ロリコンおじさん

にこん

第1話やらせて

「ロリコンおじさんって知ってる?」


私は学校の校庭でそんな話を聞いていた。

話しているのは同じ学校の女子生徒だった。


「なにそれ」

「放課後のグラウンドを歩いてたら来るらしいよ。ロリコンおじさんが」

「来たらどうなるの?」

「『やらせて』って聞かれるらしいよ」

「ひえっ」


聞かされた方の生徒は明らかに怖がっていた。

それでも興味はあるのか聞いている。


「返事したらどうなるの?」

「頷いたら連れていかれてやられるんだって」

「断ったら?」

「その場で殺されるんだって」

「ちょー理不尽なんですけど。ちなみに無視したら?」

「無視しても殺されるらしいよ。『おらを無視すんな』って」


ふたりは笑ってるけどこの話かなり理不尽だと思う。


だってこれじゃ何しても無駄だもん。

会ったら終わり。


そのときだった。

ズーン。ズーン。


巨体の男が校舎のほうから歩いてきてた。


(どこからきたの?さっきまで近くにいなかったのに)


でかい。

2メートルくらいあるだろうか?


でもその男は異常だった。


全身が白かった。

その男は噂をしていた女子ふたりに近付いて聞いていた。


「やらせて」


私は思った。


(ろ、ロリコンおじさん!)


巻き込まれないように走って逃げた。


家に帰らないと。


離れたところでチラッとふたりの方を向くとロリコンおじさんの腹は大きく開いてそこから大きな鎌が出てふたりの体をみじん切りにしていった。


(ロリコンおじさんさんを受け入れないと殺される)


そんな話を思い出して私は身震いした。


その日以来私は学校が終わるとすぐに家に帰るようになった。


それで学校を卒業するまでの間ロリコンおじさんに遭遇することは無かった。


でもたまに、ふと思う。


あのロリコンおじさんとはなんだったのか。


まだあそこで「やらせて」って声をかけてるのか。


真相は闇の中。


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