イリスの薔薇庭園

荒屋 猫音

第1話

イリスの薔薇庭園


イリス ♀️年齢不詳の魔女、庭園の薔薇を使いあらゆる薬を作る

シフォン 庭園の妖精 イリスの使い魔 (性別不問)

ルーク ♂︎ 庭園の前で死にかけていた子供(性別不問)

若い盗賊 後半少し出てきます (性別不問) 出来ればシフォンが兼役


当台本は声劇用フリー台本です

一人称の変更、語尾、世界観を変えない程度のセリフ改変○

キャラクターの性別、演者の性別は問いません

台本を書く都合上設定しているだけです


びっくりするくらいポンポン話が進みます

経緯とかかなり端折ってます

細かい年齢設定や経過時間を記載していないので、演者様の采配で調整してください


______


イリス「……」


シフォン「あららぁ…」


イリス「人、だよな」


シフォン「人、ですね」


イリス「(頭を掻きながら)………はぁ」


シフォン「ママ?」


イリス「こんな所に転がしとくわけにも行かない、家に連れて行くよ」


シフォン「はい」


__家の中__


ルーク「(手当されてぐっすり眠っている)」


イリス「さて……人の子がどうやってここに辿り着いたんだ?」


シフォン「さぁ?さ迷って入り込む以外には考えられません…」


イリス「だよなぁ…」


シフォン「…この子、どうしますか?」


イリス「どうするって…しばらく面倒見るしかないだろう。怪我も酷いし…放っておいてもどこぞで野垂れ死ぬだけだよ…」


イリス「見つけてしまった手前、それは心苦しい。」


シフォン「ママは優しいですね」


イリス「優しいもんか…面倒なだけだよ」


シフォン「でも、この子、お世話するんですよね?」


イリス「……少しの間だけだ」


シフォン「やっぱり優しいです…!」


__


ルーク「……ん」


ルーク「…どこ、ここ……」


イリス「おや、目が覚めたかい?」


ルーク「ひっ……!」


イリス「命の恩人を目の前に、そんな声を出さないで欲しいね」


ルーク「…」


イリス「私はイリス。薔薇庭園の魔女と呼ばれている。君、名前は?」


ルーク「なまえ…?じゅういちばん…?」


イリス「11番?なんだい、お前さんは奴隷商の持ち物かい」


ルーク「……」


イリス「…まぁいい、しばらく休みなさい。まだ傷が癒えていない」


ルーク「…あの」


イリス「なんだい?」


ルーク「ここには、いじわるするひと、いない?」


イリス「…」


ルーク「いじわるするひとがたくさんいて、こわくて、そとにでられるひに、にげてきた…」


ルーク「あそこにはもどりたくない…!」


イリス「…」


_外に出ていたシフォンが帰ってくる


シフォン「ママ、今日の薔薇はなんだか元気がないよ?…あっ!」


ルーク「……ひっ!おばけ!!」


イリス「おばけ……って、お前、シフォンが見えるのかい?」


シフォン「ママ以外の人でも見えるんだ!嬉しい!!」


ルーク「……おばけじゃ、ないの…?」


シフォン「シフォンはシフォンだよ!」


ルーク「しふぉん?」


シフォン「うん!」


イリス「驚いた…お前、魔力持ちかい」


ルーク「まりょく?ひをだしたり、みずをだしたり、するやつ?」


イリス「魔力を持って産まれた人間は、しかるべき機関に預けられ学習し、各地に派遣されるはず…」


シフォン「ママ、この子…」


イリス「あぁ、最近奴隷商の羽振りがやけにいいのは、魔力持ちの子供を攫ってきて売り払っているからだね…」


イリス「……お前さん」


ルーク「……?」


____



イリス「ルーク!また水を出しっぱなしにして!何度目だい!!」


ルーク「ご…ごめんなさいぃ!」


イリス「(ルークと名付けた子供は、しばらく私が保護する事にした…)」


イリス「(奴隷商に戻る気はさらさら無いようだったし、かと言って街に置いてきたとしても何が出来る訳でもない…せめて生活に困らない程度の知識がつくまでは、面倒だが世話をすることにした…)」


