第3話. 俺にも趣味はある!!
―さて、ここで少し自分語りをしよう。
俺は今まで、何の変哲もない男子として生きてきたが、ちゃんと趣味もある。
それは写真撮影だ。
小学六年生の時に祖父からもらったCanonの一眼レフ。当時の最新機種ではないものの、個人が持つには豚に真珠な上位機種だった。聞くところによると、映像関係の業種の人間が使うような機種らしく、決して小学生が触れらるような代物ではないという。
そんな大切なものを、なぜ祖父が俺に譲ってくれたのかは分からない。今となっては知りたくても知ることすらできない。
祖父から譲り受けて半年後、心筋梗塞で息を引き取ったから。
急に重い話になって申し訳ないのだが、一眼レフをもらった小学生の俺は、自分でも信じられないぐらいカメラの世界にはまっていった。
最初は壊すのが怖くて、なかなか触れずにいた。が、かといって放置しとくのも良くないと思ったので、父親に使い方を教わることにした。といっても父親はそんなにカメラに詳しいわけではなかったが、基礎的な操作方法は教わることができた。
そうこうするうちに、カメラに対する恐怖感はいつの間にか消えていった。
家に帰ってはカメラの設定を弄り、それに飽きたらレンズを交換したりする。あとはネットで知った情報だけでレンズやセンサーの掃除なんかもした。
夕方になると、外に出て夕焼けや空模様なんかをずーと撮っていた。
近所の野良猫なんかも撮影に協力してくれた。気にいった写真は今も部屋に飾ってある。
中学生になると、もっとカメラについての知識を得るようになる。どうやったら上手な写真が撮れるのか、毎日家で研究をしていた。例えばカメラの設定と実際の写真を事細かくノートに張り付けた「自作写真研究ノート」は全十四冊もある。今思うと気持ち悪さまで感じる執着具合である。
もともと俺は、あまり物事に興味を示さないガキだったという。「没頭できるものと出会えてなかった」という表現のほうが正しいかもしれない。祖父が生前カメラを譲ってくれたのは、それを心配した祖父の思いやりだったのかも、と今では思う。
――そして今に至る。
もちろん中学には写真部なんて無いから、ずっと高校で写真部入れることを楽しみにしていた、そんな俺。
今日の午後が楽しみだ。
あうとふぉーかす!. RW2 氷結ざりがに @cold_zarigani
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