思うがままの場所で、思うがまま思ってごらん

異世界ファンタジーに見せた現代ドラマ。
どんでん返しが面白い。
異世界転生ものと思わせて、実は現実だったという描き方が良かった。

悪魔が「ドーン!」と突き飛ばすのは、漫画的な表現を思わせる。
また、屋上へ行った際にも同じく「ドーン!」と悪魔の声がしている。
主人公の声に似ていたとあり、悪魔とは主人公の中にいるもう一人の主人公。
現実から逃げてばかりいる主人公を叱り飛ばす良心、インナーチャイルドかもしれない。

いじめの場面で、先生が謝罪の場を設けた際、「先生の手の僕の肩を掴む強さで、僕を見る目で、悟った。この人は、僕の味方だと言って、優しい言葉を投げてきたけれど、絶対に謝罪を受け入れさせる気なんだと。僕がヤツらを許さないのは絶対に認めないのだと」と書かれているところが生々しい。
現実味を感じてしまう。

自分と同じようにファンタジーから生きる希望を得る誰かにも同じ体験、思いを届けたいと小説を書く動機づけになっていく展開がすごくいい。