイ周辺で時空が歪んでいることも匂わせる。
〖第七章 救済片〗
断片的な資料を基にコード:サクラを外部から停止させるアルカスプログラムの起動を目指し、RRFの妨害や困難の末に成功させる。
コード:サクラは大気の他に時空も歪めていたため、コード:サクラの停止と共に、地球の時間は巻き戻された。
エピローグは温暖な3334年の長野県の高校に通う風花美春が、同級生の高原百代と妹の高原六花に挨拶をして、不思議と涙を流すシーンで終わる。
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