第3話 イチャラブ(4パート分)

(~パート10まで)

ーーパート07ーーーーーーーーーーーーー


「えっ

四十七士??」


真っ昼間だというのに

アシュリーと、マクラを

並べて、ピロートークをしている

ワタシなんだけど。


半年前からいる アシュリーに

カリュブカオスについて、いろいろ

彼の情報を、得ようとしているの。


ちなみに、アシュリーは 知り合いが

来るかと、半年待っていたら

ワタシだったから、相当ガッカリ

したみたい。


「そう 赤穂浪士って 知らない??」


どうやら アシュリーが 得た話しに

よると、カリュブカオスも

異世界から、転移したみたい。

しかも、元々は お侍さんだって言う

から、ビックリしちゃった。


「土佐日記だっけ??」


「違うよ」


歴史って、全然わかんない。

白河の関が、東北地方にあるって

それを知ったの、大人になってから

だからね。

だから、アシュリーの話しを

聞き漏らさないようにしないと。


「うん それで??」


「・・・大石内蔵助の息子 大石力の

同年代で低年齢の為に

ギリギリ参加拒否された

少年剣士だったそうだよ」


長谷山 火竜 (はせやま かりゅう)

って、名前だったみたい。

アシュリーが、歴女で

助かったわ。

ホント。


「へぇー」


よく、わかんないけど

わかったフリをしてみる。


「それで 吉良邸で 吉良を

討ち取って 大石内蔵助たちは

切腹を」


「切腹 !?

