第6話 言葉や見える世界について
“美は見る者の目に宿る”
こんなことわざがイギリスにはあるそうです。すごく好きな言葉で、日々疲れてクタクタな毎日の中で何回も救われた言葉。
例えば、きちんと管理・計算されて造り込まれた庭園が、花の盛りを迎えて咲き誇る姿はどう見たって美しいし憧れる。
一日そんな庭で座ってお茶でも飲みながら読書できたら最高だろうなぁ、なんて思います。
でも、お花に興味のない人にとってはただの庭で、それを綺麗と思わず通り過ぎるかもしれない。
もっと言うと、道端にオオイヌノフグリが咲いていて、雑草だし滅茶苦茶な名前をつけられているなぁと思うけれど小さな青い花が可愛らしくて綺麗だなと思う。
何をもってして美しいと思うかは人それぞれで、そしてその美しさを何に見出すかはその人の目を通した感性でしか決められないのだなぁ、と。
私は昔から内弁慶の夢見る夢子ちゃんで、いろんなタラレバを考えたり、妄想したりするのが好きでした。
自分自身の容姿が優れていないことは子どもの頃から自覚していたけど、そこに対して悩むことも嘆くこともありませんでした。
おばちゃんになって振り返ると、その代わりのように、自分以外に美しいものを求めていたのかなぁ、と。
文章や言葉に関して、一番初めに美しいと感じたのは萩尾望都先生の漫画。
キラキラの昭和時代の少女漫画の絵柄に目が行きがちだけど、読んでいくうちに台詞ではない地文の言葉や表現の美しさに虜になっていました。
小説なら私の世代の文学少女はきっと通ったであろう、長野まゆみ先生。
長野作品は唯一無二で、今でも定期的に読み返しては得も言われぬ気持ちを味わってます(笑)
昨今の文学少女も長野作品通ってるのかな?
右も左も、猫も杓子も異世界転生系ばかりな風潮の昨今、こういうことを思ってしまうのも歳を重ねたってことなんでしょうね。
歳を取ると段々と感受性が薄れてしまうのも実感しているので、ふとしたものを美しいと感じられる目を、心を磨いていきたいなぁと思います。
また、文章を通して誰かの心に美しいの種を植えられるようになってみたいものです。
皆様にとっての美しいもの、美しい言葉や文章ってどんなものでしょうか?
丁寧だけどどこか残念な暮らし 鴨野 @anco69
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