音声記録:ネウロン魔物事件について
■ネウロン魔物事件
あー、あー、あー。カワイイカワイイカワイイ。
私は<雪の眼>最高の美少女史書官・ラプラス様です。
録音できてますかね? この間は録音失敗して5時間ダダッ! と喋りっぱなしだったんですよね。あのような悲劇を繰り返してはいけません。
いま現在、私はネウロンを訪問し、交国軍のゼリーパンを食してまーす。
交国軍の食事はホントにマズいです。後世に語り継ぎたいマズさです!
でも今回は食事ではなく、ネウロン魔物事件関連のボイスメモです。
新暦1241年。ネウロンで<タルタリカ>という魔物が大量発生する事件、別名<ネウロン魔物事件>が発生しました。
私的にはもっとシャンシャン☆オシャンティーな事件名をつけるべきだと思うのですが、交国がそう名付けたので仕方ありません。
私の考えた最高にオシャンな事件名リスト100選を交国政府に送りつけたのに、それが採用されなかったのだから仕方ありません。フゥ~! 私の選んだ事件名の方が絶対ナウなヤングにバカウケなのに……。
まあまあまあ、話を戻しましょう。
ネウロン魔物事件はネウロンに大きな爪痕を残しました。
ネウロン人の9割が死亡し、タルタリカが跋扈することでネウロンの都市・集落のほぼ全てが破壊されました。
交国軍は「タルタリカ、恐れるに足らず」とか言ってます。実際、交国軍の主力機兵<逆鱗>ならタルタリカを楽に蹴散らせますからね~。
しかし、タルタリカは歩兵程度なら蹴散らしてきます。流体で出来た身体はコアを潰さない限り、何度も再生してきますからね。
交国軍の正規兵ですらそれなんですから、ネウロンの一般人なんて軽く殺されちゃいます。ネウロンに限らず、一般人が勝てる相手じゃありません。
そんな魔物が一夜のうちにネウロン中に展開していったんですから、そりゃあネウロンも滅亡の危機に瀕します。
交国がやってきて主権奪った時点でネウロンはほぼほぼ詰んでるんですけどね。今はその交国の支援がないとガチでネウロン滅びる一歩手前なのが「詰んでるのに詰んでない」って感じでオモシロイですね。
交国は占領地の文化をせっせと破壊するので、どっちにしろもう「ネウロン」という文化は滅ぶでしょうけど。
既に焚書始まってますし、交国が手を下すまでもなくタルタリカがネウロンの文明をメチャクチャにしちゃいましたし。
交国お得意の「支配地域住民の強制移住」や「改名」や、「子供を大人から引き離して洗脳教育」も始まっています。タルタリカなんていなくてもネウロンの文明は消え去っていくのでしょうね。
交国に限らず、多次元世界ではよくあることです。
ネウロンの存在は数多の歴史書から消えていくのでしょうね……。
もう1000年以上、他所の人類文明どころかプレーローマにすら存在忘れられていたような辺境世界なので、最初から歴史書に書かれてないですけど。
まあ、ウチのには残すんですけどね!
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交国含む強国がどれだけ嘘八百並べてるかわかりますよぅ!
■第一次タルタリカ殲滅作戦
閑話休題。
ネウロン魔物事件では、交国軍にも被害が出ました。
ネウロンを保護すると言い張って来た交国軍がネウロンに駐留していたのですが、一夜で世界中にワラワラ現れたタルタリカの物量に負けたのです。
交国は多次元世界によくいる腐れ侵略国家ですが、その軍事力はガチのマジで強いです。私もなかなか強いですが、さすがに交国軍には負けますよ。現人類文明で指折りの巨大軍事国家ですからね。
そんな交国軍でも世界規模の大奇襲には対応しきれず、多数の死傷者を出しました。ネウロン人の死者数と比べたら微々たるものですが、駐留軍としての組織力が崩壊する大きな被害を与えられました。
さすがに全てのネウロン駐留軍がやられたわけではないのですが、駐留軍だけで対応しきれる事態ではありません。
そこで交国政府は交国軍・第二十三艦隊のネウロン派遣を決定しました。
数十の大型方舟と多数の機兵と兵士が、魔物事件発生2日後にはネウロンに辿り着き、交国関係者の保護とついでにネウロン人の保護を開始しました。
第二十三艦隊はカシミヤ――現在の<繊一号>防衛のために戦力を割きつつ、その周辺のタルタリカを倒すために<第一次タルタリカ殲滅作戦>を開始。
<星の涙>による攻撃を――軌道上から流体装甲を使った運動エネルギー爆撃を行い、繊一号周辺のタルタリカを撃滅していきました。
歩兵相手には「ウェイウェーイ!」と強気に出れるタルタリカですが、人工的な隕石相手には「ヒェーーーーー!」と逃げ惑うしかありません。
方舟使った軌道上からの爆撃で敵陣を攻撃し、機兵部隊を投入して制圧する。交国軍が今まで何度も使ってきた得意戦法ですね。
技術とパワーのゴリ押し戦術ですが強いんですよねぇ。弓矢や投石機で精一杯の後進世界の住人達がどれだけ交国軍にボッコボコにされてきたか……。
まあまあまあ、第二十三艦隊の活躍あって、第一次タルタリカ殲滅作戦は交国軍大勝利となりました。この作戦で死んだ交国人はいないそうです。ぶいぶい!
