エピローグ

「帰るか……」


 私は今日部活を引退したから、夕方の屋上に来ることはもうない。


 立ち上がった私は、闇に包まれつつある景色を目に焼き付ける。


「そうだ、君との物語は、何度も書き直したけれどそろそろ完結しそうだよ」


 春休みから半年間、自己満足で書き直し続けて来た彼との物語。そろそろ一区切りさせても良いかもしれない。


 進む道はまだぼやっとしているけれど、小説を書くというのも良いかもしれない。

 高校では文芸部に入ってみようか。


 後悔のないように生きる。


 なら、やりたいことを片っ端からやっていくべきだと思った。


「さよなら、優月くん」


 夕方、屋上で出会った君と、あの日と同じような夕陽の下でさよならをする。


 今は上手く、笑えている気がした。

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【旧版】最後まで生きた君に、笑顔でさよならを 夜桜月乃 @tkn_yzkr

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