切腹って 腹を切るヤツだよね ??」


コワいな。

こういう話しが、ちょっと

ニガテだから、つい 耳を塞いで

しまうわ。

でも、カリュブカオスに

食べられない、ヒントが

あるかも知れないし

がんばって、聞いてみる。


「そう

仲間は みんな切腹させられたけど

長谷山は 参加者じゃないから

切腹を させてもらえなくて

その後 8代」


「なんだか コワいね

切腹させて もらえないって

仲間と 一緒に 死にたかったってこと??」


集団心理って、ヤツだろうか。

ワタシなら、切腹を命じられても

逃げるけど、よっぽどだね。


「う~ん

死んでも 一緒に いたかったん

じゃないかな

よくわかんないけど」


全く、理解しがたいな。

歴史って兄弟間で、コロし合ったり

逆に、仲間と死んだり

ホントに不思議。


「それで??」


「どこまで 話したっけ

四十七士の 芝居小屋が 流行った

んだよ 江戸時代に」


「おっ

それって 推し活だねぇ」


芝居小屋って、演劇をする

ホールってことね。

それくらいは、わかるけどね。


「うーん

それで 江戸幕府から

目を 付けられるような

存在に なったの」


その当時は、長谷山のような浪人が

江戸に 集まって、大変だったらしい。


「そんな 人なんだね

あっ 長谷山 火竜だから

火竜で カリュなんだ

納得」


でも、ドラゴンに 転移したって

すごく、イイな。

ワタシも、超強い モンスターに

なりたかったわ。


「うん

だから 話してると

武士って感じするよ

あたしは そういうところが

好きだけど」


歴女が、本物の侍に会ったんだから

そりゃあ、そうだよね。


「えっ

カリュブカオスと

そういう関係に

なったの??」


「1回だけね

でも 痛くて 無理だったの」


ビックリしたわ。

そうとう、気に入られたんだな。


「あっ

それは 大変だったね・・・」


「うん」


痛かったんだね。

でも、なんだろう。

ワタシの推しに、ソックリな人と

アシュリーが、寝たってだけなのに

なにか、心にメラメラ燃えるものを

感じる。


「なめてあげようか??」


ワタシが、心の内を さとられない

ように言うと


「うん うれしい」


コンコン


不意に、ドアが ノックされる。


「なんだ !?」


いつもの 口調に戻る アシュリー

ベッドから、飛び起きる。


「カリュブカオス様が

出かけるので ついて来いとの

ことです」


頭だけ、ヒョッコリ出す

使用人の 女。


「うむ

わかった」


コクッと、頭を下げる アシュリー


「出かける??」


買い物は、下働きの者が

やるだろうにと疑問に思う。


「そう 狩場の事前調査にでも

行くのだろう」


なにやら、いつものこと

らしい。


「かりばって なに??」


「近いうちに 戦場と

なるからな

付いていけば わかるよ」


苦笑いする アシュリー


「一緒に 行くんでしょ??」


「あたしは いい

遠慮しておく

カリュブカオスと 二人で

行ってきなさいね」


行きたくない理由でも

あるのだろうか。

多少、不安になってくるが


「えぇ

そうなんだ」


まぁ、せっかく異世界に来たので

城の中だけっていうのも

味気ないし。


「早く 謁見の間まで

行こう」


「うん」


コンコン


重い扉を、ノックする。


「入れ」


「失礼いたします」


いそいそと、カリュブカオスの

前まで、進む。


「これから 狩場に行く

一緒に ついて来い」


「はいっ」


なんだか、推しに 強引な誘いを

受け、ブルッとなったわ。

ソックリさんだけど。


「この世界は 広い

二人で 見てまわろうではないか」


マントを、両手で広げて

なんだか、笑っちゃうわ。


「はい

よろこんで」


うれしそうな、ワタシを見て

嬉々とする カリュブカオス


「うむ

とりあえず 外に

馬車が あるから それに

乗って出かけるぞ」


「げっ

馬車??」


軽く、トラウマ。

あれは、勘弁して欲しい。


「案ずるな

お主が 乗って来た

檻のついた ものとは

違うぞ」


ニヤニヤする カリュブカオス


「そうでしたか

あれって 乗り心地が

最悪でしたから

ちょっと 安心しました」


妙に、ホッとする。

あんな、劣悪な乗り物に乗ったの

はじめてよ。


「だろうな

普段は 奴隷が乗る為の

馬車だからな

だが これから乗るのは

一味も 二味も 違うぞ」


腰に、手を置いて

高笑いする カリュブカオス


「それは 楽しみでございます」


ーーパート08ーーーーーーーーーーーーー


「これですか??」


黒塗りで、箱形の形状。

ぐるりと、ガラス窓があり

外の四隅に、金でできた

ランプが付いている。

見た目は、普通の馬車だ。

馬が、2頭で引くみたい。


「やっぱり こういうの

ですよね」


もっと、メルヘンチックな

あの馬車を、イメージして

いたんだけど、少し ガッカリ。


「なんだ

不服か??」


ワタシの、表情に 出てたみたい。

ヤバい。


「いえ

たいそう 立派ですよね

オホホ・・・」


一歩、間違うと イヤミになる

ようなことを、言ってみる。


「立派なのは

外観だけでは ないぞ

さっそく 乗ってみろ」


ドアを、ガチャリと開け

ワタシの手を引く

カリュブカオス

なんだか、強引だなぁ。

でも、キライじゃあないかも。


「そうですか」


恐る恐る、ステップに足を置き

乗り込む。

いわゆる、布地のベンチシートが

進行方向と、後部に 2列ある。


「うわぁ

シートが ふっかふか

寝れますねコレ」


後ろ側に、腰掛けてみる。

真っ赤な、座席は ビロードのような

手触りで、感触がイイ。


「そうだろう そうだろう」


満足げな、様子の カリュブカオス


「ええ」


「それだけでは ないぞ」


コンコン


後部に座るワタシと、向き合う

ように座り、背後の 馬係に

窓を、ノックして合図を出す

カリュブカオス

窓の外から、ワタシを見て

ウインクする 馬係。

クチには、出さないけど

よく、食べられずに済んだなって

祝福しているみたい。


「出せ」


「はいっ」


そういう、やりとりがあって

馬車が、フワリと 宙に舞い上がる。


「えっ

ええぇぇぇ」


どんどん、地面が 遠退いてゆく。

ガラスに写る、ワタシは

目を、丸くしてる。


「どうだ

驚いたで あろう」


ニヤリと笑う カリュブカオス

横風を、受けると 窓がガタガタと

音をたてる。


「はいぃ

風に なってるー」


風船のように、浮かんで

スピードは、そんなに出て

ない。


「気持ちイイだろう」


「はい

観覧車に 乗っているみたいな

感じですね」


「観覧車?