第一次タルタリカ殲滅作戦で死んだネウロン人もゼロ! というのが大本営発表ですが、実際はそんなことないでしょうね~。
この殲滅作戦で行われた爆撃は無差別爆撃なので、ネウロンの街や村にも被害が出ています。爆撃で跡形もなく吹っ飛んでしまった集落もあります。
交国軍は「爆撃を行う前に救助活動を行った」「数名助けることが出来たが、あとはタルタリカに殺されていた」と言い張っています。
ですが、第二十三艦隊到着から殲滅作戦開始までのスピード感を見ると十分な救助活動が行われたとは考えづらいです。
実際、それを裏付ける証言も見つけました!
殲滅作戦に参加した交国軍人さんの1人に聞いたのですが、その方は回転翼機に乗って作戦区域内で索敵を行っていたようです。
その途中、フロシキ地方にある<アサ>という名の都市上空を通りがかったところ、都市中心部の丘で煙が上がっているのを見つけたそうです。
彼はそこにネウロン人の生存者がいるのを見つけました。
回転翼機に向けて手を振り、助けを求めている無辜の民を救うため、彼は着陸しようとしましたが……そこにタルタリカの群れがやってきたそうです。
彼は生存者に「建物の中に隠れていろ!」「必ず助ける!」と言い、タルタリカの群れを出来るだけ引き付けながら飛びました。
上官に生存者を助けるための機兵部隊派遣を要請した彼の回転翼機はタルタリカが投げた石でダメージを受けましたが、何とか繊一号まで帰還したそうです。生き残れて良かったですねぇ。
ちなみに、彼が救援要請した30分後に爆撃が始まったそうです。
アサは多数のタルタリカが確認されたため念入りに爆撃され、それによって出来た巨大なクレーターが新たな湖を作ったようです。交国に限らず、多次元世界ではよくある話ですね。
アサの一件を教えてくださった交国軍人さんは殲滅作戦後も志願してネウロンに残り、任務の傍ら、取り残されているネウロン人がどこかにいないか探し続けていました。自分を責めていたようですね。
一昨日、作戦行動中に行方不明となり、昨日、彼が操縦していた回転翼機の残骸が見つかったようです。廃墟の傍を低空飛行している際にタルタリカが投げた岩で撃墜された可能性が高いようです。
■第二十三艦隊のおかしな動き
殲滅作戦絡みで私が一番気になるのは、第二十三艦隊の動きです。
彼らは第一次タルタリカ殲滅作戦後、上層部の命令でネウロンを去りました。
第二十三艦隊が現在のネウロン旅団の代わりに作戦行動を続けていれば、タルタリカはもう、殺し尽くされてそうなんですけどねえ……。
交国軍は第二十三艦隊を退かせた理由を軍事機密として教えてくれませんが、彼らがネウロンにやってきた時期もおかしいんですよね。
第二十三艦隊がネウロンに来たのは、魔物事件発生2日後です。
これはいくら何でも、動きが速すぎます。
魔物事件対応のために動かしたとしたら、到着までもっと期間空いてるはずなんですよね。ネウロンって絶海に近い辺境の世界ですし。
事件発生から艦隊到着までの期間が短すぎます。
交国は「第二十三艦隊は魔物事件対応のために派遣した」と言い張っていますが、交国の話なんて話半分に聞いてりゃいいんですよ。嘘に決まってます。
ネウロンでの支配を強めるための増援として派遣したところ、たまたまた魔物事件が始まったのでその対応に動いた――という可能性はゼロです。
軍隊らしい軍隊のないネウロンは交国に対し、ろくな対抗手段がありません。
魔物事件以前からネウロンは交国に支配されていました。魔物事件さえ起きなければ追加の戦力は必要なかったはずです。
でも、第二十三艦隊はネウロンに来た。
事件発生前から、何らかの理由で派遣が決定していたのでしょう。
事前に派遣していたから、到着が早かった。
では、どういう理由で艦隊を派遣していたのか。
それについて調査してみましたが、分かりませんでした。いかがでしたか?
■特佐長官が動いていた?
