日記 2023/9/15
川谷パルテノン
2023/9/15
本日はいつもより出社が早く、であるからして早起きをせねばならなかった。早起きは人類が編み出した最悪の発明と言える。寝起きの面構えは
出社してからひと段落して何気なくスマホを覗く。反射的に行われる動作はもはや中毒のよう。写真フォルダに入った無駄でしかないスクショを始末しようと開いたら意味不明な画像が羅列されていた。ここでいう意味不明は私の性格から蒐集されたくだらない画像群ではない。形容するならそれは「怪奇現象」だった。撮影された時刻を見てみると就寝中の時間帯になっている。画像群は10枚ほどあって、宇宙の中に見える大気の層みたいなものや曇天の空、また異様な青い光を放つものなどなど。詳しくは私のXアカウントでの本日付けの最初のポストを見ていただければわかるだろう。しかしなんだこれは。ポケモンスリープか。ともあれ就寝中だったこともあって不細工な寝顔が残されていないのだけは幸いだった。寝起きの顔が下手人なら寝顔は怪物だ。なんの技術もセンスも持ち合わせずとも成せる最も簡単なVFXである。ドイツの文学者ヴォルフガング・カイザーが言うにはグロテスクとは疎外された世界らしい。つまり人は就寝によって意識を一時的に現実から疎外する。現実の他者である肉体の自分はこの疎外によってグロテスクを獲得し今夜も化物の顔ですやすやと眠るのだ。
日記 2023/9/15 川谷パルテノン @pefnk
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます