衷心(ちゅうしん)

 美しいお月さま。

 まぶしいくらいに光り輝いて、

 月から使者が迎えに来るのね。

 わたしの罪は許された、らいしわ。


 永遠に美しいままでいられるという場所へ行ってみたいわ。

 わたしは あるべき場所へかえりたい。

 地上で暮らしてはいけない身なのだから。

 だけど、このまま地上であの人と暮らしたいとも、思ってしまうのよ。

 あの人は、それを望んでいるのよ。



 月では、

 忘れ去られているのではないでしょうか。

 あやまちを犯した わたしのことなど、心に留める者もいないでしょう。

 畏れ多いあの方が いなくなったとしても。

 わたしを罰した 厳格なあの場所がなくなるわけではないから。

 わたしの犯したあやまちの 噂が消えているとよいのですけれど。



 わたしは このまま

 あなたに 忘れ去られてしまうのでしょうか。

 地上から遠く離れてしまうから。簡単には会えないわね。

 あなたの立場では 思い通りにいかないこともあるでしょう。

 せめて、ずっと地上にいてくれたら。

 地上での命は短いから、もう一度会えるかもしれない、その時まで。待っていてくれたら、と思って。不死の薬をあなたに渡したのよ。








 だから、生きていて欲しかった。










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幾望 結音(Yuine) @midsummer-violet

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