まぁ よい」


観覧車を、知らないようだけど

聞き流したみたい。


「昔 一回だけ

男友達と 乗ったことがあって

キスしたな

忘れてた」


なんだか、一度きりの

甘酸っぱい、思い出。

あまり、性欲のない ヤツだったな。

今、思えば なんの為に

二人っきりで、乗ったんだろうか。


「キス??」


「そう

ああ 接吻ね

結局 付き合うことなく

別れちゃったけど」


「そうか」


神妙な、面持ちとなる カリュブカオス

突然、向かい合う席から ワタシの

左側へ、移動して来る。


「わっ

となりに 来ちゃうんだ」


少し、揺れる 馬車。


「そうしないと

接吻が できぬ」


「あっ」


ワタシの肩に、腕をまわして

抱き寄せ、軽くキスをする。


「・・・うん

なんか 推しと

キスしてるみたい

めっちゃ照れるわ」


実際は、推しとキスなんて

絶対に出来ないので、この男で

満足する。


「そんなに

似ておるかな」


「うん

仕草とかも ソックリで

すごい うれしい」


興奮で、顔が 赤くなっていそう。


「それは

よかったな

わればかり見ず 外の 景色も

眺めてみよ」


なんか、ずっと カリュブカオスを

見つめていたみたい。


「うん

わぁ すごい」


あちこちに、小さな家が 点在して

いて、のどかなところだ。


「アシュリーは

怖がっていたぞ

高所恐怖症だと言っていたが」


鼻で笑う カリュブカオス


「アシュリーとも

乗ったんだね

そうなんだ」


なんだか、モヤッと してしまう。

なんだろう。

焼きもちなのかな。


「うむ

どうした はぶてたか」


雰囲気の、変化を 感じ取った

カリュブカオス


「ちょっと

ジェラかも」


よく、わからないけど

そうかも知れない。


「お おう

それは いらぬことを言ったな」


なんだ。

そういう心が、ないかと思ったけど

ちゃんとある人で、安心したわ。


「なーんてね

ビックリした??」


わざと、おどけてみる。


「おどかすでないわ」


怒っているようで、口元が

ほころんでいる カリュブカオス


「アハッ

ゴメンね」


ペロッと、舌を出す。


「まぁ よい

そろそろ 目的地だ

着地するぞ」


外の景色を、一瞥して

ワタシに、そう言う カリュブカオス


「えっ もっと 飛んで

いたかったな」


地面が、スルスルっと 近くなって

いく。


「しゃべっていると

舌を噛むぞ」


ガタッ


けっこう、強めな衝撃が はしる。


「わっ」


舌は、噛まなかったけど

かなり、危なかった。

アゴが、ガチンとなったもん。


「ちゃんと

注意したであろうが」


悪びれる様子もない。


「あいたた

もう少し やさしく降りれないの??」


座席のクッションが、やたら

柔らかい意味が、少しわかったわ。


「なぜ そんな気を

つかう必要が あるのだ」


まぁ、そうだけど。

言い方よ。


「なんか

根本的に教育が 必要ね」


わかってきたけど、中身は 少年なのね。

骨が、折れるわ。


「教育?

寺子屋のことか??」


なんだか、江戸時代丸出しのヤツだな。

歴女の、アシュリーなら

笑うんだろうな。


「いや

そういうことじゃなくて

人間として」


「ドラゴンだが」


「うーん

そうだったわ」


ーーパート09ーーーーーーーーーーーーー


「ひなびた

農村ね」


村の、はずれの路地に着陸して

窓の外を見るが、民家が

ポツポツあるだけの

寂しいところだ。


「ここに なにかあるの??」


グルリと、周囲を見回すが

なんで、こんな場所に来たんだろうか。

不思議。


「降りろ」


馬車から、降りるように言う

カリュブカオス


「うん・・・」


しぶしぶ 降りてみる。


「服かな?

