伯爵令嬢が騎士?とまずその設定に驚きつつ読んでいくと、出てくるわ出てくるわ「剣が欲しい」「甲冑が恋しい」など、およそ恋愛ファンタジーのヒロインらしからぬパワーワード(笑)。強さは折り紙付きでも恋愛となるとちょっとポンコツで、行動の読めないヒロインを追うのが楽しく、また周囲の人々とのやり取りもテンポも良くて面白くて最高でした。
作品では、王子が受けた呪いや王室内に渦巻く陰謀といった重めの内容も描かれているのですが、花にちなんだ呪いはどこか美しく、敵も味方もどちらかわからない者も、登場人物はみなそれぞれに魅力があり、物語のいく先も気になり、後半は一気に読み進めました。面白かったし、物語の終わりのその先も気になります。
色々述べましたが、一番心に残ったのは王子ルーカスの愛情深さと、最後にリラが見せた覚悟。
二人なりのスピードで進む恋愛模様とお互いの想いや得た気づきなど、特にリラの心の変化が丁寧に描かれていて、良質な恋愛小説だと思いました。
中編の中に様々な要素がギュッと詰まった、続きが欲しくなる贅沢な作品。おすすめです!
好きという感情も、恋も、何も知らなかった主人公リラ。
幼馴染の王子ルーカスから向けられる恋情も、よくわかっていませんでした。
ですが、お話の中にはリラがルーカスを慕うような様子があるのです。
けれど、リラはその感情が何かわかっていないのです。
「それが好きってことなんだよ!」
「それが恋なんだよ!」
と何度思ったことか……! このじれじれ両片思い具合がたまりません。
また、ルーカスが本当に優しいよくできた男性です。
リラが疎いことを知っているから、彼女が追いついてきてくれるまで待ってくれています。
だからこそ、最後は感無量でした。
この二人なら何があっても大丈夫。きっと、手を合わせて乗り越えられる。そう信じています。
皆様もぜひ、読んでみてください。
ヒロイン(女主人公)はかっこいい女騎士リラ。
幼馴染である王子を守るため、国一番の強さを手に入れようと頑張ってきた女の子です。
一方、王子はリラにぞっこんで・・・!?
伝わらない王子の思いに切なくなります。
でもリラは自分の気持ちを理解できていないだけで、本当は――
すれ違う二人のじれじれの描き方が本当に巧みです!
これぞ恋愛小説の真骨頂。
想い、悩み、苦しむ――愛する人の幸せを願って自らの心を犠牲にさえする……恋愛のすべてが詰まっています。
女騎士リラも、彼女の侍女となるマデリンも、ライバル登場かと焦る隣国の姫も、さらには悪役女性さえも、とにかく出てくる女性キャラクターがみんな魅力的。
全員違うタイプなのに、みなそれぞれに魅了してくるのです。
また呪いがドロドロとした不気味はものではなく、花を題材にした美しくも恐ろしいもので、とても惹かれます。
見どころがたくさんある本作、ぜひのぞいてみてくださいね!