イリス「(だが………!)」


イリス「…はぁ…もういい、ルーク、そろそろ朝ごはんの支度ができる。テーブルセットをしておくれ」


ルーク「…う、うん」


_そう言われて食器をセットするルーク、しかし、スプーンとフォークを手に取り困惑する


ルーク「イリス、これ、どうやって使うんだっけ…?」


イリス「なっ……」


イリス「(…奴隷商の阿呆共め、今度死なない程度の毒送り付けてやる…)」


シフォン「ママ、朝ごはんの準備が出来ました!」


イリス「……シフォン」


シフォン「なぁに?」


イリス「ルークにスプーンとフォークの使い方、教えてやって……」


シフォン「……?この前も教えてなかった?」


イリス「1回で覚えてたら、毎度水の出しっぱなしなんて、しないはずさね…」


シフォン「あぁ……わかった!」


ルーク「…ごめんなさい」


イリス「なんで謝るんだい?」


ルーク「イリスを困らせたから…」


イリス「少しづつ覚えればいい」


ルーク「……うん」


____


ルーク「赤い薔薇と白い薔薇と……」


イリス「陽の光をたっぷり浴びた水」


ルーク「青い薔薇は……」


イリス「月の光を帯びた水」


ルーク「……難しいよぉ……」


イリス「いっぺんに覚えようとするから混乱するんだよ、どうして1つづつ覚えようとしないんだい?」


イリス「それに、お前さん薔薇水を作りたいだなんてどうして……」


シフォン「(小声で)この前うっかり水と間違えて薔薇水を飲んでしまったからでは?」


イリス「……」


シフォン「お前、あれを飲んで何ともなかったのかい…?」


ルーク「……美味しくなかった…」


イリス「そりゃそうだろうさ…あれは病人用だ…」


ルーク「…ごめんなさい」


イリス「(遮って)謝るな」


ルーク「…っ」


イリス「ここは奴隷商じゃない。失敗したからってすぐに謝る必要はない」


シフォン「そうですよルーク、シフォンはママにほとんど謝ったことがありません」


イリス「シフォンはもう少し反省してくれ…」


シフォン「…?」



____後日、薬を作るイリスを見つめるルーク


イリス「若い椿の花を混ぜるんだよ、少しづつ、ゆっくり」


ルーク「……薔薇しかないんだと思ってた」


イリス「薬を作るのに薔薇だけでは効果が薄くてね、少しだけど違う花もあるよ。」


シフォン「薔薇と薔薇以外のお花のお世話は、全部シフォンがやってます!」


ルーク「僕も、お花のお世話手伝えるようになりたいな。」


イリス「私の薬を作る手伝いが出来れば十分だよ。これでも私の薬は人気なんだ。1つでも多く作れるならそれに超したことはない」


ルーク「…」


イリス「……まぁ、そのうちな」


ルーク「……!うん!!」


____その後しばらく経った朝


イリス「ルーク」


ルーク「なに?」


イリス「街に行ってくる。薬を売りに行くから数日帰らないけれど、留守番できるかい?」


ルーク「……だいじょうぶ」


シフォン「シフォンも一緒にお留守番です!」


ルーク「…一緒に行ったら、ダメ?」


イリス「ダメってことは無いけど、あの馬鹿どもがお前を探していたら面倒だ」


ルーク「あ……」


イリス「心配ない、2.3日で帰るよ」


ルーク「……わかった、行ってらっしゃい」


シフォン「行ってらっしゃい!ママ!」


イリス「はいよ、留守番頼んだよ」



_少しの間を開けて_



ルーク「シフォンは、妖精なんだよね?」


シフォン「そうです!ママの育てた薔薇から産まれた薔薇の妖精です!」


ルーク「なんでふつうの人間には見えないの?」


シフォン「うーん……魔力があるママが育てた薔薇から生まれたから……?」


シフォン「ママの欠片から生まれたから……?」


ルーク「…?」


シフォン「…シフォンにもどうして普通の人間に姿が見えないのか、よく分からないです。」


シフォン「でも、シフォンが見える人間は、ルークが初めてです!ママ以外の人に見られて、嬉しいです!」


シフォン「ママと街に行っても、シフォンを見て驚く人間はいなかったので、多分そう言う事だと思います」


ルーク「…魔力があるから見える?」


シフォン「きっとそうです!」


ルーク「…そっか、僕もシフォンが見えて嬉しい」


シフォン「えへへ!」


ルーク「イリス、早く帰ってくるといいね…」


シフォン「いつもすぐに帰ってきます!大丈夫ですよ!」



_



イリス「……おかしい」


イリス「身体が重い…」


イリス「息が切れる…」


イリス「まさか、もう…」


イリス「そろそろ、眠らなければ、ならないのか……」



_



シフォン「ママ、遅いですね……」


ルーク「…うん」


シフォン「きっと明日には帰ってきますよ…」


ルーク「そうだね……」


シフォン「さ、もう寝ましょう」


ルーク「…もう少し、待ってる」


シフォン「……なら、シフォンも一緒に待ってます」


ルーク「…へへっ」


シフォン「……!?」


ルーク「シフォン?」


シフォン「庭園に誰かいる…」


ルーク「え!?」


シフォン「……どうしよう」


ルーク「…僕が見てくる…シフォンはイリスを探して呼んできて…!」


シフォン「え、ルーク!?」


_キッチンのホウキを手に、ルークが庭園に向かう


盗賊「ここが噂の薔薇庭園か……この薔薇を盗んで高く売りつければ…」


ルーク「おい、おまえ!!」


盗賊「あん?…なんだ、ガキか」


ルーク「こ...........ここから出ていけ!!」


盗賊「なんだぁ?怪我したくなかったらさっさと失せなガキ!」


ルーク「い、いやだ!ここはイリスとシフォンの庭園だ!」


盗賊「イリス?あの噂の魔女か。あいつの作る薬は高値で売れるんだよ!原料の薔薇があれば俺でも作れるだろ!」


ルーク「薬はイリスしか作れない!わかったら、さっさと出てけ!」


盗賊「ちっ、生意気なガキが…痛い目みないとわかんねぇか!?」


ルーク「…ひっっ」


イリス「何をやっているんだい?私の可愛い弟子にケガさせたらタダじゃ置かないよ?」


ルーク「……イリス!」


盗賊「…出やがったな、魔女」


イリス「シフォンが血相変えて呼びに来るから何事かと思ったら……どうやってここに来たんだ?」


盗賊「お前が街に出来た日に後を追ったのさ…散々探し回ってやっと見つけたと思ったら、まさかガキがいるとは思わなかったよ」


イリス「私を追ってきた?バカをお言いでないよ?あれはシフォンが目眩しに見せていた幻だよ」


イリス「でも、そうかい……ここを知られたからには、ただで返す訳には行かないね」


ルーク「イリス!?」


イリス「大丈夫だよ、殺しゃしないさ」


盗賊「てめぇ!」


_勢いよく殴りかかってくる盗賊をひらりとかわす


イリス「……最近の若者は、こんなババアに拳ひとつ当てられないのかい」


盗賊「…なんだと!?」


イリス「阿呆は奴隷商の奴らだけで十分だ」


_冷ややかな目をしながら、イリスは盗賊の腕を捻りあげる


盗賊「い、いででででで!!」


ルーク「……すごい…」


イリス「ルーク!」


ルーク「はっはい!」


イリス「すまないね、私の部屋にある黒い瓶を持ってきておくれ」


ルーク「黒....わかった!」


盗賊「てめぇ、何する気ぃでででで!」


イリス「お黙り小僧。ここに来たことは忘れてもらう。」


盗賊「なんだと!?」


ルーク「はぁ、はぁ…!イリス!」


イリス「ありがとさん、危ないから部屋に戻ってな」


ルーク「う……うん」


_早足で家に戻るルーク


イリス「さて、覚悟はいいかい?」


盗賊「…畜生」


_盗賊退場


イリス「…ふぅ」


イリス「疲れた」


ルーク「イリス、ケガしてない……?」


イリス「大丈夫だよ、それよりシフォンは?」


ルーク「さっきのやつが薔薇を荒らしてないか見に行った…」


イリス「そうかい」


ルーク「…」