ウエディングドレスを

買ってくれるとか」


それなら、めっちゃ嬉しいけどね

実感が、出るかもしれないし。


「ウエディングドレスとは

なんだ??」


そうだった。

この人が、ウエディングドレスなんて

知るわけがないんだった。


「あれ 教会で 着るでしょ??」


一応、説明しようとするけど


「とにかく 服を買いに来たのでは

ないわ」


まぁ、どう見ても 仕立て屋さんが

ある雰囲気じゃあないわよね。

わかっていたとも。

ああ、わかってた。


「じゃあ なにか 美味しい店が

あるとか」


お城の、料理も 美味しいけど

たまには、里芋の煮物を

食べたいとか。


「店は ないが

美味しいぞ」


意味深に、笑う カリュブカオス


「えっ

ヤッター」


つい、笑顔が出てしまう。


「お前も 喰うのか??」


なにか、やたらニヤニヤしている。

ゲテとか、イヤだよ?


「えっ・・・

と」


答えに、窮するわ。


「明日

ここらあたり

一帯は 戦で 焼け野原になる」


右手を、前に突き出し 横に動かす

カリュブカオス


「はぁ

いくさって 戦争になるってこと??」


歴史を、知らなくても それ位は

わかるわ。


「ああ そうだ」


「ちょっと

なんで そうなっちゃうのよ !!」


こんな、平和を絵に描いたような

キレイなところが、火の海に

なんて、ゾッとする。


「それはな」


「それは・・・」


「われが 仕組んだからだ」


イタズラっ子のように

屈託ない、笑顔の カリュブカオス


「えっ・・・

仕組んだって まさか・・・」


血の気が、引いていくわ。

ウソで、あれよ。


「そう

われは 武功という名の

食事で ここまで 地位を

高めてきた」


嬉々として、語る カリュブカオス


「それって」


「ワザと 2国間に

イザコザを 起こし

その間 食事をする」


すごく、簡単な説明をする

カリュブカオス


「つまり

人間を 食べる為に

戦争を・・・」


自分の手で、自分のクチを

ふさいだわ。


「どうだ

驚いたか」


笑ってる。

この状況で。


「・・・やめてよ」


「うん?」


「止めること

出来るんでしょ」


正面から、カリュブカオスの

両肩を、掴んで 訴えるけど


「だがな

一旦 動き出したら 止まらない

ものなんだよ」


そう言うと、みるみるうちに

肩から上が、ドラゴンの それへと

変化する カリュブカオス


「えっ」


ビックリして、両手を

離してしまったわ。

でも、変化は 肩から上だけなんて

器用だな。


「それでは

前哨戦と いこうかの」


そう言うと、一軒の民家に向けて

歩き出す カリュブカオス


「ちょっと なにする気よ」


行く手に、立ちふさがるわ。


「まぁ

見ておれ

このあたりの 住人は

避難するように 言っておるが

残っているかの」


物色するように、見ている。


「ちょっと 残ってたら

なんなの??」


騒ぎが、起きるように

大声を、出してみるけど


「少しは 静かにせんか

獲物が 走って逃げたら

困るではないか」


なんだろ。

こっちが、悪いような言い方だね。


「やめて

やめてよ」


「なんだよ

離せ」


すり抜けて、行こうとするから

腕を、掴んだわ。


「いや

住人を 食べたら

もう 二度と 牛丼を

作ってあげないよ !!」


正直、この手しか残ってない。


「・・・

うーん」


「ねっ

帰りましょ」


「・・・

うーーん」


だいぶ、悩んでいる。

案外、効果あったかも。


「こっち

こっち」


手を、引いて 馬車のところまで

戻せた。


「・・・でも あいつら

戦が 始まれば 死ぬんだよ?

