童貞の俺が恋をした。

夕日ゆうや

世界の童貞

 童貞とは、なんだろうか?


 童貞である俺は考えてみた。

 性経験のない人を指し示すことが多いらしい。特に男性に言うらしい。

 俺は童貞だ。

 童貞と馬鹿にする者が多いが、果たして本当にそうだろうか?

 むやみやたらと恋人をとっかえひっかえしているよりも誠実で芯の強い男ではないだろうか?

 俺はそんな童貞人格者だ。

 モテモテでもない俺は童貞にされている。

 童貞というものは一人では打破できないのだ。

 これが現実だ。

 世界よ。童貞を生み出すのは女子が相手をしてくれないからだ。

 それが悪いこととは限らない。

 劣勢遺伝子である俺の子どもを残さないためにも、こう言ったことは必要なのだ。

 俺は世界に必要されていないのだ。

 悲しいかな、これが現実だ。

 現実の前に理想は無意味なのだ。

 不実な人々が食らい合う中、俺は一人童貞である。

 実を通すため、俺は一人足掻いている。

 どんな相手でも俺がときめかなければ付き合うことはない。

 俺には童貞でいる理由がある。

 それを覆すつもりはない。

 童貞である。

 だから、生きていられる。

 俺の思いを託すに足りる子はどこにいるのか。

 子を産むからには責任がつきまとう。

 ただの遊びで付き合うつもりはない。

 結婚前提で付き合うのが童貞な俺である。

 俺はまだ童貞である。

 童貞であれば、人を傷つけていないという証拠になる。

 もう誰も傷つけない。

 俺は女性を傷つけない。

 そのためには童貞でいるべきだろう。

 生きている。

 童貞でも生きている。

 童貞だって人の心は持っている。

 なぜ童貞には市民権が与えられていない印象を受けるのか。

 それでも俺は生きている。

 童貞で、生きている。

 こんな人もいるんだ。

 まるで生きる権利がないように思えるが、童貞だって必死で生きているのだ。

 必死で生きているのだ。

 世界の駒として、歯車として必死に働いているのだ。

 二股、三股などしたことがない。

 生きているから、童貞なのだ。

 童貞でも俺は生きている。

 悲しい者を見るような哀れみも必要ない。なぜなら童貞であることに誇りを持っているからだ。

 生きる上で働く人は必要なのだ。

 喩え、その右手を汚そうとも、俺は生きている。

 生き続ける。

 童貞である俺にできないこともある。

 が、童貞であることに意味があるのかもしれない。

 なぜ人は童貞を嫌うのか?

