第2話 一目惚れ (2パート分)

(~パート06まで)

ーーパート05ーーーーーーーーーーーーー


「あっ

待ってて くれたんだ」


謁見の間を出ると、アシュリーが

壁に もたれて 待機してくれてる。


「別に ヒマだから

ここにいただけなんだからね」


かわいいヤツだなぁ。


「あー

そうなんだねー」


アシュリーの、頭を なでてやる。


「むぅ」


アシュリーは、不思議そうな顔を

している。


「とりあえず

食べられずに 済んだよ

ありがとね」


命の恩人に、礼を言う。


「よかったね」


ニッコリ笑う アシュリー


「明日は どうなるか わからないけど」


苦笑いしてしまう。


「とりあえず

部屋に 案内するわ

ついて来て」


「うん」


「ぁあれっ・・・

わわわ」


これから、部屋に入るってところで

急に、めまいがする。


「ちょっと どうしたの?

メリナ・・・ねぇ・・・」


「ん・・・

なんだ・・・」


気が 付いたら、ベッドに寝て

いるようだ。


「ぅうわっ

ビックリビックリ !!」


目の前に、顔。

アシュリーが、ものすごい

近くで、ワタシを見つめている。


「目が さめたの ??」


不安そうな顔。


「うん

ワタシ どうなったの??」


現状が、全く把握できてない。


「部屋に入る前に 倒れちゃって

おぼえてないの??」


「うーん

なんだろ

どれが 夢だったか・・・」


頭が、ぼんやりしている。


「キスしたら 目が さめるかなって

してみたの

そしたら 目を さましたから

安心した」


「えっ

キス?」


どうやら、寝ている間に キスされた

みたい。


「そう」


ニヤッとする アシュリー


「ほっぺたに??」


「ううん

クチに」


アシュリーは、自分の小指を

自身のクチに当てる。


「マジっすか」


「うん

よかった」


「よかったね

アハハ」


なんか、今日 喰われるなら

その時まで、キスしていたい。


「ずっと

起きるまで 見ていてくれたの??」


「うん」


「ありがとね」


なんか、うれしいな。


「うん

お腹減ってない??」


なんだか、急に やさしくなったな。


「うん

減ってるけど

食事って 食べれるの??」


アシュリーが、ベッドから

降りたので、上半身を起こす。


「欲しいなら

シェフに 作らせるよ」


昨日の、クッキーを 思い出す。


「あー

シェフも いるんだね」


「もちろん」


「それじゃあ おねがいします」


ペコッと、お辞儀する。


「はーい

この ローブ 貰ってイイかな??」


いつの間にか、ナイトウエアに

着替えさせられたようだ。


「うん イイよ」


「やったー」


バタム


「それ なにに・・・

って 行っちゃった

まぁ イイや」


なんか、畳まれたローブに 顔を うずめて

出て行った。


「はい

食事どうぞ」


しばらくすると、トレイに

食事を、満載して持って来る。


「うはぁ

いただきまーす」


豪華な食事を、片っ端から

クチに運ぶ。


「どう?

おいしい??」


「うん

めっちゃおいしい」


「そうだよね

おいしくない 料理を作ったら

喰われるもん」


笑いながら、とんでもないことを言う。


「うげぇ

マジっすか」


「うん

ホントに」


うなずく アシュリー


「なんだか

喰われる為に 喰ってるって

複雑だなぁ

うまいから 喰うけれども」


「食べ終わったら

一緒に 謁見の間へ 行きましょ」


「うん

もう どうにでもなれだ」


コンコン


食事を、終えて 着替えて

謁見の間へ、赴く。


「入れ」


ガチャリ


「はい

失礼します」


「カリュブカオス様

ご機嫌うるわしく」


貴族のように、スカートを上げてみる。


「ああ

お前は これから 喰われる・・・

気分を 聞こうか??」


「あなたみたいな

イケメンに 食べられるならと

覚悟を 決めました」


もう、観念した。


「なんか

違うんだよなー」


なにかしら、難しい顔をする

カリュブカオス


「と 言いますと??」


「普通は

キャーとか あるでしょ

それに イケメンとは

なんだ??」


「イケメンは

カッコイイって ことです

顔が」


無駄だと、わかっていても

ほめてみる。


「ふふん

そうであるか」


あれ、案外押せそう。


「すごく

理想的な顔ですね」


「ほう

顔だけか??」


「体も ムキムキで

かっこイイ」


「そうであろう !!」


あっ、好感触かも

ワタシでも、やればできる。


「はい

ただ 残念なのが」


ちょっと、攻めてみる。


「うん?

なんだ」


「あんなに 美味しい料理を

食べれるのに

なんで 人を 食べるのですか??」


「うむ

牛丼という 料理を

知っているか??」


「はい

知ってますよ」


唐突に、なにを言い出すんだ。


「以前 来たヤツが言っていたが

月に 1回は 食べたくなる

そうだな??」


「え

ワタシは しょっちゅう食べて

ましたが」


「そうなのか

まぁ お前らにとって

そのようなものだ」


「そうなんですか」


要するに、人間が 家畜なんだな。

そこは特に、感情は ないみたい。


「それで

その女に 牛丼という物を

作って 美味しかったら

喰うのを ゆるそうと言ったが」


「えっ」


チャンスじゃね?