イリス「…ルーク、明日から、薬の作り方、教えてやるよ」


ルーク「……ほんと?」


イリス「あぁ。ただし、薔薇の薬に失敗は許されない。しっかり覚えな」


ルーク「…うん!」


_庭園からイリスを見るシフォン


シフォン「……ママ?」


_



イリス「薔薇は扱いが難しい、焦らず、丁寧に」


ルーク「う...うん」


イリス「色が出てきたら静かに濾す、綺麗に混ざると鮮やかな赤色になる……そう、ゆっくり」


ルーク「……(手を震わせながら言われた作業をこなす)」


イリス「…よし、いいだろう。これが全身に使える薔薇油。いちばん簡単に作れるものでに人気がある」


ルーク「簡単じゃないよ……怖い…」


イリス「薬の作り方を教えてと言ったのはお前さんだろう?」


ルーク「……はい」


イリス「何もいきなりひとりで作らせやしないよ、安心しな」


ルーク「うん」


イリス「…」


ルーク「…イリス?」


_イリスは自身の右手を見る、そして、確かめるように強く握る


イリス「……もう少し」


ルーク「…イリス、どうしたの?」


イリス「……なんでもないよ、さぁ、もう1つ作ろう」


_その日の夜


シフォン「…ママ」


イリス「……」


シフォン「ママ……もうすぐお別れですか…?」


イリス「さすが、私の薔薇…そうだね、もう少し。でも、今じゃない」


シフォン「……ルーク、きっと泣いてしまいます」


イリス「大丈夫…まだ大丈夫だよ。」


イリス「私が眠るまで、ルークには独り立ち出来るようになってもらわないとね…」


_数日後


ルーク「…シフォン、イリスが怖い。」


シフォン「…?」


ルーク「なんだか、いつもと違う匂いがする」


シフォン「匂い……?」


ルーク「うん、いつもは薔薇の匂いがするのに、最近のイリスの匂いはなんだかお酒の匂いがする」


シフォン「…」


イリス「なんでか、知ってる?」


シフォン「ママは…」


イリス「シフォン?言わなくていい」


シフォン「……ママ…」


ルーク「……今の、聞いてた?」


イリス「勝手に私を大酒飲みにしないで欲しね……ちゃんと理由があるんだよ」


ルーク「…理由?」


イリス「私は、人間じゃない。」


ルーク「……知ってる」


イリス「けれど、魔族の類でもない」


ルーク「…うん」


イリス「私はね、どこかの魔法使いが気まぐれにかけた魔法で生まれた薔薇の化身なんだよ」


イリス「シフォンは、その魔法の欠片を使ってママが作った妖精…まぁ、副産物ってやつだね」


ルーク「…」


イリス「いいかい、ルーク。私はあと何年かしたら長い眠りにつく…」


ルーク「……」


イリス「いつ起きるかは、私にも、シフォンにもわからない」


イリス「だから、お前には、私が眠るまでの間で、1人でも生きて行けるだけの知識と技術を身につけて欲しい。」


イリス「ここの薔薇じゃなくても、この間教えた薔薇油は作れる。それがあれば金は稼げる。」


イリス「だから、ルーク。私が眠ったら、お前はここを出ていくんだよ…」


__数年後


ルーク「薔薇油、全部売れたよ」


ルーク「僕の作った薔薇油、結構人気なんだ」


ルーク「アンタがしつこく教えてくれたから、目を瞑ってても作れる」


イリス「なら、今ここでその大道芸をやってもらおうかね」


ルーク「大道芸って言うなよ…」


イリス「あっはっは」


イリス「ルーク、お前、歳はいくつになった…」


ルーク「…20?」


イリス「随分大きくなった…私の身長だって軽々越して…」


ルーク「あんたが老けただけだ。あれからずっと酒の匂いがしてて酔いそう」


イリス「はっ、相変わらず口の減らないガキだ……」


ルーク「…眠るのか」


イリス「あぁ。お前さんの覚えが悪いからなかなか眠れなくて困ったよ。」


ルーク「…ここを出ても、俺には行く場所がない…」


イリス「バカをお言いでないよ、あんたは人間なんだ、ここに囚われちゃいけない」


ルーク「……」


