番外編

番外編① 脇役、やられ役モビルスーツ:(機動戦士ガンダム)

 ここからはちょっと趣向を変えて、私が思いついた変りダネを書いていこうかと思います。

 あ、相変わらずリクエストも受け付けますんで、よろしければそちらもお寄せください。


 今回は有名ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」の世界観を支えた、敵役、脇役、やられ役の戦闘ロボットであるモビルスーツ達を、私なりのイメージを重ねて紹介したいと思います。


・ザク(ザクⅡ)

 まずガンダムといえばこれでしょう。今までの巨大ロボットアニメとは全く違ったコンセプトで描かれた画期的な敵役、やられ役ロボット。ガンダム人気を大きく支えた功績のある敵兵器であります。


 まずあの顔にある「モノアイ」が凄い! っていうか怖い! 

 あれが画面の正面を向いた時、明らかに「コッチを見てる」という印象を鮮烈に叩き付けられて、私みたいにゾッとした人も多いのではないでしょうか。

 街中にクマが現れて、隠れていたらクマがギョロリとこっちを見たらあんな怖さを覚えるんでしょうね。


 もう一つ素晴らしいのが、あくまで『兵士』としてのコンセプトを持っている事。旧ドイツ兵のような鉄帽ヘルメットで頭を覆い、いかにも兵士のようなマシンガンやバズーカ、戦斧を構え、木や森に溶け込むグリーンの迷彩カラーリングはまさに戦争に赴く兵士達、侵略して来た敵の軍隊のイメージを強烈に与えてくれました。


 普通は主人公側が人間的なロボで、敵役ロボは異形の怪物という昭和アニメの常識を真っ向から覆した、まさにガンダムの象徴たるモビルスーツといっていいでしょう。


・グフ

 こちらは一転して、異形の鬼のような怖さとカッコよさを持つ機体として、ファンの心を鷲掴みにした強敵でありました。

 ザクの発展形でありながら、その肩から伸びる角のようなトゲ、モノアイバイザーの上部にある「ひさし」のせいで、モノアイが睨んでいるかのようなツリ目に見えているその威圧感。

 そしてムチ(ヒートロッド)や指バルカン、大型の盾に両手剣など、どこかファンタジーの人外戦士を思わせる見た目にブルーのカラーリングがバッチリフィットした、『ワルのカッコよさ』を体現した見姿といえるでしょう。



・ドム

 グフが鬼なら、こちらは『仏様』といっていいような容姿と戦い方を持つ強敵でした。

 ずんぐりむっくりした体形に、太くてあまり回らなさそうな首。そして体を、足を動かさずにホバリングでぐんぐん迫ってくるその姿は、まさに大仏様が超常の力を使って戦うような威圧感を感じさせられます。

 カラーが紫なのもどこか仏門を想像させますし、腰にはフラッシュライトがまるで後光の代わりのように備え付けられているのもポイントでしょう。

 ジャイアントバズーカやヒートロッドを構えるその姿も実に堂々としていて、まさに相手に天罰を与えるような力強さと問答無用さを感じさせました。

 ……ただ、宇宙に行くとからっきしでしたが(笑


・ジム

 お次は連邦軍側の量産機であるジムです。

 この機体にはある「縛り」があることが一番の特徴でした。それはガンダムの下位互換機として、ガンダムより弱くそしてカッコ悪くという結構悲惨な立ち位置に立たされているという事でしょう。

 ファーストガンダムの「やられ役」筆頭は敵であるザクでしたが、その後に描かれた1年戦争の他作品では間違いなくナンバーワンのやられ役メカでしたでしょうね。


 が、実は性能自体はそんなに悪くないんですよね。ちゃんとビーム兵器もあるし、マシンガンやサーベルだって使いこなす指の器用さもある。出力もジオンのモビルスーツに負けず劣らずの高性能で、ちゃんとした完成度とパイロットの手にかかれば、それなりの成果は上げられたはずなんですよねぇ。

 ただ、ザクに対して連邦軍が慌てて作り過ぎたためにいろいろ欠陥が出たり、そもそもモビルスーツの操縦に不慣れな連邦兵にいきなり扱わせたりしたせいで、各所で屍をさらすことになりました、哀れ。


 あ、あと、連邦軍のモビルスーツ量産作戦「V作戦」のコンセプトが悪い方向に出たのも、ジムがやられ役となった原因の一端ではあるでしょう。

 元々無敵のモビルスーツ、ガンダムを作り上げ、それで対ザクの実践データを集めて量産機(ジム)にフィードバックする予定だったんですが……


 初期のアムロって敵に対して足を止めて「うわああああああ!」って叫びながら頭バルカンやライフルやバズーカを外しまくった挙句、シャアザクとかに懐に入られて殴る蹴る撃たれるなどして苦戦している(ガンダムの装甲の厚さに助けられている)シーンけっこうありましたよね。

