ゴミ山の王
208 新たな朝、新たな発見★
* * * *
{ ピンポンパンポーン! おはようございます。ロラン・ローグ、定刻になりました。恒星間年月日は統一星暦996年9月24日の7時、漂流してから20日目、バイユールを訪れてから4日目ですね。本日は衣服の回収、
ロランは目を開け、穏やかな笑みを浮かべた。
昨夜のエリクシルとの会話が頭をよぎり、その温もりが心に残っているのを感じた。
「おはよー。いつものベルが違ったなぁ」
{いかがでしたかっ!?}
「いいと思うぜ。なんか新鮮な感じ。機械的じゃないからかな?」
{ふふっ! これからはこうしますね!}
エリクシルの元気な声が、ロランの一日を明るく始めるきっかけとなった。
清々しい朝の光が窓から差し込み、部屋を明るく照らし出す。
エリクシルと視線を交わしながら、ロランは新たな一日の始まりを感じ取った。
「よーし、今日も頑張ろうな!」
ロランは軽く伸びをしてベッドから降りると、朝の準備に取り掛かった。
エリクシルはそばで彼を見守りながら、時折アドバイスを飛ばす。
{寝ぐせがついていますよっ!}
「おーー」
朝食を済ませ、フロントに夕飯は外食することを伝え、街に繰り出す。
「図書館での調べ物も終わりが見えてきたか? 文字もじモジ! 正直図書館は飽きたぜ……」
エリクシルはくすっと笑った。
{うーん、優先度の高いものは粗方調べ終わりましたが、わたしは種族について勉強したいですね}
「……! 粗方終わったか!! 種族か、確かに獣人をよく見かけるが、そんなこと気にしないくらい慣れちまってたぜ」
ロランはその言葉に目を輝かせ、エリクシルは頷きながら続けた。
{えぇ、バイユールだけでもクノン族に、熊のような獣人、見たことのない種族も見かけました。書籍も挿絵付きでしょうからあなたも楽しめるはずですよ}
「種族は俺も気になる。さっそく急ごうぜ!」
ロランは図書館に向けて走り出す。
{ふぅ、挿絵があるとこうまで反応が違うものですか……。まったく、もう……}
エリクシルの頭には、魔物図鑑を無心で眺めるロランの姿が思い浮かんだ。
子供っぽい一面もあるが、昨日のようにやるべき時にはしっかりと決める彼の姿を思い出す。
彼女はそんなロランのギャップをますます愛おしく思うのだった。
* * * *
「おはようございまーす」
「おはようございます。毎日熱心ですね」
「はい、今日は種族について調べたいんですけどー」
事務的であった司書も、こうも毎日訪れるロランにまた思うことがあるのか、その表情は以前にも増して柔らかだ。
それに気が付いたロランは、腕輪型端末に優しく触れながら会話をしていた。
エリクシルは不思議と心が温かくなる。
「こちらです」
「ありがとうございまーす。……どれどれ」
ロランが手にした本には、多様な種族の挿絵と共に、それぞれの歴史や特徴が描かれていた。
この世界では大きく三つの種族が存在し、それぞれが異なる文化や社会を築いているようだ。
{{
「ようは
ロランはつぶやきながら、挿絵に描かれたエルフの優美な姿を眺めた。
図書館の静かな空気が彼の思考を落ち着かせ、普段は見過ごしてしまいがちな知識に意識が集中している。
{{あら、そうですか? アールヴ族も
「へぇ~」
ロランはエリクシルの言葉に頷きつつ、さらにページをめくった。
{{次は、
「ラクモさんやニョム、ニアさんもそうだよな。やっぱり身体能力は高いんだな……。あ、熊の獣人みっけた、ブロン族って言うのか……」
ロランは頭の中で知り合いの獣人族たちの姿を思い浮かべる。
ラクモの身体能力は確かにずば抜けていた。
{{最後に
「
ロランは眉をひそめながら呟いた。
{アレノールのように
「奴隷なんかいるのか……! どんだけ倫理観が停滞しているんだ。コスタンさんも苦慮していたが、種族間の価値観や生存戦略の違いから生じる衝突も避けられないところもあるんだな……」
ロランは目を閉じて思索に耽った。
図書館で様々な書物を読み漁る中で多くのことが繋がり始め、理解が深まる一方で新たな疑問も生まれる。
こうした背景から、この
「平和と繁栄の裏には、常に対立と葛藤が潜んでいるだな……」
{{珍しくよく学んでいますね。良い心掛けです}}
「そうだな。結構面白かったよ」
あっという間に正午の鐘が鳴る。
ロランは静かに本を閉じると、すっかり読みふけっていたことに気づき、伸びをしながら微笑んだ。
「さあ、そろそろ昼食にしようか」
{{そうですね、腹ごしらえをして午後は観光といきましょう!}}
ロランは図書館を後にし、市場へと向かった。
市場には新鮮な果物や焼きたてのパンの香りが漂う中、ロランは昼食を楽しむ場所を探して歩いた。
「今日はこいつにしよう、前から気になってたんだ」
ロランが目を引いたのは、地元の特産品を使った料理を提供する屋台だった。
焼き立てのパンとジューシーなグリルチキンを購入し、近くのベンチに腰を下ろして簡単な昼食を楽しむ。
「当たりだったな!」
{{良かったですね!}}
食事を終えた後、ふたりは商店街を練り歩き、様々な店を見て回った。
ふと、ロランは一軒のポーション屋を見つけて足を止めた。
「ポーションを買っておこうか?」
{{うーん、荷物になりますから、帰りに寄ることにしましょう}}
「あぁ、そうか。別にクエストするわけじゃないしな」
ロランは頷き、再び商店街を歩き始めた。
工芸品店や武具店など、様々な店が並ぶ通りを眺めながら、ふたりは楽しそうに会話を交わす。
そして商店街の賑やかな通りを抜け、少し外れた場所にひっそりと佇む古めかしい雑貨店を見つけた。
店はまるで時間から取り残されたような雰囲気を漂わせ、店先には誰が買うのかも分からないガラクタの山が雑然と積み上げられていた。
錆びついた鉄くず、壊れたランプ、埃をかぶった古書など、様々な物が無造作に放置されている。
「一体誰がこんなものを買うんだ……?」
{{ふふ、まさにあなたみたいな人では?}}
「へっ、俺に骨董趣味はねえよ」
ロランは半ば呆れたように呟きながらも、好奇心からそのガラクタの山に手を伸ばした。
ガラクタの山から、何かを引き出した瞬間、その手に触れた物の質感に驚いた。
古びた雑貨の中にあって、異様に新しく、しっかりとした造りをしている。
「これって……!?」
ロランの目が見開かれた。
――支払い 80ルース
――所持金 8,210ルース
――――――――――――――
三種族。
https://kakuyomu.jp/users/PonnyApp/news/16818093081898673227
なにか。
https://kakuyomu.jp/users/PonnyApp/news/16818093082908118986
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