それって。


「お店で 買うから 作れない

と言うので 喰ったわ」


「ヒッ」


突破出来なかったらしい。


「お前も 作れるなら

助けてやっても よいのだが」


「・・・

はい 作りましょう」


「うむ 楽しみに しておるぞ」


ーーパート06ーーーーーーーーーーーーー


「うっ

うまいっ」


どうせ、牛丼を知らない人なんだし

有り合わせの肉を、甘辛く

煮込んで、ワインとかも入れて

それっぽい味を作って出した。


「これなら 毎日でも

食べれるぞ」


すごい、興奮している。

おもしろいな。


「なんか

気に入ってくれて よかったわ」


「うむ

とりあえず お前を喰うのは

保留じゃ」


めっちゃ機嫌が、よくなって

よかったよ。


「とりあえず

ね・・・」


とりあえずでも、助かってよかった。


「お前 名前を

聞いてなかったな」


いきなり、名前を聞いてくる。


「いえ

言いましたよ」


「そうだったか

なんだったっけ??」


なぜか、バツの悪そうな感じに

なる カリュブカオス


「メリナです」


ハッキリと答える。


「それなら

メリーナスと 名乗るように」


間髪いれず、改名しようとする。


「えっ

なんで??」


ビックリだよ、そんなの。


「不服か??」


ちょっと、不穏な空気を出す

カリュブカオス


「いえ

すばらしい名前

ありがとうございます」


さすがに、察した。


「そうであろう

気に入ったなら よかった」


なんだか、うれしそう。


「はぁ」


ため息が出る。


「もう 一つ」


人差し指を 立てる カリュブカオス


「まだ なにか??」


「メリーナス

お前のことが 気に入った」


カリュブカオスに、見初められた

らしい。


「えっ

ちょろい」


つい、本音が クチを突いて出る。


「ん?

なにか言ったかな??」


ヤバい。

なんとか、誤魔化さないと。


「いえ

チョー 気持ちイイって

つまり 最高な気分ってことを

言いたかったんです」


口八丁で、適当に言ってみる。


「そこまで 好いてくれて

いるとは・・・」


腕組みして、ウンウンうなずいている。


「うん

だって 顔は 大好きですよ

顔は」


ホント、推しに似すぎている。


「そんなに 強調せずとも

よかろうが」


少し、紅潮する カリュブカオス


「あっ

はい すいません」


サッと、謝る。


「フッ

まぁよい

人間で言うところの

めおとの儀式は 必要ないのだ」


なんか、サラッと言っている

カリュブカオス


「夫婦ね

えっ ちょっと ついて

いけないって いきなり」


耳を疑う。


「前にも

拒否したヤツが

いたっけな」


首をかしげて、アゴを さわっている。


「なんだ

拒否できるんだ・・・

って もしかして」


一瞬、イイなと思ったが

イヤな予感がする。


「そりゃあ

もちろん 胃袋の中で

一緒になったよ」


「ヒッ」


やっぱり、そうなんだね。


「そっちでも

よければ」


「ちょっと

しばらく 考えさせて」


時間を おくように言う。


「おう

イイぞ

じっくりと 考えろ」


ニコニコしている。

逆に、不気味。


「それじゃあ

失礼します」


そそくさと、謁見の間を出る。


バタム


「よかったね

メリーナス」


また、アシュリーが 待っていて

くれている。


「うん

聞いた通りよ

絞首台に登ったけど

一時的に 助かったみたい」


多少、ホッとしたわ。


「よかった」


うれしそうな、アシュリー


「ありがとう」


ギュッと、抱き合う。


「なんだか

不思議」


なぜ、助かったのか

理解できない アシュリー


「うん

ワタシの好きな人に

たまたま 邪竜様が 似てて」


「そうなんだ

推しなんだね」


「うん

推しに似てるから・・・

なんか 推しとか わかるんだね」


普通に、友達と話しているよう。


「推しって

ファンってことでしょ??」


ニッコリしながら、答える

アシュリー


「うん

カリュブカオス様は

ピンと来て なかったみたい

だけど」


「まぁ そうでしょうね」


苦笑いする アシュリー


「えっ

まさか」


なにか、違和感を感じる。


「久しぶりに

牛丼っぽいものを

食べれて うれしかったわ」


笑う アシュリー


「あっ

食べてくれたんだね」


けっこう、多めに作った。

自分で食べる為に。


「うん」


「味は どうだったかな??」


「味付けは 牛丼だったよ

肉は この世界の肉って感じ」


そう聞いて、ホッとする。

カリュブカオスに、違うと告げ口を

されていたら、終わっていた。


「だよね

たぶん 血抜きが

しっかりされてないんだよ」


それに、氷で冷やす冷蔵庫っぽいの

しかないし。


「だよね

おいしい牛タンが

食べたい」


ほっぺに手を当てる アシュリー


「牛タンかぁ

イイなぁ~」


考えただけで、唾液が出てくるわね。


「ねー

食べたいよね」

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