今 新鮮なうちに」


すごく、名残惜しそうに見ている

カリュブカオス


「ダメよ

ワタシが 死なせない」


「えっ

どうやって??」


「ワタシにだって なにか

できるはず」


そうだよ。

ドラゴンには、なれないけど

なにか、あるはずよ。


「なんだよ

なにをして 住人を守るって??」


頭部は、すっかり 推しの顔に

なっている。


「うーん」


言っては、みたが 皆目見当が

つかず・・・


「自分の 能力値を

測ったことが

あるのか??」


なんだろ

そういうの聞いてないし。


「ないけど

そんなの 出来るんだ??」


なんて、便利な世界なんだ。


「ああ

城に 測定器がある

もし それで メリーナス

お前が 無能と わかれば

ここの 住人は すぐに食べる」


断言する カリュブカオス


「そんなぁ」


なんだか、責任重大だなぁ。


「じゃあ 今すぐ 住人を

食べる いいな」


クチを、拭ってる。

最大限、譲歩してるっぽい。


「わかりました

測定しに 帰りましょう」


一旦、帰れば あとで なんとか

なるかも知れないし。


「うむ

どうせ 無能 だろうがな」


「・・・はい」


イチイチ腹立つわ。


ギューン


上空へと、舞い上がる 馬車。


「帰ったぞ」


突然、帰って来た馬車を見て

あわてて、玄関の 扉を開ける

アシュリー


「お早い お帰りで」


頭を、下げて 迎え入れる アシュリー


「いや

まだ 食べておらぬ」


ぶっきらぼうに、言い放つ

カリュブカオス


「えっ

左様で ございますか ??」


少し、ホッとする表情を見せる

アシュリー


「ああ

コイツが 人間を喰うなと

言いおってな」


ワタシを、指差す カリュブカオス


「はぁ

それで 食べなかったと」


ほうけた顔をする アシュリー


「なんだ

なにか言いたいのか」


つめ寄る カリュブカオス


「いいえ とんでも ございません」


両手を、振る アシュリー


「そうか

これより 測定室にて

メリーナスの 能力測定を

執り行う」


なぜか、畏まった言い方をする

カリュブカオス


「・・・

ハッ わかりまして ございます」


城の奥深くに、歩いていく 一行。

途中で、ロウソクに 火を灯す。


コツコツコツ


地下へと、つづく階段を

降りてゆく。


「すごく ヒンヤりするわね ココ」


緊張感も、相まって 寒気がする。


「地下だからね」


スンと答える アシュリー


「お主まで 来ずとも

よかったのだぞ?」


首を、かしげる カリュブカオス


「別に イイじゃん」


いきなり、タメ口になる アシュリー


「・・・まぁ

よいわ」


フッと、ため息を出す カリュブカオス


「この部屋だよ」


6畳ほどの、石造りの空間。

壁際に、机とイスが 一脚。

机の上には、なにかを隠すように

布が、かけてある。


「まず

このイスに座ってみて」


イスを引く アシュリー


「うん」


言われるまま、座ってみる。


「この 布の下には

水晶玉が あるから」


布に、手をかけるが

まだ、開けない。


「測定器って 水晶だったの?

器って言うから 装置かと

思ったよ」


「そうだよ

あたしも 最初 そう思ったもん」


素朴に、そう思ったけど

一人じゃないから、安心した。


「あぁ

なるほど

これで 住人を 食べるのが

なしくずし的に 決まる流れかぁ」


なんか、わかっちゃいました。

人を、食べるの 反対している人は

これをするんだなと。


「・・・

そうかもしれないし

そうじゃないかも知れない」


なんか、唇を噛むように話す

アシュリー


「そうなんだ

まだ 望みは あるかも」


非常に、薄い望みでは あるが

それに、賭けてみようと思う。


「なにを うだうだ やっておる??」


邪竜が、しびれをきらす。


「はい ただいま

布を 取るから 水晶玉を

見つめて」


ワタシより、アシュリーの方が

ドキドキしているみたい。

顔色が、真っ赤になってる。


「うん」


「やるよ」


ファサ


勢いよく、布が 外され

グッと、水晶に近寄る ワタシだが


・・・・・・


もう少し、寄ったら 見えるかな。


「えっ

どんな感じ??」


モヤッとした水晶。

しかし、二人は


「なんと

聖女とは・・・」


水晶を、見ていない。

壁の上の方向を、向いている。


「よかったですね

聖女を もう少しで 食べる

ところでしたね」


ニヤッと する アシュリー


「ああ 皇帝の お達しが

あるゆえ 仕方ない」


メリーナスも、住人も食べれない

カリュブカオス


「さっきから

なんの話しよ」


水晶を、凝視したり

二人を見たり、忙しいわ。


「ちょっと

水晶と キスするの?

