006 ファーストコンタクト★
イヤーマフを装備したロランは、ハッチを開けるスイッチの横に手をかける。
このスイッチを押すことで、彼は緑色の肌を持つ先住民と直接対面することになる。
この瞬間が、ロランにとって未知の生命体との初めての接触となりそうだ。
「ポチっとな」
{ ロラン・ローグ、スキャンが不十分なため、周囲の状況は確認できていません。対象が一人とは限りません。警戒を怠らないでくださいね }
エリクシルがロランの10歩後ろから警告を発した。
ロランは左手を上げてOKサインを送り、状況を把握していることを示した。
ガガガ、グォォオンオンオンという音と共にハッチが徐々に開き始める。
隙間から差し込む陽の光と共に、久しぶりに新鮮な外の空気が船内に流れ込む。
ロランは深く息を吸い込みながら、
この姿勢は、父親から学んだ戦闘術に基づいており、緊張感の中でも自信と準備の良さが感じられる。
(
心の中でロランはショットガンを一瞥し、いざという時には撃つことを躊躇わない覚悟を決めた。
緑色の先住民が音に気付き、好奇心深くハッチの中を覗き込む。
ハッチが完全に開きロランの姿を認識すると、先住民は舐めるようにロランを観察し始めた。
この生き物の体色は灰色がかった緑で、
その姿勢は膝を曲げた円背で、ロランの腰よりも低い位置に頭がある
(思ったよりも小さいな……80センチくらいか?)
しかしその小さな背格好に反して、頭部と手足は異様に大きく歪んでいる。その爪は厚く尖っており、土で汚れたように見える。
そして腰には薄汚れた腰蓑をまとっており、首に巻かれた革紐には人の耳が切り取られて括り付けられていることがロランには明らかだった。
ロランは表情を変えずにエリクシルに伝える。
<<無声通信、エリクシルッ! こいつ、
{{ ……この乾き具合は、切り取られてから時間が経っているようですね……。十分に警戒して下さい! }}
エリクシルが無声通信で返事をする。
ロランとエリクシルをピンと張り詰めた空気が
人の耳を拾ったのでオシャレに着飾ってみました、などという言い訳は通じない。
先住民からは残忍な、血生臭いものに対する嗜好が
更に観察を続ける。
先住民の外見は、鉤鼻、手入れされていない肌、尖った耳、歪んだ顎と口元に鋭利な乱杭歯が見えるなど、特徴的である。その大きく開いた眼は黄色の虹彩を持ち、黒々とした横長の楕円形の瞳をしている。
ロランはその目に見覚えがあることに気付き、どこかで見たことがあると感じる。
また先住民の額には深いシワが刻まれており、頭部には灰色の髪がわずかに生えているだけである。
ロランはこの先住民をじっくりと観察した後、深呼吸をして自らを落ち着かせる。
先住民の存在は明らかに脅威であり、冷静に対処する必要がある。
「……こっ、こんちはっ!」
「グギャッーーー!、ゲギャゴギャ!」
ロランの間の抜けた挨拶に、先住民は驚きとともに奇声を発して彼を睨んだ。
その小さい体躯からは想像もつかないほどの迫力ある表情を見せた。
ロランに刺すような緊張が走り、ゴクリと唾を飲み込んだ。
(めちゃくちゃ怖っ!)
「エリクシル、翻訳は?」
ロランはなにか手はないかと考え、
「ギャガ、ギョ!ゲッゲーーッ!!」
半透明のホログラムであるエリクシルがロランの傍にゆっくりと歩き寄ると、先住民は更に驚き叫んだ。
今度はエリクシルを
「ギョ■■■■?■■■リ、ジャッ■■■ーー!」
先ほどの唸り声とは異なり、何かを言っていそうな言語らしいものが聞き取れる。
しかしまるで幽霊でも見たかのように先住民は興奮し、こん棒を振り回し威嚇行動をとった。
こん棒で何度も地面を打つけ、今にも襲いかかってきそうだ。
「お、落ち着け、敵意はないんだ」
ロランは
{ 言語プログラムに登録がありません。言語として認識できません }
「ゴギャーーー!!ギャオオォッーーーー!!」
エリクシルが報告した刹那、痺れを切らした先住民がこん棒を振り回しながら駆けてくる。
怒り狂い向かってくる様子はとても自衛のためとは思えず、
腹の底から一気に喉元へ突き上げる、この世のものとは思えない絶叫を発したそれは、見た目からは想像できない威圧感があった。
――――――――――――
先住民。
https://kakuyomu.jp/users/PonnyApp/news/16817330665447800257
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます