外伝 マリーさんの物語

私、マリー。今学校にいるの。

昨日ママが都市伝説のメリーさんであることが判明。つまり私は都市伝説と人間のハーフなのだ。

もう、私の高校生活どうなっちゃうの?


「へぇ、凄いね。」


昼休みの屋上で友達の美咲ちゃんにそのことをカミングアウトすると、当初の予想よりずっと薄い反応だった。


「ちょ、ちょっと反応薄くない?」


「薄くないよ。全力で驚いてるよ。ただあまりに脈絡もなく、突然言われたもんだから、脳の処理が追いつかないんだよ。」


そ、そうか、私がタイミングしくったのか。確かにご飯食べ終わってすぐに言うのはダメだったかもしれない。


「本当に凄いよ。お母さん都市伝説なんて、ウチのお母さんなんて、ただのパートのおばさんだよ。」


「私はパートのおばさんが良かったよ。お母さんが都市伝説なんて反応に困るというか。」


「何言ってんの、伝説だよ?レジェンドだよ?伝説のお母さんだよ?」


「言い方、言い方。なんか偉業を成し遂げたお母さんみたいになっちゃってるから。」


ウチのお母さんは都市伝説とはいえど、あとはドジっ子の普通のお母さんである。たまにいつの間にか後ろに立っていたりすることはあるけれど。


「そういえばマリーちゃん、たまに怖い顔する時あるもんね。」


「えっ?そう。」


「そうそう、目をひん剥いて、話す相手を睨め付けてる時あるよ。あれって都市伝説スキルじゃない?」


そうだったのかー。相手を睨め付けてる時あるのかー。気をつけよう。


「都市伝説スキルって変な名前付けないでよ。大体私の目付きが悪いだけじゃないの?」


「じゃあさ。実験してみようよ。メリーさん的なことがマリーちゃんに出来るかどうか。」


「えぇ、出来ないってー。」


とは言いつつも、やってみることにした。

放課後の人気が無い時を狙って、メリーさん的な瞬間移動出来るかを。

まずは私が校門の前に移動。美咲ちゃんは屋上で待ってる位置配置。それでは実験開始。

まずは私がスマホで美咲ちゃんに電話。


「私、マリーさん。今あなたの学校に居るの。」


「あはは♪知ってるー♪」


美咲ちゃんが笑っちゃってるので雰囲気は和やかなものである。


「これで私が電話切って、移動できるか試すんだよね。」


「そうそう、もうまどろっこしいのは良いから、いきなり私の背後に立ってみて。」


「出来るかなー。」


電話を切って念じてみる。美咲ちゃんの元に移動する自分をイメージ。出来るか出来ないじゃ無い、やるんだ。


「私、マリーさん。今アナタの後ろにいるの。」


「うわぁあああ!!」


で、出来た。一瞬にして屋上の美咲ちゃんの後ろに移動。これには流石の美咲ちゃんも驚きを隠せないようだ。


「す、スゲー。マジで瞬間移動出来るじゃん。ヤードラット星人かよ。」


「ふふっ♪自分の才能が怖いよ。」


人より突出して得意なことなんて無かったので、正直嬉しい。


「マリーちゃんのこの能力使えばさ、電車で遠出する時、一人分の電車賃ワリカン出来るから経済的だね♪」


「いやいや、能力の使い方よ。」


瞬間移動のことは【メリーテレポート】と呼ぶことにした。

パパとママの出会いは劇的かつ異質なモノだったかもしれないが、おかげで私は楽しい高校生活を送れそうだ。



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ワタメリ〜私メリーさん物語〜 タヌキング @kibamusi

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