顔を 引いたら 読めるよ」


どうやら、こんなに

近付く必要なかったみたいだ。

めっちゃハズい。


「あっ

水晶の中に 文字が出るんじゃ

ないんだね」


顔を、起こすと なにやら壁に

投影されている。


「そうだよ

まぁ そっちから読み取る人も

いるんだけど」


水晶からも、読み取れる人が

いるみたい。


「それで ワタシって

聖女なんだ??」


なんか、ウレシイ。

よろこんでイイんだか、わからないけど。


「そう

皇帝がね 今

不在の 聖女を探しているの」


どうやら、聖女が 求められて

いるそうな。

これは、戦争を止める チャンス到来

かも知れないよ。


「聖女と わかる前に

喰っておけば よかったかな」


めちゃくちゃ、くやしそうな

カリュブカオス


「ダメでしょ」


つっこみを入れる アシュリー


「むむっ」


おどける カリュブカオス

こんな、一面も あるんだな。


「一応 皇帝閣下に

一回会ってみなくちゃね」


皇帝に、会うように 進める アシュリー

なぜか、目を 輝かせている。


「えーっ

その皇帝閣下って

悪魔的なー

なにかですか??」


正直、カリュブカオス以上の

魔物に、会いたくはないかも。


「イヤ

普通の人間だよ

モンスターじゃあないから

安心して」


なんだろう。

アシュリーの方が、めちゃくちゃ

やる気が、みなぎっているように

見えるのは、気のせいかな・・・


「うーん

そっかぁー」


ーーパート10ーーーーーーーーーーーーー


「さぁ

出発よ みんな」


一人だけ、テンションが

異様に高い アシュリー

狩場に行くって時には

あんなに、イヤがったのに

今度は、率先して 行きたがる。


「なんで そんなに

前のめりなの??」


どうしても、聞かずには

いられない。


「なにを おっしゃいますか

聖女さま

あなたの お供として

一生 ついて行きますわ」


どうやら、ワタシの使用人として

働きたいようだ。


「あー

なんだか キャラクターが

コロッと 変わったわね」


こういうのって、手のひら返し

とか、言うよね。


「なんなりと

お申し付けくださいまし

アソコも なめさせて

いただきます」


なんだか、いろいろやってくれそう。

かわいいな。


「えぇぇ

すっごく 嬉しいけど

裏が ありそうで

めちゃくちゃコワいよ??」


うますぎるもんな。

奴隷で生け贄だったのに。


「裏など

めっそうも ござんせん」


完璧な、スマイル。

なんか、買っちゃいそうな ワタシ


「うーん

それなら イイけど」


気分的には、悪くない。

むしろ、イイくらい。


「ウヒヒ」


「いや

よくないよ

そんなんじゃなかったでしょ」


笑い方よ。

どこかで、ネジが 取れちゃったの??


「とりあえず

準備が 出来たなら

馬車に 乗ろうか・・・」


なぜだか、雰囲気が 違う

カリュブカオス

あんたもかよ。


「あれっ

カリュブカオスまで

どうしちゃったの??」


ワザとらしく、イジってみた。


「うん

今までの 非礼を

詫びるよ」


コクッと、頭を下げる

カリュブカオス


「コレって マジっすか?

逆転満塁ホームランなの??

