第2話. っこの学校詰め込みすぎでしょ!スケジュール!!
教室に入ると、すでに大半の生徒が着席していた。まだ始業まで三十分もあるのだが、そこは高校初日だからということだろう。
着席している、といっても、みな礼儀正しく黒板を向いているわけではない。ほとんどの生徒が同中の友達と喋ったり、配られた教科書に名前を記入したりしていた。中には歩き回ってラインを交換したりしている命知らずさんもいた。恐るべし。
「キンコンカンコン~」
時計が八時五十分を指したころ、時計とは数秒遅れて朝のチャイムが鳴り響いた。言わずもがな日本国民ならだれもが知っているであろうあのチャイム。中学の頃と全く同じ音だったから、少し懐かしい気もした。
チャイムがなったということは、朝の会があるはずだが…しかし、チャイムが鳴っても誰も来ない。隣のクラスからは元気な号令が聞こえてくる。二分が経過。次第にクラスがざわつき始める。そしてそのまま五分が経過した。
「ガラガラガラ」
教室の扉が開き、担任だと思わしき人物が教壇に立った。チャイムは時計より数秒遅れて鳴り響いたが、そのチャイムより五分も遅れて担任はやってきた。なんてマナーの悪い大人なのだろう。信頼はチャイム以下である。
「え~。今日から担任になります。
担任の第一声はとても気だるいような、それでいてやる気のないような、だらしない挨拶だった。まるで二日酔いのおやじである。おいおい、それでいいのか。
そのまま担任は連絡を続ける。
「今日の授業はね、ほとんどオリエンテーションみたいなもんだから。楽だぞ~。あと午前授業になったんで早く帰れるからな。」
なんとも無気力な連絡である。そしてちゃらっと今日が午前授業になったことを告げられる。そんなさりげなく言わないでほしい。絶対聞き逃したやついるだろ。頼むからもっと真面目な面持ちで喋ってくれ。
心の中で突っ込みを連投する俺。
そして担任は思い出したかのようにこう続ける。
「あと、授業は午前までだけど、午後は自由参加の部活紹介&新入生歓迎会みたいなのあるらしいからね~」
なんだよその「らしいからね~」って。そして部活動紹介と新入生歓迎会って同じ日にやるのか。こちとら昨日入学式終えたばかりなんですが。
さらに心の中で突っ込みを入れる俺。どう他のクラスメイトも同じ突っ込みを入れてるに違いないな。これ。
そんな中、ある生徒から手が上がる。恐らく質問だろう。
「先生、この学校は帰宅部禁止らしいって聞いたんですけど、ってことは今日部活紹介に行って入部届貰わないとやばいってことすか?」
この学校は生徒全員が部活に加入しなければならないのか。初めて知った情報だ。同時に、中学帰宅部だった人はどんな部活に入部するのだろうと疑問に思う。
そして担任は少し考える素振りを見せた後、質問に回答する。
「そうだな。一応、入部届は職員室でもらえるけど、今日のうちに入部届出した方がいいと思うぞ。毎年人気の部活は早いもの順だからな。」
なるほどなるほど。ということは、サッカー部や野球部とかはすぐ定員が埋まってしまうのだろう。まぁ、俺の希望する部活は写真部だし。急がなくても大丈夫だろうな。もちろん俺は体育会系ではないので、あまり関係のない話のようだ。
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