イリス「さっさと街に行って、美人な女引っ掛けて、所帯持って幸せになりな」


イリス「手に職与えてやったんだ、なんとでもなるだろう」


ルーク「……あんた以上の美人、見た事ないよ…」


イリス「……ガキ」


ルーク「それに、この庭園の薔薇の世話は誰がするんだ?」


イリス「シフォンがいる……」


イリス「あの子1人でも、大丈夫だよ…」


シフォン「……任せてください、ママ。ずっと一緒にお世話してきたから、大丈夫」


ルーク「…また誰かがここの薔薇を狙って来るかもしれない」


イリス「……それは困るねぇ」


ルーク「シフォンは普通の人間には見えない……」


イリス「そうだねぇ…」


ルーク「だから……!」


イリス「ルーク、お前は人間だ。」


イリス「ここに囚われちゃいけない。」


ルーク「…」


イリス「それに、私は少し眠るだけだよ…」


ルーク「いつ起きるんだ…」


イリス「…さぁ?10年後か、50年後か、100年後か…」


ルーク「…待つよ」


イリス「……お前…」


ルーク「アンタが起きるまで、ここの薔薇を育てながら気長に待つ。幸い?魔女様仕込みの薔薇の薬は俺でも作れるし?やる事は多いし?暇してる方が難しいし?」


ルーク「……だから、待ってるよ」


イリス「何を言っても無駄そうだね。」


イリス「シフォン」


シフォン「はぃ、ママ」


イリス「このバカを頼むよ。」


シフォン「任せてください!」


イリス「ルーク…私が起きる前に死んじまっても、泣いてやらないからな…」


イリス「…さて、それじゃあ、おやすみ、2人とも…」


____


イリス「……ん…ふぁぁあああああ、よく寝た」


イリス「あれから何年経ったのかねぇ」


イリス「よく寝た……」


シフォン「……ママ!!」


イリス「おはようシフォン」


イリス「シフォン、私が寝てから何年経った?」


シフォン「……100年」


イリス「100年……それじゃあ、あの子はもう…」


シフォン「ルークは、あれからママから教えてもらった薬を沢山作って、お金を稼いでた。」


イリス「そうかい」


シフォン「街でも人気で、女の人から沢山お手紙や贈り物を貰ってた」


イリス「……あのガキンチョがねぇ」


シフォン「でも、誰ともお付き合いしなかった」


イリス「……馬鹿な子だ、本当に…」


イリス「あの子は……もう……」


_勢いよく扉が開く


ルーク「ただいまぁシフォン!イリス起きた?」


イリス「……」


イリス「……?」


イリス「……!?」


ルーク「お、やっぱり起きてた!薔薇の匂いがしたから、すぐに分かったよ!」


イリス「ルーク!?お前、なんでまだ生きて……その姿……どういうことだい!!」


ルーク「……さぁ?あの時、イリスが眠った後、シフォンにイリスの薔薇を教えてもらったんだ」


ルーク「んで、不思議と薔薇にはイリスの匂いがまだ強く残ってたから、何となく花弁(はなびら)を食べてみたら、年取らなくなって……」


ルーク「街に出て世帯持つ訳にも行かなくなって、結局ここで待ってた!」


イリス「……お前は、本当に…」


ルーク「だからさ、また教えてよ。イリスの薬、薔薇の薬の作り方」


イリス「……馬鹿弟子め、今度は優しく教えてやらんぞ」


ルーク「おう!かかってこい!」


シフォン「ふふっ!ママ嬉しそう!」


ルーク「……ほんとだ、甘い匂いになった!」


イリス「……!!」


ルーク「(寂しさはあったけれど、それでも、イリスのおかげで、暇ではなかった。シフォンもいて賑やかだった。でも、これからは……)」


イリス「ルーク!朝飯ぐらいは作れるようになったんだろう?まずは食事だ!」


ルーク「はいはい!ただいま!」


ルーク「(これからは、ずっとこのイリスの薔薇庭園で、みんなと暮らしていける……ずっと……)」




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