わかんないけど」


すごく気分は、最高潮。


「それは

下剋上ってことかな??」


なんとなく、伝わったみたい。

すごい、気をつかわして

悪いねーキミ。


「たぶん そんな感じ」


半笑いに、なっちゃった。


「水に 流してくれ」


すごい低姿勢で、来るねぇ。


「どーしよーかなー」


クチに、人差し指を

あてがう。

なんか、めっちゃイヤな女に

なってないか ワタシ


「平にご容赦を」


さらに、深く頭を下げる

カリュブカオス

なんだか、かわいそうになってきた。


「とりあえず

皇帝閣下に 会えば イイん

だよね??」


高圧的に、言ってみる。


「そうです」


頭を、下げたまま サッと

顔を、上げる カリュブカオス


「えらく 丸くなったね

邪竜くん」


頭を、なでてあげる。


「もったいない

お言葉」


けっこう、大声で言う

カリュブカオス


「いやあー

シビレるーッ」


なんか、身悶えるわ。


「ねぇ

おふざけは それくらいで

早く 行こうよ」


しびれをきらした アシュリーが

馬車のドアを、パタパタさせながら

言う。


「うむ

くれぐれも 今までの会話は

ご内密に」


念押ししてくる カリュブカオス


「あー

はいはい」


軽く、あしらう ワタシ


「くぅーーーーー」


あきらかに、我慢しているのが

顔色で、わかる カリュブカオス


「では 行こうか」


馬車に乗る ワタシ


「はい

参りましょう

聖女さま」


ワタシの左側に、アシュリーと

向かい側に、カリュブカオスが

乗り込む。


バタム


フワーッ


「わわわ」


ワタシの手を、握る アシュリー

よく、付いて行こうと

思ったな。


「ああ

ワタシに しっかり 掴まっていれば

大丈夫だよ」


アシュリーの肩に、左手を回し

彼女の顔を、ワタシの胸へ

沈める。


「ありがとうございます

聖女さま」


やっと、安心したみたい。

アシュリーの、震えは おさまった。


「・・・」


腕組みして、ワタシを見ないように

目を、閉じて うつむく

カリュブカオス


「カリュブカオスは

眠ったみたいね」


ワタシが、そう言うと


「たぶん

人間を 食べてないので

スリープモードに 入ったの

でしょう」


説明してくれる。


「えっ

起きないのかな??」


着いた時に、起きないとか

寝起きが悪くて、暴れるとか

勘弁だよ?


「浅いから すぐ起きるでしょう

それより もう キス

出来ないのかな??」


なにを、言うかと思ったら

キスが、したいようだ。


「出来るよ

安心して」


キスくらい、何万回でも

してあげるわ。


「よかった

じゃあ ここで」


えっ、マジか この子。


「今は ダメだよ

カリュブカオスが

いつ 起きるか

わからないのに」


さすがに、マズくない??

万が一、見られたらって思ったら

まだ、ちょっとコワい。


「えーっ

大丈夫だよ

聖女さまぁーん」


アシュリーが、顔を近付けてくる。


「うっ

ん」


こんな、状況で キスしちゃった。

顔が、赤くなっちゃう。

アシュリーも、頬を 赤らめている。


「ダメだって

起きちゃうよ」


クチでは、ダメだと言う。


「聖女さまが寝てる時

キスだけしたって

そう言ったけど」


なんだろ。

爆弾発言しそうな顔をしている

アシュリー


「えっ えっ

どうしたの??」


ドキドキする。

寝ている間だから、わからないよ。


「ちょっとだけ

胸を 揉んだの」


かわいらしいな。


「なんだ

それだけか

ホッ」


悪いことは、されてないみたいで

安心する。


「さぁ

どうでしょう??」


イタズラっ子みたいに笑う

アシュリー


「えっ

いきなり クイズ??」


「どう思う??」


フフフと笑っている。


「えっと

胸は 揉んだんだよね??」


「だって

うらやましいもん」


ワタシの、胸を つんつんしてくる。


「アハッ

でも アシュリーにも

ちゃんと あるじゃん

ホラ」


ギュッ


「あっ

でも もっと 大きいのが

イイなぁ」


「なんで」


「気持ちイイから」


「感度は 変わらないでしょ」


「アハハ」


ガタン


「おっ

もう着いたか」


「・・・」

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異世界に行ったら最凶の邪竜のエサとして 食べられるかと 思ったら なんだか 気が合って 一緒に暮らすことになったけど 偏屈なヤツだから イチからマトモなドラゴンに育てます(異世界彼女の成り上がり) なばば☆ @bananabanana1E

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