 そしてガンダムの後作品のジムって、大抵は足を止めて銃を撃ちまくってるだけで、高速移動するハイゴックや高機動型ザクに蹂躙されてましたけど……


 これ、アムロのせいじゃないんか? もうちょい後の戦闘データをジムに移植すりゃ良かったかも(笑)



・ボール

 出ました丸い棺桶。とにかく見るからに装甲が紙じゃないですか……コレに乗ってビームや砲弾飛び交う戦場にテイクオフする兵士たちの心境やいかなるもんだったでしょう。

 元々作業用ポッドを改造して大砲を頭に付けただけの機械って……現在で言うならユンボ(パワーショベル)やブルドーザーに大砲つけて戦車とやり合うようなもんですよね、そら勝てんわ。


 あと、プラモ作ってて気づいたけど、噴射口が全部下向いてんだよねコレ。背中の大型ジェット二機と、下のサブ噴射口があるだけで……


 基 本 上 昇 し か 出 来 な い 機 体 ってどんだけやねん!


 せっかく丸い(宇宙には上下左右は無い)んだから、せめて全方位への自由な機動くらい確保してあげて……


・ゴッグ、ズゴック、ゾック、アッガイ

 続いてジオンの水陸両用モビルスーツ、通称ジオン水泳部の登場です。

 ここらへんになると流石にザクのような人型を意識したものではなく、いかにも敵役然とした異形を持つロボットとしてデザインされていました。

 ゴッグはいかにもケダモノな、まるでゴリラやオランウータンのような強靭な肉体と長い腕の剛力を持つ、人間型のガンダムに比べて「生物としては格上」なイメージでした。「流石ゴッグだなんともないぜ」は名台詞。

 ズゴックとゾックは生き物と言うより、まるで未来の建造物に足が生えているような印象でしたね、昭和の時代の「未来予想図」にあるビルなんかをモチーフにしたようなイメージがありました、個人的に。

 「可愛い」と評されるアッガイ。あの体育座りのシーンが主な原因でしたが、丸い体に短く太い手足(伸びるけど)は、どこか熊の赤ちゃんのイメージがありましたねぇ。確かに可愛いけど物騒な事に変わりはない……

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


・ギャン

 ……名前からしてもうね(笑)

 いや、カッコイイのは確かなんですよ。兵士のザクに対して騎士のイメージは決して悪くないし、ちゃんとビーム兵器も備えている。

 ただまぁ盾が盾の役目を果たして無い(大量に機雷を詰め込んでいるので、火器を食らったら本体ごと大爆発)し、残る武器がサーベルだけってなんかもう今更って感じですよね。戦場じゃ反則火力のモビルアーマーが戦艦すら落としまくっているのに、今更こんなカッコだけの機体作ってどーすんのって感じで。


 ま、まぁマ・クベさんにはピッタリの機体だったからそれでよしとしましょう。


・ゲルググ

 ついにガンダムの性能に追いついた機体として、鳴り物入りで実践投入されたジオンの最新型モビルスーツ。

 ……惜しむらくはここまでで腕に覚えのあるパイロットたちがほとんど戦死していて、初心者や学徒兵なんかが乗り込む羽目になっちゃっていたせいで、ほとんど活躍の場を得られないまま戦争終結を迎えちゃったという不遇な機体。


 ソロモンでアムロとシャア、そしてララァと戦っている時に、彼女に言われた言葉がこの機体の不遇さを顕著に表している気が……

「大佐、どいてください、邪魔です!」


・ヅダ

 ファーストガンダムじゃない(MS IGLOO)機体なんですが、私の好きなモビルスーツなんでついでに紹介。

 元々は非常に高性能高機動で、ザクとのコンペで圧倒してジオン量産機に採用されるはずだった機体。

 でも制御が効かずに爆発する、機体の値段が高い、ジオンとザクのメーカーの癒着がある、などの様々な憶測からコンペに負け、後のプロバガンダに使われるまで凍結されていたモビルスーツ。


 事実、最初の戦争であるルウム戦役では、大量のザクの活躍により勝利を得た事からもこの選択は正解だったのかもしれない(ヅダほどの高性能は必要なかった、との点で)。

 が、後のアムロが乗るガンダムに対して、ザクが全く歯が立たなかった事を考えると、もしこのヅダのほうが採用されていたらガンダムに勝てたかもしれず、一年戦争の結果はまた違った物になっていたかもしれないという、運命の歯車の交錯を感じさせるエピソードを持つ機体なのですよ。


 あと、私としてはこの機体のデザイン好きなんですよ。「速さ」をウリにしているヅダの肩や腰は、明らかにバイクかゴーカートなんかの2サイクルエンジンを意識した放熱板みたいな見姿になっていて、それが背中のでっかい土星エンジンとよくマッチしてるんです。

「さあ、飛ばすぞ!」な空気を醸し出してる、魅力的な機体でした……飛ばしたらあかんヤツやけど(苦笑)。



 国民的人気ロボットアニメのガンダム。貴方のお気に入りモビルスーツは何ですか?

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