 それは慣れていない女性経験から、女性を不安にさせてしまうのかもしれない。

 だが、それは関係ない。

 自分の欲望のために非力な心が人の経験を奪うこともある。

 それは童貞ではない。

 経験者の言葉が正しいとは限らない。

 何が正しくて、何が間違いなのか。

 それに童貞は関係ない。

 童貞であるが故に悩むこともあるだろう。

 でも、童貞である俺は悩まなくていい。

 なぜなら、人を信じているから――。

 信じている限り、童貞である俺は世界の歯車として働く。

 人が生きていく中、社会を動かす歯車が必要になってくる。

 いっけん悪いことに見えるかもしれないが、社会を動かすには自分の立場を理解し、協調しあいながら動かしていく必要がある。

 俺は歯車として世界を動かす。

 個人の力で変えられないし、変えようとする気さえ起こさせない。

 そんな歯車である。

 世界を、人を、家族を幸せにするには、そんな歯車も必要なのだ。

 個人で変えずに、社会の歯車を回していかねばならない。

 世界は個人の力で成り立っている。

 そこに童貞も経験者も関係ない。

 人としての価値があるに違いない。

 だから俺は今日も頑張る。

 もし明日が童貞のままであっても。

 そうでなければ、人はみんな経験者でしかなくなる。

 それは悲しいことだ。

 童貞がいることが世界を救うことだってある。

 童貞にしか分からないこともある。

 理解するだろう。

 人は人によって悪意をもたらす。

 それが人を慰める悪となる。

 慰める。

 それが悪だ。

 人は人によって慰められる。

 だが、その言葉の真実を知ったとき、俺は吐き気を催した。

 人は気高く、孤高の一人によってなりたっていくべきなのだ。

 性的搾取。

 そんなのはなくていい。

 性差別があるから、世界はまとまれない。

 童貞で、処女で。

 そんな世界がいつまでも続けば、人は穏やかに暮らしていける。

 そこには差別意識がない。

 始めから、生殖能力がなければ事件は、事故は起きない。

 あなたは処女であり、俺は童貞である。

 それによって世界に秩序がもたらせる。

 世界平和が訪れる。

 性差がなければ、問題など起きないのだ。

 みな、一丸となって世界平和に、地球環境問題に、踏み込めるのだ。

 地球温暖化、砂漠化、白化。

 全ては人間のエゴから成り立っている。

 自然の対義語は人工である。

 となればいくつもある自然環境問題は人工である人のもたらした結果である。

 自然から離れていった人は、童貞という地位を確立した。

 ある意味では最も純粋で、差別のない世界へ。

 本能ではなく、理性によって成り立つ――それが童貞である。

 自然の環境から最も遠い存在にして、最も自然に優しい存在なのだ。

 童貞とは、人のあるべきステージの一つなのかもしれない。

 ステップアップした新人類なのかもしれない。

 世界を変える、力を持った優秀な遺伝子を持った人なのだ。

 世界の歯車となり、人を汚すことなく、人の世を人の世たらしめる力――。

 新人類。

 このようにあるのだと。

 世界は変わっていく。

 俺のような童貞によって。

 経験者には、遊び歩いている人間には分かるまい。

 このうちから湧き出る衝動は。

 発した衝動こそが生きる意味になる。力になる。

 みな、童貞であれば、世界は変わる。

 変わっていける。どこまでも。

 きっとイエス・キリストも、ブッタも、性行為を悪と断じてはいなかっただろうか?

 それを知ってなお、人はあらがおうとする。

 そこに答えはない。

 キリスト教も、仏教も。

 それが間違いだと指し示している。

 にも関わらず民衆はそれを聞かず、むやみやたらと童貞をいじり、否定し、顎で使う。

 それでは本当の意味で、品性のない――堕落した人類の誕生である。

 劣勢遺伝子が残ることで、神や仏に最も近しい存在をけなしているのだ。

 それは許されざる行為だ。

 俺は童貞である。

 童貞は全ての人類の手本になるべき存在なのだ。

 それが分からないから、いつまで立っても、自分は劣等種と勘違いしてしまう。

 そのままでいいのだ。

 童貞は。

 童貞である無罪さは人を超えた力。

 真の男なら、誰とも添い遂げずに、この世界の歯車として動く。働く。

 世界を見守り、時にはその力を使い、変えていく。

 みんなが幸せに生きていくにはそれが必要なのだ。

 人々を導く力が。

 童貞が。

 童貞たる、ある意味最も神に、仏に近しい存在が……。

 俺はそのために生きる。

 神や仏となり、人々を見守る。

 この世界にある悪意を変えていく。

 みんなを守り、助ける存在――童貞に。

 俺は童貞になる。

 それは他の者にはマネできない生き方だろう。

 だが俺はゆく。

 それでも後悔はしない。

 なぜなら童貞である俺はすべての矛盾を抱えたまま、世界を統治していくのだから。

 世界のことわりを変えていける力が、童貞にはあるのだから。

 童貞よ、大志を抱け。

 すべての矛盾をはらみながらも、世界を変え、ときには世界を支えていく。

 それだけで人として生きる意味を、価値を生み出す。

 そこに性差はない。

 童貞でも構わない。

 童貞は嫌われるべき存在ではない。

 俺は童貞である。

 それ故に言えることもある。

 童貞であれば、俺は支えることができる。

 童貞は最高だ。

 神や仏も想定しないほどに膨れ上がる童貞力。

 それは世界を救う力。

 世界を変える力。

 俺は童貞だが、童貞である意味を見つけなくてはいけない。

 俺が童貞である理由。

 それは世界を支えるために生きているのだ。そこに童貞かどうかは関係ない。


 俺は童貞である。


 ちなみに恋をした。

 童貞を捨てたい。

 童貞故の気持ち悪さが出ている。

 

 俺は童貞である。



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 この物語はフィクションです。

 物語に出てくる単語に価値はありません。

 無意味です。

 でも作者は童貞です。すみません(^_^;

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