マジでまだ何もわかっていないのですが、調査は継続中です。この程度で「分かりませんでした。いかがでしたか?」してたら雪の眼の史書官辞めてブロガーやってますよ私は。
ネウロンに関しては、色々と謎があります。
辺境の忘れられた世界でしたが、だからこそ謎が埋まっています。
第一に「何故、交国はネウロン侵攻をした?」という謎があります。これに関してはネウロン人が言うところの<叡智神>絡みのはずです。
交国は「ネウロンをプレーローマから保護するため」って言い張っていますが、プレーローマも飛び地のネウロンを攻めるほどの余裕はないですよ。
交国は嘘をついてます。
まあ、「保護するンゴねぇ!」って言いながら侵略するのは交国含む強国の十八番ですが……。今回の侵略理由は叡智神絡みのはずです。
第二十三艦隊が魔物事件発生前からネウロン派遣が決定していた事に関してはよくわかりませんが、これも多分、魔神案件だと思うんですよねー……。
どうも単に第二十三艦隊が動いていただけではなく、宗像特佐長官も同行していたようなんですよね。数名の神器使いを引き連れて。
宗像特佐長官はメチャクチャ大物です。
玉帝の懐剣であり、特佐達を束ねる長ですからね。
そんな方が直接動く話となると、絶対に重要な案件です。特佐長官と神器使いがいたとしたら、第二十三艦隊なんてただの付け合わせです。
まあ、特佐長官がネウロンに向かっていた確たる証拠は無いんですけどね~。でも私の読みが確かならあの人も第二十三艦隊と行動を共にしていたはずです。
多分、第二十三艦隊は特佐長官の仕切りで動いていたのでしょう。
何らかの特命で動いていたのです。
その途上でネウロン魔物事件が発生したため、第二十三艦隊はその対応に動いた。ネウロン近くまで来ていたから到着まで早かった。そんな感じかもです。
ひょっとしたら、長官達が追っていた案件そのものが魔物事件に絡んでいるのかもですね? どう絡んでいるかは分かってないので、いま調べてます!
■何かがおかしいネウロン
ネウロンはド田舎世界のわりに、不思議がいっぱいです。
シオン教と叡智神。
1000年の平和と、1000年前の事件。
巨大軍事国家・交国がわざわざ侵略してきた事実。
交国がタルタリカ殲滅に本腰を入れていない謎。
魔物事件とタルタリカ。
天に二物以上与えられた天才美少女センス抜群ビフロストかけっこ大会七冠史書官の私でも、わからないことだらけです。
でも、全ての謎を解き明かしてみせますよ。私は頭がいいのでね……!
わからない事だらけですが、これ多分、殆どがあの魔神絡みの案件なんですよね。全ての謎があの御方に繋がっているはずです。
今は推測に過ぎませんが、証拠を掴めば芋づる式に謎が解けていくはずです。
そもそも当時のことを知っている私の護衛が全部ゲロってくれれば大体の謎は明らかになるのですが、「契約により喋れない」「自分で調べろ」と言って証言を拒否しますからね。ムキー! 護衛しか役に立たない羽付きです!
交国は交国でウチの調査妨害してきますからねぇ……。
私達は交国に悪意があるわけではなく、「正確な歴史」を記録しようとしているだけなのに! まあ交国にとってはそれが嫌なんでしょうけどね。
出てくる食事もゲロ以下なので、交国軍はマジで最悪です!
この食事のマズさもしっかり、後世に残さなくては……!
でもほんとマズいので、こんな食事ばかりだと108ヶ国語話せる絶世の賢者美少女の私から「美」が抜け、108ヶ国語話せるただの天才になってしまう恐れがあります。そんなのビフロストどころか多次元世界の損失ですよ。
というわけでエノク! その辺で食べ物取ってきなさい! 護衛でしょ! 役目でしょ! 贅沢は言いませんから、美味しい地魚とジビエを用意しなさい。
は? 嫌? 契約外業務はやらない?
役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず指示待ち野郎指示待ち野郎指示待ち野郎指示待ち野郎ジビエジビエジビエジビエジビエ無能無能無能無能無能アイスクリームアイスクリームアイスクリームアイスクリーム天使天使天使おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚セーブしますか? 魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚職務怠慢! 虚王様に言いつけますよ!?
やだやだやだやだ!! まともなもの食べたい食べた~~~~いっ!!
ほらっ! 聡明美少女の私が床でドタバタと駄々こねていると見苦しいでしょう? わかったら大人しく私の指示に従いなさい。私は上司ですよ!!
天才美少女☆史書官☆ラプラス様の言うこと聞きなさ~~~~いっ!!
だばだばだばだば~~~~ッ!!!!
「やかましい。権能を使うぞ」
あーーーーッ! 護衛のくせに護衛対象を脅してるぅ~~~~ッ! 契約違反! 契約違反! 申し訳ないと思うなら美味しいもの獲ってきてください!!
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