カナドピア

釣ール

対価要求

 サンダルで外出し、近くの自動販売機でコーラを買う。

 これならスーパーに行った方が良かったが、高くてもすぐ手に入るからこの判断にした。



 美濃都みのとは『数字が三つ揃えば当たりが出るよ』と書かれた箇所を眺める。

 そんな都合の良い事は少ない。

 宝くじよりハードルが低い自動販売機の当たりでさえ、美濃都には縁がなかったのだ。



 自動販売機でコーラのボタンを押し、さっさと帰ろうとすると当たりが出た。

 三つ数字が揃い、もう一本手に入れられた。



 こりゃ、無事に帰れそうもない。

 普段こんな確率でさえ縁がなかった美濃都にとって嬉しいやら不安やらが入り交じる。



 何食わぬ顔で二本のコーラをもって帰ろうとすると街は大火事に見舞われ、死神のような炎を纏う幽霊が人々を襲っていた。



 あっという間だった。

 そういえば図書館で普段は読まないジャンルにある文が載っていた。



『普段運が良くない人間の幸運が芽生える時、一つの街を滅ぼさん。

 カナドピアはすぐ側にある。』



 クトゥルフの次はよく分からない理想郷か。

 美濃都はコーラを飲みながら燃える世界を眺め続けた。


 これで対価は充分だったから。


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カナドピア 釣ール @pixixy1O

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